ホテル 2007.08.26

〝ホテルに関係あること〟をコンセプトにランダムに、そして徒然なるままに、滞在が楽しんでいただける一助となればと思い連載してみたいと思います。1回目から相当長いです。しかも文字ばかり・・・。^ ^;

 記念すべき第1回はニューヨークのホテルを語るにこの人なしではいられない〝IAN SCHRAGER〟 イアン・シュレーガーと読みます。


 この方ホテルプロデューサー(ホテリアー)で不動産デベロッパー。日本ではデザイナーズホテルという言葉が一般的ですが、こちらでは広義の意味で主に〝BOUTIQUE HOTEL〟といわれます。日本ではラ○ホのことになってしまうから避けられているのでしょうか???

 "hotel as lifestyle"洗練された生活時間と空間の提供、このコンセプトホテルの生みの親がこの人イアン・シュレーガーとスティーブ・ルベル。MORGANS HOTEL GROUPを設立し1984年にニューヨークはマンハッタンのマリーヒル地区にMORGANS HOTELをOPENしたときが最初といわれています。このコンセプトホテルを有名にしたのはシェラトンに代表されるスターウッドグループの〝W〟でしょう。

 調べてみると、この2人は実に面白い。シラキュース大学時代からの友人で、なんとニューヨークの伝説のナイトクラブ STUDIO54 のプロデューサー。

 このナイトクラブは1977年4月26日にオープン(1986年CLOSE)。アンディ・ウォーホル、ミック・ジャガー、イヴ・サン・ローラン、ダイアナ・ロス、カルヴァン・クライン、マイケル・ジャクソン、ジョン・トラヴォルタなどの名だたるセレブが集い、“ヴェルヴェット・コード”と呼ばれる厳しい入場チェックがあり、連日タブロイド紙を賑わすスキャンダルでたちまちアート、ファッション、音楽すべての情報発信源となった場所。

 そしてこの2人、1980年に脱税で3年半の実刑判決。約1年の服役。出所後に始めたのがホテルビジネス。そのとき2人で始めたのが多くのブティックホテルをてがけるMORGANS HOTEL GROUPの前身となったというわけです。

 STUDIO54が世界で一番輝いている場所といわれた頃の模様はマーク・クリストファーという監督が自身のSTUDIO54体験を元に〝54〟という映画を作成。スティーブ・ルベルはそのままの名前で登場。演じているのはオースティンパワーズマイク・マイヤーズ。そのほかにもシンディ・クロフォード、シェリル・クロウなどがゲスト出演。

 スティーブ・ルベルは後にPARADIUMというアンディ・ウォーホル、キース・へリングのディスプレイで有名な巨大ダンスクラブをプロデュース。80年代のニューヨークのクラブシーンを席捲。この土地は後にニューヨーク大学に売却され、先ごろ壊された建物跡にニューヨーク大学講堂が建設予定となっています。 

 そして1989年、45歳の若さでスティーブ・ルベルがAIDSで他界した後もイアン・シュレーガーは多くのホテルをプロデュースし続けます。

 その中で出来たのが超有名フランス人デザイナーのフィリップ・スタルクのコラボホテル、ロイヤルトンホテル (この秋より改装)。このホテルの登場がニューヨークのホテル業界を変えたとも言われ現在のいわゆるブティックホテルの完成形。

開発コンセプトは"lobby socializing"。ロビーは宿泊客がニューヨーカーの溜まり場のような感覚で過ごせるスタイリッシュで洗練された空間の中に手軽かつ〝粋〟な場所としててデザインされ提供されること。

 そうやって出来たホテルのロビーの面積は約280坪という広々とした空間。機能的なもの、電話やトイレのほかレセプションまでもパネルの裏に隠されています。そして場所柄、ブロードウェイの観劇客、軽く飲みたいマンハッタンの人々がやってくる姿をみると二人のコンセプトが見事に具現化されているのが見て取れます。

こうやって地元の人の社交場として人気のあるバーやレストランがあると、宿泊客は増えるし、地元の人はうれしいし、ホテルも利益が増え、皆がHAPPYになれる最高のビジネスモデルですよね。

 ホテルをエンターテイメントの場としてだけではなく、地域社会との共生を織り込んだそのコンセプトに世界は脱帽するしかなかったのです。

 このコンセプトはその後PARAMOUNT HOTEL でも実践され、大好評をはくし、サンフランシスコのCLIFT、海外ではロンドンのST. MARTINS LANE HOTELなどを経て、再びニューヨークのHUDSON HOTEL で実践されています。


para lobby1

↑PARAMOUNT HOTELのロビー

 その後2005年にイアン・シュレーガーは独立し、IAN SCHRAGER COMPANY を設立。そこで最初に手がけたホテルが2006年にOPENしたGRAMACY PARK HOTEL

 このホテルはそれまでのブティックホテルとは一線を画し、イアン自身が新しいコンセプトに挑戦したホテルともいえるのでは。奇をてらう演出が仕掛けられたロビーもなければ着飾った人々が集うバーもありません。これまでのブティックホテルはパブリックスペースに費やされていた空間を客室、そしてバスルームにも求め快適で贅沢な空間を演出しています。実際にロイヤルトン、パラマウント、ハドソンは古い1900年前半の建物を改築したもので、部屋が異様に狭く、ベッドが一台の部屋がほとんど!中には14㎡という部屋もあります。

 このホテルの名前ともなっているGRAMACY PARKは公園に入る近隣の住人しか鍵をもっていないプライベートパーク。なんといってもこのGRAMACYは超がつく一等地。この公園周辺の住人になるのは至難の業。ただこのホテルの宿泊客は公園の鍵を受け取れます。そんな素敵な場所にあるホテルだけあって料金もそれなりに素敵なのであしからず。


 そして現在、イアン・シュレーガーはマンハッタンのマンションを手がけるとともに次々とあたらしいプロジェクトを準備中。2008年にはGRAMACY PARK HOTELに続き日本にも滞在したことがあるマンハッタンのCALVIN KLEIN STORE(旗艦店)などを手がけたイギリス人建築家JOHN PAWSONと組んだMIAMI BEACH HOTEL がOPEN。

 そしてMARRIOTT HOTELと組んで世界展開を計画中。ホテル界のカリスマとも風雲児とも言われる

氏の動向から今後も目が離せないホテブロなのです。

*各ホテル名をクリックするとホテルのHPに飛びます


現在のホテル情報は、現地ホテルに直接問い合わせ、回答を反映したものです。情報は随時 更新しておりますが、変更する場合もございます。あくまで、ホテルをお選び頂く際の参考としてご活用ください。ホテル情報の相違に起因するお客様の損害に関しましては、当社では責任を負いかねますので予めご了承ください。

TEXT by Maggie



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    • 投稿: Bibianna Stinga -2007年8月29日 (水) 01時04分

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