グルメ 知識 2020.11.13

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こんにちは、台北支店のKです。
本日は台湾の眷村料理を紹介しようと思います。


台湾の眷村(けんそん)とは、1945~1949の国共内戦で、敗戦した中国国民党の軍人、政府の要人などとその家族が台湾に撤退する際に、中華民国政府が手配した集落です。


台湾の食文化はその眷村料理に深く影響されて、やがて今の台湾料理のジャンルとなりました。


中国本土は領域が広いため、地域によって、気候がまったく違います。
大まかに分類すると、南方気候と北方気候に分けています。
南方は雨が多くて気温が高いため、米を中心とする米料理が多いです。それに対して、北方気候は乾燥していて気温が低いため、小麦を中心とする麺料理が多いです。そのため、中国の食文化を四字熟語でまとめると「南米北麺」となります。


中華民国政府が台湾に撤退する前に、台湾の食文化はすでに数百年前から中国本土からの移民に強く影響されていましたが、その移民は基本的に中国の南方からの人が多かったので、南方の米料理が主流です。


1950年に朝鮮戦争が勃発。当時の台湾は米軍の補給基地となるとともに、アメリカから大量の支援物資を頂きました。特に国共内戦後、台湾に撤退してきた貧しい中華民国政府にとって、ありがたい援助でした。


支援物資の中でも、特に食料の小麦粉を大量に頂いたため、台湾の食文化に根本的な変化をもたらしました。台湾に撤退してきた中国国民党籍の者は中国北方出身の者が多いので、その小麦粉で様々な麺料理を広めました。もちろん北方料理は麺料理だけでなく、ほかに日本人にもお馴染みの中華饅頭(マントウ)、包子(パオズ)、餃子、など小麦粉をベースとする眷村料理はやがて台湾の人気グルメとなりました。


けれども、眷村料理=中華料理というわけではありません。
なぜなら、アメリカから大量の小麦粉を頂いたとはいえ、当時ほかの食材が乏しい状態で中国各地方の料理をありのままに再現するのが難しかったのです。眷村住民の創意と台湾現地の食材を合わせて、多くのオリジナル料理が誕生しました。


眷村料理の特徴といえば、
1.各村の住民の出身が異なるため、料理の味も違います。
2.貧しい時代のため、コスパ重視する傾向があります。
3.中国本土の料理の特徴を残して、台湾の食材、気候に合わせてアレンジします。


今回は台北市の松山区の眷村料理屋「村子口」に行ってみました。

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周りの繁華街に対して、店の外観は古く、素朴な一戸建てで、店に入ると、タイムトラベルしたような感じで、台湾の1950~60年代に戻った気分になります。


店の看板に大きく「還我河山(我々に国土を還せ)」を書いてあります。眷村の軍人がいつか故郷を取り戻す思いを表しています。

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店内には台湾の50~60年代によくあるスローガン反共抗俄(反中国共産党、ソ連に対抗する)
、增產報國(国のために、生産量を増やす)を見られて、当時の愛国主義と歴史を感じます。

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周辺のサラリーマン、OLらしい常連客が多いです。

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店のオーナー王さんが中国山東省出身のためか、料理のメニューを見ると、基本的に麺料理と餃子料理がメインです。

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今回は水餃(水餃子)と隠しメニューの炒餅(葱油餅炒め)を頼みました。


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水餃(10個)

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台湾で餃子は基本的に水餃子と焼き餃子の二種類に分類されています。
眷村料理の場合は基本的に水餃子が多いです。また水餃子を主食として食べるのが一般的で、日本と違っておかずとして食べないので、ボリュームが多いです。具は豚肉とキャペツです。


味はオーソドックスですが、タレは独特です。水餃子専門店の場合、タレは基本的に醤油、ゴマ油、唐辛子ソースが一般的ですが、この店は手作りの花椒ソースのみです。


中華料理の花椒ソースは非常に辛いイメージですが、この店の手作りの花椒ソースはほんの少しピリピリしますが、辛さが抑えられている感じです。


価額:一個6元(約21円)

