クリスチャン・サイエンスは1879年、メアリー・ベイカー・エディによってボストンに創設されたキリスト教系の新宗教だ。バックベイにあるクリスチャン・サイエンスの総本山は、クリスチャン・サイエンス・プラザ(クリスチャン・サイエンス・センター)と呼ばれ、マザー・チャーチをはじめとする5つの建造物から構成されている。
プラザ内でも一際目立つのが、このマザー・チャーチだ。1894年に建てられたオリジナルのマザー・チャーチはロマネスク様式のスタイルで、ステンドグラスには聖書の物語が描かれている。1906年にはドームが建設され、ルネッサンスとビザンチン様式が組み合わさったデザインとなった。チャーチの中は、太陽の光がステンドグラスを通して降り注ぐ。厳粛な雰囲気の中、ステンドグラスの光を浴びれば、心が癒されるようだ。
チャーチの中には世界で6番目に大きいパイプオルガンがあり、オルガンの美しさと、オルガンから流れる音の素晴らしさには舌を巻く。オルガンを見、音を聞くだけでも、マザー・チャーチを訪れる価値はあるかもしれない。
マザー・チャーチを中心とする、クリスチャン・サイエンス・プラザのデザインを担当したのは、ジョン・ハンコック・タワーも手掛けたイオ・ミン・ペイだ。荘厳な雰囲気が漂うマザー・チャーチと、コンクリートの近代的な建物、そして鏡池が上手くバランスされており、さらにこのクリスチャン・サイエンス・プラザが、ボストンの街に美しく調和している点は、ペイの才能によるものだ。