バリ島では、宗教儀式が沢山あります。その一つは歯を削る儀式です。
歯を削る儀式はインドネシア語で「POTONG GIGI (ポトン・ギギ)」といいます。日本でいえば「成人式」にあたるものです。
バリヒンドゥー教では、人間が生まれてから死に至るまで宗教儀式が沢山行われます。
歯を削る儀式は、バリ人にとって最も重要な儀式の一つです。そのため儀式はとても盛大に行なわれます。
バリの人々によると、人間は六つの欲望を持って生まれてくると信じられています。この六つの欲望はバリ語で「SADRIPU(サッドリップ)」といわれます。 「SAD(サッド)」は「六つ」という意味で 「RIPU(リップ)」は「敵」という意味です。よって、「SADRIPU(サッドリップ)」は人間にある六つの敵、すなわち
1. 欲張りな気持ち( Iri hati・イリハティ )
2. 嫉妬深い気持ち ( Dengki・ドゥンキ )
3. 怒りっぽい気持ち( Marah・マラッ )
4. 迷う気持ち( Kebingungan・クビグンナング )
5. 欲深い気持ち( Rakus・ラクス )
6. 性欲 ( Nafsu・ナフス )
六つの欲望を制御することが出来るように歯を削る儀式を行ないます。
歯を削る儀式というのは、人間が成人すると生じる六つの欲望を抑えて良い人間になるようにするという意味があります。
上の前歯の六本の歯を、お坊さんがヤスリを使って削って平らにします。
歯を削る儀式は「PANCA YADNYA」という人間の儀式の一つです。
また、この儀式は親の義務として必ず行なわれます。
結婚する前には必ずこの儀式を行なうことになっています。
▲歯を削る前のお祈り ▲お坊さんが歯を削るところ