私がニューヨークへ来た時、初めて印象に残ったのが、空港からマンハッタンへ行くタクシーの窓の外に見えた壁やトラックの横などに大胆に描かれたグラフィティでした。落書きというには、あまりにも芸術的なデザインや色使いに驚いたのを覚えています。ちなみに、日本にいた頃の「落書き」のイメージは、八百屋さんのシャッターなどに黒スプレーで描かれた「へのへのもへじ」でした…( ̄□ ̄;)!!
グラフィティとは?
グラフィティとは、簡単に言えば落書き。スプレーやマジックなどを使って、壁や地下鉄車両などに描かれた絵や文字のことで、ヒップホップの4大要素の一つでもあります。グラフィティには、「タグ」と呼ばれるアーティスト独自のサインも含まれていて、これは60年代のストリートギャング達のなわばり主張
の印として使われていました。スプレーやマーカーなど、誰でも入手できる道具で描けるグラフィティは、貧しい人々でも社会的、政治的メッセージを表現できるコミュニケーション手段でした。だから、グラフィティはいつの時代も貧しい、社会の底流を映し、表現しているもので、70年代以降に、ヒップホップ文化が注目され出し、若者達を中心に一種のアートとして大流行した時
も、それは変わることはありませんでした。
しかし、11年前に当時のニューヨーク市長、ジュリアー二市長が街の美化を訴え、グラフィティに罰金を科すことに。少しずつ街から消えていくグラフィティを惜しむ収集家たち
が、グラフィティをれっきとした「芸術」として見直してもらうための行動をとっています。
ブルックリン美術館「グラフィティ・アート展」
6月30日~9月3日の期間中、ブルックリン美術館で開催されている「グラフィティ・アート展」には、マイケル・トレイシー(Tracy 168)、サンドラ・ファバラ(Lady Pink)、クリス・エリス(Daze)などのグラフィティ界のカリスマ・アーティスト達の作品が展示されています。会場中央には、訪問者たちが自由に落書き出来る白い壁が設置されているので、ぜひ自分だけのグラフィティを描いてみてはいかがですか?
Information
Brooklyn Museum(ブルックリン美術館)
200 Eastern Parkway
Brooklyn, New York 11238
(718) 638-5000
水~金(10:00~17:00)、土・日(11:00~18:00)
入場料:大人(8ドル)、学生&シニア(4ドル)、12歳以下(無料)
地下鉄:2・3線でEastern Parkway/Brooklyn Museum駅