ダッカの旧市街、オールド・ダッカの観光でよく訪れるのが「スターモスク」ことタラ・マスジド。タラはベンガル語で星の意味。ずばり「星モスク」なんです。数多あるモスクの中から訪れるのですから、そりゃ巨大だとか、ものすごく歴史あるとか、思いませんか?
で、ようやく行ってきました。
あれっ? 平屋建て? …と星型モニュメントつきの池!
ちなみにダッカの街中にある、ごく一般的なモスクは
階が重なっているうえに、建物自体はまわりのと変わりません。屋根に乗っているドームと、礼拝(ナマーズ)の時間に集まってくるイスラム教徒の姿が目印ですね。
さらにオールド・ダッカといえば
迷路のような路地。視界がひろがることなんてほとんどありません。スターモスク、広い前庭に平屋建てなんて、ぜいたくな空間ですね。
モスクは靴を脱いで入るのがルール。はだしでペタペタ行きますと、さっき降った雨で石がひんやり。
半野外のスペースには小暇な地元の人と、礼拝の時間ではないけれど礼拝している人と、その横で昼寝している人と。観光地ですが、ちゃんとオールド・ダッカの生活に根づいているモスクです。訪れるときは、もちろん彼らをお騒がせしないように。
▲礼拝じゃなくて「ん…おふぁようございま~す」でした(笑)。
そんな(どんな?)モスクの壁面をかざるのが
いや、ガイドブックで「ある」とは以前から知っていても
まぎれもない、富士山です! ダッカに富士山!
「タイルの富士山」とくれば銭湯が相場ですが(笑)、ちょっと小さいうえにここはバングラデシュだ。昔、この街出身で財をなした人が、故郷に錦をかざるためにタイルを寄進したんですって。日本とイギリスから輸入したタイルで。そのとき、伝統的なイスラムのモチーフじゃなく、遠い国の景色を柄に選んだそのセンス!その寄進者氏、そうとう「とがった」人だったんじゃないかな(笑)。「おーい地元の衆!世界にはこんなのもあるんだぜ!」自慢してたりして。ダッカ、高い山なんてないからなあ。
余談ですが、かつて僕がインドの砂漠地帯、シェーカーワーティー地方(ど田舎)をまわってたときも、外国で大儲けした商人が故郷を当時世界最新のモチーフで飾りつけた!などという古い豪邸が残っておりまして。インド・バングラデシュの人には、そういった愛すべきミーハー根性があるのかも!?
富士山だけでなく、あらゆる部分がタイルで彩られたスターモスク。
とはいっても、地元の人にとっては日常の一部。
くつろいでいた青年に声かけられ、僕も床にすわります。そして世間話。
青年「日本からなんー。日本人はモスクでも礼儀いいね」
自分「礼儀いいんかあ。ありがと!」
青年「フジマウンテンの絵もあるし、来る人も多いね」
自分「そうそう、ここの富士山のこと、なんか他に知っとる?」
青年「別に…」(笑)
気づいたら、話はずんで30分。待たせてるリキシャーのおっちゃん、ごめん!
夕方の礼拝の時間も間近。街中に響きわたるアザーン(礼拝を呼びかけるアナウンス)が、このモスクからも始まります。
青年「このアザーンのおじさん、いい声やぞー。写真写真!」
自分「撮ってええんな?」
青年「もちろん!近く寄りぃ!」
いやあ。アザーン、堪能させていただきました。「朗々と響きわたる」って表現がぴったり。
くだんの青年氏、ここら辺の敬虔なムスリムのホープ格(?)らしく(いつもこの白い衣装だそうで)、やってきた長老陣といろいろ話していました(ついでに僕も自己紹介・笑)。
礼拝のとき(1日5回)だけは遠慮して、ほかの時間ならいつでも訪れられるスターモスク。富士山やタイルに負けず劣らず世間話だって楽しい(!?)、暮らしのなかの観光スポットです。
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スターモスク(タラ・マスジド)
<開場時間> 夜明け前~夜中 (1日5度の礼拝時間は遠慮しましょう)
<休み> とくになし (大規模な宗教行事のときは避けるのがベター)
<入場料> なし (礼節を保てば大丈夫です)
<女性の入場> 可。スカーフなどで髪の毛を覆い、肌や体のラインが
露わな服装も避けるのがイスラム教へのマナーです。
男性も、ラフな服装は避けましょう。
<行きかた> グリスタン・バスターミナルから
リキシャーで15分(約30タカ≒40円)。
路地内でわかりにくい立地です。リキシャーを使うか、
旅行会社のダッカ市内観光に参加するのがおすすめです。
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投稿: 本日の気になるニュース -2010年6月13日 (日) 05時32分
■おお!貴重な写真!
