みなさんこんにちわ、スノーウィーsnowです。

日本のTVでもよく取り上げられるオランダの美術

「牛乳を注ぐ女」「真珠の耳飾りの少女」のフェルメール、「ひまわり」「夜のカフェテラス」のゴッホは有名ですが、忘れちゃいけないのがレンブラント

彼が描いた「夜警」は間違いなくオランダ絵画美術の最高傑作の一枚であり、またアムステルダムでしか見られない一枚です。

なぜかって?この一枚、非常にでっかいのです。

Skc5©Rijksmuseum 'Nachtwacht', Rembrandt van Rijn, 1642

現在の大きさは363 x 438 cm。大きすぎて邪魔だぜ、と過去に切られてしまう前はもっと大きかったそうです… なんてもったいないことを。 

アムステルダム国立美術館の部屋、「栄光の間」に入るとこの絵がドカーンと飾られており、インパクト最高。毎日この絵の前に世界中からの美術愛好家が群れになっております。

2013年のオランダ国王即位式の前日にはこの絵の前で前女王最後の晩餐会が開かれました。crownshine

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まずこの部屋に入ると、第一印象が非常にカッコいい!

この絵は17世紀の裕福なアムステルダム市民が集まり、街の治安や有事に市民を守るため結成されていた自警団のメンバーを描い集団肖像画呼ばれるジャンルの絵です。

メンバーは皆さん裕福な商人や軍人で、その名誉の記録に1グループ全員の顔姿を一枚に残したのです。こうした市民の集団肖像画を多く生んだのは当時この国くらいです。また当時のオランダ絵画市場は、こうした注文ができる裕福な市民の支えがあっただけでなく、一般の庶民も絵を買うことが多かったので、王侯貴族が独占した他の欧州の美術に比べ独自の発展を見せます。フェルメールの作品に見られるような風俗画が人気を呼んだのもこのためです。

同じ部屋に並ぶ同時期の人気画家フランス・ハルスの集団肖像画。納期まで仕上げられなかったハルスはこの絵の制作を放棄せざるを得なく、他の画家が仕上げました。集団肖像画がいかにエネルギーがいるか分かります。

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©Rijksmuseum ‘De magere compagnie’, Frans Hals, Pieter Codde, 1637


学校の遠足や社員旅行などで集合写真を撮った思い出は皆さんおありかと思いますが、400年前の人もあれと同じことを考えていたのねー、庶民派のオランダらしいなーと懐かしい気持ちになります。

もう一つ思い出していただきたいのが、そうした集合写真はたいてい直立不動で顔も同じ高さに並んだり、全員が正面を向いてるものが多いです。当時の集団肖像画もそうした構図のものが多かったのですが、レンブラントが面白いのは構成を画面の斜めや外れにまで交差させ、人物の顔は完全に横を向いたり俯かせたりと目線も決して鑑賞者がいる「画面の外」に集中していません。それによってこの絵は自警団が練り歩く現場を切り取ったように、非常に生き生きとしています。絵の前に立つと太鼓の音や武器の音が聞こえそうなほどです。



レンブラントはあえて絵画の「固定概念」を崩すことで、まるで新しい絵画体験を当時の人に彼はもたらしたのです。また構成だけでなく彼が持つ卓越した技術は、光と影の表現も十分に発揮されています。真ん中の隊長と副隊長には一番光が当たり、彼らの全身を包む華麗な衣装がキラキラ光っております。そして後ろに控えるメンバーは彼らの立場の重要性によって描かれる大きさが変わっています。こうすることで誰が重要メンバーか見る者にはすぐわかるし、一層画面がドラマチックになります。

こうした集団肖像画は画家に払う画料を割り勘しており、彼らは自分が描かれる割合によっていくら払うかが決まったそうです。株式会社と割り勘を生み出したオランダ人らしいシステムです。



当時の人は「さすがレンブラント、俺たちが見たい以上のものを仕上げてくれる!!」なんて、すんげーすんげーと絶賛してたことでしょう。

館内のステンドグラスにもなりましたレンブラントさん 「どやぁ」↓↓

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ちなみに30代後半の人生で一番パトロンに恵まれ儲かって天辺とったどー!とウハウハな時に彼はこの作品を描いています。この絵が描き上がって間もなく、彼の妻サスキアを病気で亡くし、レンブラントの人生は大きな分岐点を迎えます。

↓↓ 現在美術館として公開されている「レンブラントハウス」。嫁さんの持参金もあって新婚時に買った超高級住宅でした。新婚から破産後に手放すまでの当時の暮らしぶりを、内装やアトリエを再現し、左隣のモダンな棟で企画展が見れます。黄金期の売れっ子画家の暮らしが見れて、こちらもおすすめの美術館です♪

Rembrandthuis

絵の中で一際光を浴びる小さな女の子は何度もモデルとして描かれたサスキアの顔を映した最後のものでもあります。彼女は上流社会の出で結婚の際には多額の持参金をもたらし、粉ひきの息子だったレンブラントが多くのパトロンを掴むのにも貢献し、3度の死産の末に将来唯一成人するレンブラントの子を残してすぐの死でした。やもめになったレンブラントは乳児の息子のために付けた乳母と愛人関係になり、社会的に非難を受け後の没落と破産へつながります。

レンブラントの絵は初期~中期~後期~晩年にかけての変容が面白いのでアムステルダム国立美術館でじっくりお楽しみください。

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「夜警」が飾られるアムステルダム国立美術館。巨大美術館でまともに見たら1日あっても足りません! 入場券を当日に買おうとすると並ぶので、事前に購入してくださいね。

「夜警」を見たらぜひ「レンブラント広場 Rembrandtplein」にも行ってみてください。

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画家レンブラントの銅像と、なんと「夜警」のジオラマがあって絵の登場人物に交じることができます!!



あらあなた達、立体にするとこんな感じなのねー。一番人気の隊長は握られまくって御手がテカテカしていました。



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ちなみに昔は「レンブラント広場」とは名ばかりでしたが、この彫像たちのおかげで楽しい人気スポットになりました。さすがアムステルダム、楽しいことを思いつくのは得意です♪

Rembrandtplein1

1606年生まれのレンブラントさん、生きていれば御年410歳です。彼の革新的な絵画表現への挑戦と追及への貪欲な姿勢は、油彩画の技術を完成させただけでなく後世のフェルメールやゴッホにも強く影響を与え、固定概念に満足せず、決して型に収まらなかった彼の画家としての生きざまは現在のアーティストたちにも強い感銘を与えています。波乱の生涯を芸術に燃やし尽くした彼自身が彼の作品そのものであり、間違いなく巨匠なのです。

多作であったため、日本や世界中の美術館でもレンブラントの作品は見ることができます。鑑賞の際は技術だけでなく、制作年代と題材にも注目して、画家の背景と合わせてお楽しみください。

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