突撃、隣のモニュメント!ということで、9月第二週末のモニュメントデー(文化財指定建築物の公開日)レポート第二弾です。
歴史のあるお屋敷や政府関係の建物が集まるデン・ハーグの国会議事堂周辺を狙って、とりあえず今年は行きましたが、あまりに数がありすぎて一日では回りきれるはずがありませんでした…
歩いて行ける距離で見れるだけ見ようと思っていましたが、3歩歩けば文化財に当たるんだったよこの街は!!
とりあえずダイジェストでお送りします。
★ヨハン・デ・ウィットの家
この人が屋敷の主人で一番有名なヨハンさん。スペイン支配から独立ホヤホヤのオランダ(当時共和国)を率いた17世紀の有名な政治家。↓
オランダ総督がいない中、首相として英蘭戦争に立ち向かいましたが、折しも国内のオレンジ(総督賛成)派と共和制派の対立が高まり、再びオランダの台頭を危ぶむ近隣諸国(英仏西独+スウェーデン)が挙ってオランダを海と陸から囲み攻め込んだオランダ侵略戦争の際、民衆のリンチによって殺されてしまった方。
アムステルダム国立美術館の弟のコーネリアスと仲良く吊るされてる絵(暴行を受けた死体の絵なのでご注意下さい)や、ハーグ歴史博物館の舌やら指やら(憎悪のあまり体のパーツが切ってお土産に売られたそうな)が有名です。
この方の肖像画の向かいに彼と対立した現王室オラニエ家(オレンジ)の肖像画があるのがシュールでした。
W ウィレム「ごめんしてね☆」
こうした邸宅は現在は法律事務所やオフィスとして使われいますが、当時の雰囲気がたっぷり残っていて素敵でした。
ビネンホフから歩いて5分、ハーグが政治の中枢であったということは結構真っ黒い歴史の現場でもあったのね、としみじみ思いました。
恐慌状態に駆られた民衆、ひいては間違った民主主義の暴走の例として今では語り継がれるデ・ウィット兄弟の悲劇。
今年オランダで公開された英蘭戦争の英雄、提督ミヒール・デ・ラウターの半生を描いた歴史映画「ミヒール・デ・ラウターMICHIEL DE RUYTER」でも描かれていました。(予告開始0.08秒の人がヨハンさん)
YouTube: MICHIEL DE RUYTER trailer
こちらの映画だと悲劇の当日、デ・ウィット兄弟の身を案じた主人公がこの家を訪ね、「主人はいませんよー」と言われ、必死で馬車を飛ばし探すシーン(そして虐殺には間に合わない)があるのですが、ですが…
ヨハンさんの銅像が立ってるデ・ウィット兄弟が殺されてしまった広場がかなり目と鼻の先の距離だったので、「おいおいあの騒ぎに気づかないって、主人公ゥ…(;0;)」と思ってしまったり。映画自体はとてもよく出来ていて面白かったです、機会があったらご覧ください。スケベニンゲンの浜辺での海戦から始まり、「共和制とは、民主主義とは何か」をテーマに圧倒的な完成度です。たまに上のようなことがあったり、背景に電線が映ったりしてずこーっとなりましたが、クオリティは高かったです。(「ゲーム・オブ・スローン」のチャールズ・ダンスも英国王役で出演と豪華!)
気を取り直してヨハン・デ・ウィットの家の向い、昔の銀行だった建物です。
天井が窓になっていて明るくて入った瞬間「うわー!」と声が出ました。
ハリー・〇ッターに出てきそう!柱と大理石が瀟洒な壮麗な建物でした。地下が金庫になっていますので階段で降りて見ましょう。
防犯のため厳重な壁の中身をご覧ください!コンクリと煉瓦と骨組みこれを突破しなきゃ、お宝にはたどり着けない!金庫破りも大変だ~
金庫室は現在改装され、会議室のインテリアに生かされていました。
昔の金庫。レトロでかっこいいですね。
金庫の扉はこんな感じ。分厚い~!さらに奥に並ぶ二重三重の扉、鉄格子がお分かりいただけるでしょうか?金庫室の扉を開けるカギ(裏側)もすごいからくりです!↓
色んなモニュメント見て歩いて疲れちゃった~。ここらで一服、と肌寒くてもやっぱりアイスが食べたいオランダ人。
モニュメントの教会ではオルガンコンサート。
↑ ★Het Pagehuis はハーグでは珍しい階段破風の家、1625年建造です。フェルメールの絵に出てくる家そっくりですね!
こちらは特別に一時間に1回のガイドツアーで限定12名まで入場可。最後のツアーに滑り込みで間に合いました!
外で待つこと30分ほど。やっと小さなドアが開くと、後から来た人が割り込もうとしたり、かなりの人気ぶりにびっくり。「この人とこの人とこの人はちゃんと並んでたわよ!私たち1時間以上待ってたのよ!」と周りのおばちゃまたちが加勢してくださり、無事並んでた12名が入場。いえーい、寒かったよー!
現在は貸しオフィスに利用されています。ずいぶん豪勢ですこと…。
17世紀には珍しい象も描かれたデルフト焼き。
壁紙もゴージャス♪ 品が良いですねー。19世紀に大流行したウィリアム・モリス工房の壁紙。
こちらは中国の間。壁紙が19世紀の中国の意匠です。ここでマダムたちが茶会なぞしていたのでしょう、女性らしい雰囲気の部屋でした。
たくさん見たよー疲れたよーとエッシャー美術館の向かいのカフェで休憩。何気なく昔からハーグの著名人が集まるこの店も、歴史を見てきたのでしょうなあ。
ハーグ良いとこ、一度じゃ足りない百度はおいで!
以上、モニュメントデーのレポートでした。
BY ハーグ大好き スノーウィー