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炒餅

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炒餅とは、昔貧しい時代に、食べきれない葱油餅(ツォンヨゥピン/小麦粉で作った生地に油を塗り、ネギの細切れを具として巻き込んで焼いた中華料理。)を回収して、玉子、キャペツなどの野菜と一緒にもう一度炒めた料理です。


ボリューム感が十分で、また玉子と野菜がたくさん入っているので、筆者のようによく外食する者にとって非常にヘルシーな料理です。


眷村出身の者にとって、母さんがよく作ってくれる料理で、今は人気の眷村料理となりました。


この炒餅にも花椒ソースをかけてみました。ほんの少しピリピリする感じがいいです。
ただしこの炒餅はなぜかメニューに載せていないので、注文する際に自分でメニューに手書きすることが必要です。


価額:80元(約280円)

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小籠包(しょうろんぽう)、牛肉麺など、実は眷村出身の者がレシピをもたらして広めて、
やがて台湾の人気グルメとなりました。


そのため、眷村料理と台湾料理の間、ジャンルはだんだん区別しにくなっていきました。けどれも、眷村出身の者にとって、眷村料理は故郷の味だけでなく、戦後の団結的で、素朴で、節約的な精神の継承を伝えています。


以上 台北支店からでした。

グルメ 2020.11.06

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こんにちは、台北支店のKです。
今週も新北市の南洋観光美食街のレポートをしていこうと思います。

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まず南洋観光美食街と忠貞市場の雲南料理を比較してみたいと思います。


忠貞市場の雲南料理は米干が名物ですが、なぜか南洋観光美食街に米干料理が見当たらないので、今回は雲南料理の巴巴絲(ババスー)を食べてみました。


米で作られるライスペーパーのような物を雲南料理では巴巴(ババ)といい、巴巴絲とは、食べきれない巴巴を麺のようにカットして、ベトナムのフォーのように食べる料理です。

店舗の名前は口福南洋風味(コウフーナンヤンフォンウェイ)で、雲南料理の専門店です。

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(店内の様子)

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(口福南洋風味のメニュー)

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今回頼んだのは叉燒巴巴絲です。ラーメンのチャーシューを細かく切って、巴巴絲に乗せています。多分この店のオリジナル料理だと思います。

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見た目は汁なし担々麵っぽいです。巴巴絲の食感はフォーに近いですが、タレは中華風でチャーシューに合います。ただし雲南系の独特な香辛料が入っているので、台湾系の担々麵にない味で、中華と東南アジアの味を見事に纏めた料理です。

癖がなく、汁なし担々麵が好きな方にお勧めします。


価額は65元(約230円)です。


次は藍天奶茶店(ランテンミルクティー屋)でインドの料理を食べてみました。

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(店内の様子)

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(藍天奶茶店のメニューです)

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頼んだのはチャパティとチャイ(インドのミルクティー)です。


この店の印度烤餅(チャパティ)は烤(オーブン焼き)と 煎(鉄板焼き)のどちらの調理法で作ってもらうか選べるのが特徴です。

オーブン焼きは本場の味に近くて、鉄板焼きは台湾風の味です。

印度烤餅の頼み方は、まず味を選んで、次に調理法を選びます。


今回は甜味奶油印度烤餅/烤(スイートバターのチャパティ/オーブン焼き)と香豆泥印度烤餅/煎(ヒヨコマメの煮物のチャパティ/鉄板焼き)を頼みました。

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甜味奶油印度烤餅/烤(スイートバターのチャパティ/オーブン焼き)

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オーブン焼きの食感はインド料理屋によくあるナンに近いですが、ナンと違ってスイートバターで味付けがされているので、カレーをつけず、そのまま食べます。


スイートバターは甘さ抑えめで香りが強く、食パンのように朝食にするのがベストだと思います。


価額は30元(約110円)です。
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香豆泥印度烤餅/煎(ヒヨコマメの煮物のチャパティ/鉄板焼き)

