夏が終わり枯葉が舞い始めると、北国ドイツはどんどん日が短くなって切なくさみしーい感じが漂ってきます。
これから来る長くて暗い冬の足音が聞こえてくるからです。
しかし、ヨーロッパでは その暗くてながーい夜を楽しむため 秋から来春までの間、音楽会のハイシーズンを迎えます。
待ってました。
ドイツでは歌劇場やコンサートホールが人口25万人そこそこの小さな街にもあって、人々に親しまれています。有名なベルリンやミュンヘンの歌劇場やホールは皆様ご存知のことと思いますが、そんな小さな街の歌劇場でもシーズン中はなんと300日近くもオペラが上演されるのですよ。自前のオーケストラや歌手、舞台装置に沢山のスタッフ…と一回の上演に対し莫大なお金のかかるオペラが、小さな街でも行われることを考えると、ドイツの地方行政の文化に対する理解と尊敬には心を打たれます。
私の住むデュッセルドルフにも勿論 歌劇場とコンサートホールがあるのですが、天邪鬼な私は演奏会といえばケルンに足を運んでいます。ケルンのコンサートホールは、ケルン中央駅の目の前にそびえる大聖堂のわきを通り抜けると5分足らずで到着する駅前ホールとでも言えましょうか。あのベルリンフィルハーモニーと同じ建築家の設計で、本当に素敵なお気に入りのホールです。
私の今シーズンは、9月10日のヤンソンス指揮コンセルトヘボウで幕を開けました。かのコンセルトヘボウでさえ技術的に一時心配される時期もありましたが、ヤンソンスの元で とってもフレッシュになり、かつて云われた燻し銀の音… も取り戻しつつあります。しっとりさに加えて、アムステルダムで迎える早朝のあの朝霧に包まれた新鮮な空気が匂い立つようで、これからが益々楽しみです。
次は我らがベルリンフィル、勿論指揮はサイモンラトル氏です。9月27日でした。演目は大好きなベートーベンの交響曲5番がメイン。この曲は実は2001年と2002年のウィーンで、彼がウィーンフィルと共演したのを聴いていたので、比較の意味でも興味深く拝聴しました。アバドの元で山の湧き水のように清らかに磨かれたベルリンフィル、ラトルに代わってから徐々に音が変わっていますが(良い意味も含め)、それでもやはり純ですね。純に美しすぎます。
個人的には… この曲に関してはウィーンフィルとの演奏に軍配を挙げるかもしれませんが、甲乙つけ難しです。ラトル自身の解釈も4年前とは変わってきているかもしれませんしね。しかし、あの2楽章でのコントラバスの激しく力強い演奏は4年前と同じでした。演奏後真っ先にコントラバス奏者に握手を求めていたので きっとよほど練習したのでしょうね。
やっぱり音楽はいいものだなぁとつくづく思います。
クラッシック音楽はとっつきにくそうですが、とにかく聴いてみることが大事です。決して難しいものではなくて、心の奥底で気持ちいいと感じることができる貴重なものだと思います。心が澄んで、元気が出ます。
ドイツの演奏会は日本に比べると料金的にも庶民的で、余程人気のある演奏会は別として、当日の夜でも会場でチケット購入のチャンスはありますので、もし機会がありましたら旅行中に足を運んでみてくださいね。
音楽って旅の良い思い出にもなりますし。旅行中聴いた音楽は、心の奥に残っていて、ふっと日常の中で懐かしいメロディを耳にするとその頃に見た風景や印象が頭の中にどっと溢れきて又新たな感動が湧き上がることがあります。
是非皆様もお試しください。
チケットとスケジュールのお問い合わせは 音楽鑑賞デスクまでお願い致します。 (の)