海外に嫁いだ娘
日本から海外へ向かう飛行機に乗りながら、何気なく周りを見てみますと、実に色んな方々がいらっしゃいます。
何といっても圧倒的に多いのは、若い女性の2人ずれですな。それから海外での家族サービスでしょうか、小さなお子さんも見受けられます。どうやら新婚旅行とお見受けするカップルも何組か・・・・・・
とそんな中にちょっと雰囲気の違う2人が目にとまりました。どうやら父親と息子さんのようです。
問題の飛行機
理由あって詳しくは申し上げられませんが、マサル君の両親は、彼が7歳のときに離婚しました。なんで自分には母親がいないんだろうと理由も無く父親を憎んだ事もありましたが、汗だくになって児童館に迎えに来たり、不器用な手つきで夕食を用意してくれたりしたお父さんが大好きでした。しかし5歳上の姉は父親と口論が絶えず、1年前に彼女が結婚したときも、半ば喧嘩分かれのようになってメルボルンへと旅立ちました。
いざ結婚してみると、スロバキア系オーストラリア人の旦那さん「ジャケン」さんは、とても気が効く働き者で若いのに自分でレストランなんか経営しています。今回のマサル君とお父さんの旅行も、彼がすべてお膳立てしたものでした。「また喧嘩して、久しぶりの空気壊さないでよ。」なんてマサル君も機内で釘をさしています。
さて、空港に到着して、久しぶりに親子の会話に花を咲かせて車で走る事30分、予約の入れてあるホテルに着きまして4人はこれからの観光の予定なんかを話しておりました。
そこへお父さん、煙草を口にくわえて
「あれ、この部屋、灰皿が無いなぁ~。」
ピキッ!っと一瞬、氷が張り詰めたような空気になりましたが、陽気なジャケンさんが間に入って
「フロントに電話してみましょう。」と和ませました。がしかし、電話を切って
「ここ全館禁煙なんだそうです。」
「へ?そりゃぁ困ったなぁ~・・・・・。」っとその言葉じりを取ってお姉さん
「それくらい我慢しなさいよ!」と切り出したのをきっかけに
「我慢できないから言ってんだろう」と父親
「いい歳して、子どもみたいな事いわないでよそんなもん外に行きゃぁケツの穴から煙が出るほど吸えるわよ!」
「えっ!?何か?じゃ俺はびっくり人間コンテスト優勝か?バカヤローそれが親に向かって言う言葉か!」
「優勝でもなんでもすればいいじゃない!一生懸命準備してくれたジャケンの気持ちも考えなさいよ!ッザケンジャネーヨ!キー!!」
すでに旦那さんとマサル君は部屋の外で、この二人のやり取りを聞くでもなく聞いていましたがやがて・・・・「近くにイタリア人街があるけど、パスタでも食わない?」との誘いに「じゃあ、ティラミスも付けてね。」と出かけてしまいましたとさ・・・・・・・・
おわり
(ふっ)