アザーンの写真なんて、レアじゃないですか!女性はモスクは入れないので、各モスクのアザーンをコレクションしたいけど、無理なのでうらやましいです。今度ビデオとってきてyoutubeにアップしてください。爆ちなみに星はシターラではなく「タラ」だと思うんですが。。教えてくれた人の発音が違ってたのでしょうか? -
投稿: HISダッカ支店 -2010年6月13日 (日) 11時02分
■Re: >本日の気になるニュースさん
さっそくのご感想、ありがとうございます!モスクは世界にそれこそ「星」の数だけあるので、ワタクシ、何度か「マイクにボイスチェンジゃー入っとんちゃうか?」級の、ひどい声アザーンに出くわしたことも(笑)。いま、追加(別記事)でアザーン90秒版をupしました。ちょっと動画が重いのですが、気長に待って楽しんでいただければ!ちなみにスターモスク、観光地になってることもあり、外国人ならば女性でも髪の毛を覆って、常識ある服装で行けば入れてくれるそうです!あと、「星」の訳ですね。ヒンディーでの知識なのですが、おっしゃるような「तारा」 と 「सितारा」 の両方があるようです。そのまま音写すると「シターラー」でちょっと長く、またガイドブックの表記に合わせて「シターラ」で表記しましたわ。 -
投稿: 本日の気になるニュース -2010年6月13日 (日) 12時11分
■なるほどーー
貴重な動画をありがとうございました。さすがですね。それと、スターモスクの名称ですが、確かにヒンディではシターラというかもしれませんが、バングラデシュはバングラデシュのベンガル語なのでヒンディでは使わない単語もあります。エクスプレスベンガル語なんかもろインドのベンガル語なのでバングラデシュ向けではないですしね。あまりいちゃもんつけるわけではないですが(笑)、現地では「タラモスジット」なので、ちょっと違和感があります。やっぱり。こちらの情報はさすがプロのブログだけあって、いろいろ観光地の情報取得には便利だし皆さん参考にすると思うので、もしシターラと表記される場合は、ダッカで一般的には「タラモスジット」であること、今回シターラと表記される場合は、参照したガイドブックなども一言書いておかれると親切だと思います。何しろバングラの日本語情報は少ないですから。いろいろ書いてしまいましたが、今後も更新楽しみにしています。当方たいした知識もないですからたいしたことはいいたくないんですが、ちょっと気になったので・・・。気に障られたらすみません。 -
投稿: HISダッカ支店 -2010年6月14日 (月) 11時44分
■Re:>本日の気になるニュースさん
コメントありがとうございます!ベンガル人の旅行会社の人に聞いてみました。・タラ=ベンガル語。・シターラ=ウルドゥー語←ペルシア語(ستاره)。だそうです。すると、より「イスラム教っぽく」表現しようとすると「シターラ」、ベンガルらしくすると「タラ」を使う、などという使い分けができるかもしれません。ちょっと毛色は違いますが、別れのとき「アッラー・ハーフィズ」か「クダー・ハーフィズ」か、という議論にも通じるかもしれませんね。ともあれ、地元でベンガル音の「タラ」が使われているのは、それだけ人々がベンガルに愛着をもっている証拠かもしれませんね。いやいや、大変勉強になりました! これからも深いお話をお互いできれば幸いです。(また、ベンガル語優先で、該当箇所は「タラ」に直しました。) -
投稿: 高沢里奈 -2019年8月18日 (日) 18時24分
高沢里奈