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鉄板焼きの食感は台湾の屋台グルメ、葱油餅(ツォンヨゥピン)とほぼ同じ感じでした。それもそのはず、葱油餅は小麦粉で作った生地に油を塗り、ネギの細片を具として巻き込んで鉄板で焼いた料理で、チャパティも同じく小麦粉で作られたもののため、同じような食感になるのでしょう。

台湾の朝食屋の場合、すぐ料理を出せるように、よく鉄板で焼く調理法を用いります。恐らくこの店のチャパティも台湾の朝食に影響され、アレンジされたものと思います。


こちらはチャパティ自体には味付けをしておらず、小皿のヒヨコマメの煮物(写真左)を載せて食べます。


ヒヨコマメの煮物はバターで味付けし、油葱(台湾の調味料で、タマネギの一種のエシャロットを薄切りにして揚げたものです)が載せてあります。インド料理と台湾料理を融合したような感じです。

女性にとってはこの一品だけでボリューム十分だと思いますが、男性にとってはおやつにするのが丁度いいと思います。

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冰香純印度奶茶(アイスチャイ)500cc

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せっかくミルクティー屋に来たので、チャイ(インドのミルクティー)も飲んでみました。
インドのチャイは台湾でも人気で、よく夜市で見かけます。チャイは大きく分けるとスパイスありとスパイスなしの二種類があります。


スパイスありのがシナニッケイなどが入っていて、結構癖のある味ですが、この店のチャイはスパイスなしで、練乳が入っています。


色はオレンジで、飲み心地はむしろチャーイェン(タイのミルクティー)に近いです。普通に美味しいです。


ただ地元の常連客の場合はよくティータイムとして、チャパティとホットのチャイをセットにして頼むのが一般的らしいです。また機会があれば、ホットのチャイを飲んでみたいと思います。


価額は40元(140円)です。
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以上、台北支店からでした。

グルメ 2020.10.30

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こんにちは、台北支店のKです。

前回は雲南料理を中心とする桃園市の忠貞市場を紹介しましたが、
今回紹介するのは新北市中和区の南洋観光美食街です。

(南洋観光美食街)

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南洋とは東南アジアの意味で、つまりここは東南アジア料理を中心とする美食街です。
ただ、台湾でよく見かけるタイ料理がメインではなく、ミャンマー料理、インド料理、雲南料理が主流となっています。

なぜなら、実はここも泰緬孤軍と縁が深い場所だからです。
(※泰緬孤軍:2020年10月16日アップの『台湾国旗が一年中はためくお店「国旗屋」』参照)

泰緬孤軍が撤退する時、全員一緒に台湾へ来たわけではありません。
1954年頃撤退の部隊は現在の桃園市中壢区の忠貞新村に移住し始めましたが、一部の部隊はミャンマー、タイに残って、現地の華僑と暮らして、土着化していきました。

その後、1960~1970年代にミャンマーで排華(中華系を排除する)事件が起きてしまったため、泰緬孤軍の一部と現地の華僑は台湾に移民することを決意しました。台湾への移住先は現在の新北市の中和区と永和区となりました。そして移民と同時にミャンマーの文化と料理が台湾へ持ち込まれたのです。

1980年代に新北市の中和区の華新街の周辺にミャンマー系華僑の集落が形成されていき、やがて、今の南洋美食観光街となりました。

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同じく東南アジア料理が中心ですが、忠貞市場と南洋美食観光街は雰囲気や料理の味がまったく違います。

忠貞市場は軍人系の住民がメインなので、台湾の1960年代によくある愛国心が溢れる雰囲気で、また、雲南出身の者も多いので、料理の味は中華に近いです。

それに対して、南洋美食観光街はミャンマー系の華僑がメインのため、料理屋の看板、メニューはミャンマー語と中国語で書かれることが多いです。街の様子は東南アジアのような情熱的な雰囲気です。料理の味は多少台湾風にアレンジされていますが、ミャンマーを中心とするオリジナル料理に近いです。

