行かなきゃ、行かなきゃと思いつつ、悲劇だしな~と躊躇しながら早3ヶ月がたち、さすがにトニー賞の前にと、先日見に行ってきました。
舞台はベトナム戦争最期のサイゴン。時代に翻弄され、それぞれの形で必死に生きるしかなかった人々の生き様を描いた作品。
女性たちのはかない美しさ、現実と貧困から抜け出す為、アメリカンドリームを夢みる人々、戦争が残した小さな命たち…。
最期のシーンで、後ろの席に座っていた男性が、はあっ…と深い大きなため息をつかれ、やるせないのはみんな同じなんだなあと。
平凡な毎日でも生きていけるだけ幸せなんだということにあらためて気づかされ、最近のきな臭い世界情勢の中、同じような悲劇が起こらないよう、戦争がない世の中へというメッセージもこめられていたと思います。
それにしてもこれでもかという悲劇の中にも希望を見出していくのが、人間の人間たる力なんでしょうね。
もう一つの大きな希望として、この舞台に私の応援している日本人の女優さんが出演なさっていることです。由水南さんという金沢出身の女優さんで、前回は王様と私にも出演なさっており、さらに輝いていらっしゃいます。ますますのご活躍を応援してます!
ちなみにブロードウェイのショウでは舞台の後に、出演者の方々がファンにサインをして下さるのがお約束でして、閉演後役者さんたちの素顔を垣間見ることができるのもブロードウェイ鑑賞の醍醐味です。
抜群の歌唱力を誇る主役キム役のノバ・ノブルザダさんはトニー賞の主演女優賞にもノミネートされ、ロンドンのウェストエンド公演からずっと主役を務める20歳の女優さんですが、チェックのネルシャツにエコバックという姿で出てこられ、まるでキャンパスにいる学生さんのようで、なんともかわいらしい。
どぎついエンジニア役のジョンジョンブリオンズさんもさわやかで精悍な素顔。
特に今回は濃いお芝居ということもあるからか、みなさん思った以上に華奢ですっきりなさっており、びっくり。ステージではものすごく大きく見えたのに、こればブロードウェイに立てる役者さんの演技力のなせるわざなんでしょうね。ステージを降りるとオーラを消して、オンとオフの切り替えも上手なんですね~。
そして主役級の方もお一人でふらっと歩いて帰られるんですよ!なんか自然体すぎてすごい!と変に感心してしまいました。
P.S. 大人向けのミュージカルです。
Miss Saigon
The Broadway Theater (53rd Street & Broadway)
http://www.saigonbroadway.com/
https://tour.his-usa.com/city/nyc/detail.php?tid=828
byあつ