最近メトロポリタン美術館の特別展がとっても面白いです。
メトロポリタン美術館といえば、世界中の珠玉の名作が集まったニューヨークにある美術館で、所蔵品はすべて寄付や、 寄付されたお金で購入したものという、 アメリカが世界に誇れる美術館です。( 戦争や占領した土地で奪ってきたものではないということです。)
メトロポリタン美術館では常設展はもとより、 常にいろいろな特別展が行われております。
今回は6/16(日)までの特別展、The Tale of Genjiを見にいってきました。
今回この源氏物語をテーマにした特別展示のために、 浮世絵などの通常日本美術のセクションに飾ってあるものの展示は お休みしております。
源氏物語は石山寺で紫式部が書いた日本最古の長編小説ということ で、入口に石山寺の本堂を再現したスペースがあり、 このようなところで紫式部が執筆なさったのだという気分が伝わっ てきます。
実際にオープニング時には石山寺の僧侶の方々がいらっしゃり開白法要をなさったそうです。(行事の最初の日に仏様に行事の趣旨を申しあげ、無事成功を祈る儀式ということです。)
ちなみにメトロポリタンで日本の仏式法要が行われたのも初めてだったそうです。
私は実は大和和紀先生の漫画「あさきゆめみし」 を読んで、源氏物語の内容を理解しました。
うるわしい光源氏の華やかな女性遍歴と当時の貴族の暮らしぶり、 冷静に考えると次から次へと新しい女性が登場するなかなかのウーマナイザーぶ りではありますが、 少女マンガの世界の魅力的な主人公、 登場人物たちと美しい絵ですっかり歴史物語の世界へひきこまれます。
当時の女性たちも、「あなた、あのお話の続きもう読んだ?」 という感じで話題もちきりだったのかもしれませんね。
展示で久しぶりに登場人物の名前などを見ると、若かりし日々に夢中になった漫画の世界の記憶がよみがえります。
昔は印刷技術がなかったので、 物語もすべて筆で書き写し、 後世まで伝わってきたということにあらためて驚かされます。
様々な形、種類の源氏物語があり、中には文字だけのものや、 絵と文字の組み合わせの掛け軸や巻物、屏風など、 様々な時代の関連したものが展示されています。
書は優雅なひらがな( でも達筆すぎて読めない)、 絵はひとつひとつがとても繊細なタッチと美しい色合いで本当にかなりの職人技でびっくり です。
江戸時代頃の新聞に描かれていた絵を見ますと、 このようなイラストを描いてきた歴史が、 日本の漫画のルーツなのかもと思いました。
すっかり見学に夢中になってしまい写真を取り忘れたというのもありますが、きれいな貝あわせなど物によって写真NGなものもありますのでご注意を。
最後のお部屋に「あさきゆめみし」 の原画の展示があり、 これもまた繊細なタッチと色彩でとても美しくうっとり。
今度の土曜日6/8に、 なんと大和和紀先生のトークショウがメトロポリタン美術館で行わ れるそうです。
2時~3時でレジストレーションが必要ですが無料ということです。
(メトロポリタン美術館自体の入場料は必要ですが、特別展も無料で見学できます。)
(トークショウ予約画面はこちら)
日本の宝物に時空を越えてニューヨークで出会えて、とてもうれしい気分になりました。
PS. ちなみに分厚いプログラムが$ 65で入口で販売されているのですが、 アメリカ人の方々がばんばん購入していて少し驚きました。
by あつ