約10年前から、毎年の4月中旬にソンクラーン(水掛け祭り)が開催されて、現地の住民だけでなく、台湾の人々と外国の観光客も一緒に楽しむようになりました。

知らない人々が互いに水鉄砲を撃ち合う様子はおもしろいですね。
(参考資料:https://news.cts.com.tw/cts/local/201904/201904121957720.html 華視新聞網より)

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今回筆者はまず阿薇緬甸小吃店(アウェイミャンマー食堂)でお昼を食べてみました。

(店の外観は台湾の食堂っぽいですが、ミャンマー語の看板が目立ちます。)

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(店内は結構狭いですが、地元の常連客が多そうです。)

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頼んだのは店の看板料理、ミャンマーの国民グルメ魚湯麺(မုန့်ဟင်းခါး/モヒンガー)です。

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スープはインド風のカレー味で、ソウギョ、ティラピアなど台湾でよく見かける淡水魚のペーストをベースに作られています。

(揚げ物みたいなのはバナナの茎で作られたものです)

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麺は米で作られたビーフンですが、台湾の食堂でよくあるビーフン炒めの食感と違って、柔らくて、お粥のように食べやすいです。

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台湾でよく食べられているソウギョ、ティラピアが入っているので、異国風でありながら、台湾の味を感じる料理です。

(店のメニューは、中国語とミャンマー語で書いてあります)

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価額は80元(約280円)です。

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続いて、隣の旺旺來亞洲咖哩屋(ワンワンライアジアカレー屋)でスイーツとアイスクリームを食べてみました。

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店のメニューをよく見ると、インド風のカレーがメインですが、実はオーナーはミャンマーからの移民です。

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この店に限らず、この街の店の多くはミャンマー出身の者が多いが、インド料理も販売しています。なぜなら、ミャンマーはイギリス統治時代、インド出身の労働者が大量に輸入されるとともに、インド料理も同時に導入されたからです。

(店内は狭いですが、清潔感があって好印象です。)

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今回頼んだのは黑糖發糕(黒糖ケーキ)と 印度冰(インドアイスクリーム)です。

黑糖發糕(黒糖ケーキ)

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黑糖發糕は名前を見ると、台湾でもよくあるレトロなスイーツと思われますが、これは膨張剤を利用せずに、たまごの卵白で自然膨張させた焼きケーキです。黒糖と杏仁の組み合わせが非常にマッチしています。

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また東南アジア独特の香辛料が入っているらしく、台湾の味と東南アジアの味が見事に融合しています。

食感はパンケーキのようです。甘さが結構抑えられているので、甘いのが苦手な人にもお勧めします。

価額は50元(約180円)です。

印度冰(インドアイスクリーム)

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この店の看板料理のうちの一つです。印度冰という名前ですが、インド産のアイスクリームではありません。オーナーのオリジナル料理です。


牛乳がベースで、手作りのプリン、ゼリー、チアシード、バニラアイスが入っています。
砂糖はローズシュガーが使われています。ココナッツミルクを使わず、牛乳が入っているブブ・チャチャのような食感です。

(黄色いのはチーズっぽいですが、実は手作りのプリンです。)

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甘さは台湾のドリンクスタンドと同じく、調整もできます。

価額は60元(約210円)です。

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南洋観光美食街へのアクセスは便利で、台北メトロの中和新蘆線「南勢角駅」で降りて、徒歩で約550メートル、10分以内に到着できます。

ただし、営業時間に関しては、台湾の店と違って、基本的に午後6時以降ほとんどのお店が閉店するので、ランチの時間帯にいくことをおすすめします。

アクセスはこちら

筆者ももう一度南洋観光美食街に行って、別のグルメを食べてみたいと思います。
以上、台北支店でした。



HIS 台北支店

2020.12
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