ニューヨークのB級グルメの代表と言えば、ストリートにトラックやカートを駐車して食事をサービスするヴェンダー(屋台)ではないでしょうか。
特にビジネスマンを中心に、時間を惜しむ地元ニューヨーカーにとって、”早い”、”安い”が魅力のストリート・ヴェンダー(フード・トラック)は心強い存在です
しかも5~6月は天気も良くて穏やかですから、買った食べ物を公園や、ビルの谷間にあるオープン・スペース、道端の腰掛けられる場所など外で食べるのは気分も良いですし、ニューヨークの短い春と秋の季節ならではの楽しみとも言えます
ヴェンダーはマンハッタン中どこでも見受けられますが、やはりメッカと言えるのが、代表的なビジネス街でもある6番街とパーク・アヴェニューです。
中でも、6番街の46丁目と、パーク・アヴェニューの52&53丁目は、ストリートにヴェンダー達のフード・トラックがズラリと並び、いつも平日のランチ・タイムは大勢の人で賑わっています。
こちらは6番街46丁目の路肩を占拠するフード・トラックの列
ヴェンダーのメニューは、やはりニューヨークならではで何でもアリですが、一番有名で数も多いのがホットドッグ&プリッツェルと中東系フードです。
今回は、そうした中東系フードの中でも人気が高く、ニューヨークのB級グルメ・フードの代表的な存在の一つでもあるファラフェルをご紹介しましょう。
このファラフェルというのは、チック・ピーまたはガルバンゾと呼ばれる豆(日本ではヒヨコマメと呼ばれていますね)を水に戻してすりつぶして、ハンバーグのように練り上げて揚げたものです。
(お豆で作ったミニミニ・コロッケ)。
中東と言えば紛争の絶えない場所ですが、このファラフェルだけはアラブ人もユダヤ人も同じように食べる、ピースフードと言えます。
もちろん食べ方は土地柄によって多少異なりますが、ニューヨークで食べるファラフェルは、基本的にパレスチナ、イスラエル系が多く、ボケット状のピタ・ブレッドに揚げたてのファラフェルとトマトやキュウリなどの野菜を挟み込み、タヒニ・ソース(ゴマ・ペースト)をかけてサンドイッチとして食べるのが主流です。
ファラフェルのヴェンダーは、マンハッタン中あちこちで見かけられますが、今回はその中でもナンバーワンの呼び声の高い、こだわりのファラフェル・ヴェンダーをご紹介しましょう
名前はモーシーズ・ファラフェル。イスラエル人の運営するヴェンダーです。
ここは本当にいつも行列ができていて、開店前から人が並び始めるので、並ばずに買えるのは閉店間際くらいです。
なぜここは数あるファラフェル・ヴェンダーの中でも大人気なのか
それは、油とメニューにこだわりがあるところなんです。
ファラフェルは揚げ物ですから、時間が経つと美味しさが半減してしまいますし、揚げたてでも揚げ油が悪い(古い)と美味しくありません。
実は、ほとんどのファラフェル・ヴェンダーが経費削減のために同じ揚げ油を数日間使ったりするのですが、ここは毎日油を変えているのです
そして、メニューは基本的にファラフェルと野菜スープのみ。
ファラフェルはレギュラー・サイズかハーフ・サイズのサンドイッチか、ファラフェルのみか、という選択しかありません。
ほとんどのファラフェル・ヴェンダーは、お肉料理も一緒に調理・販売していますが、モーシーズは肉類は一切使用しませんし、調理の際に肉類と混ざることも無いわけです。
こうしたこだわりが、健康志向の強いニューヨーカーには大変人気で、ニューヨークには多いヴェジタリアンやヴィーガンには特に人気です。
さて、それでは早速ファラフェル・サンドを買って、食べてみたいと思いますが、食いしん坊さんにはレギュラー・サイズでもよろしいですが、普通はハーフ・サイズでも充分です($5以下で食べられますしね)。
初めての方にとって難関は、オーダーと食べ方です。
概してヴェンダーさん達はあまり愛想が良くありませんし、短い時間で数をさばかなければならないので、とてもせっかちです。
「はい、次何どう作ってほしいんだソースはどうするホット・ソース(辛いソース)もかけるのかいフレンチ・フライ(フライド・ポテト)は上に乗せていいのか」立て続けにこんな調子でまくし立てられます。
ですから、自分に注文の順番が回ってきた時に、どうしようかな~などと迷っていては怒られます。並んでいるときに注文はしっかり決めておきましょう。
ちなみに私の場合は、順番が回ってくると、言われる前に「ハーフア・リトル・ビット・ホット・ソースフライズ・オン・ザ・トップ」と希望だけを大きな声で伝えて手早く作ってもらうようにしています。
そして、オーダーすると、すぐに御代を頂戴しますと手を出してきますから、お金を用意しておくことも大切ですね。
これで、ハーフ・サイズのファラフェル・サンドを無事ゲットできました
アルミ・フォイルに包まれた巨大なおにぎりみたいですね
フォイルは二重に包まれているので、はがしていかなければならないのですが、この時、上下を逆にして開けると中身が落ちて大変なことになります
ということで、上下を確認して、1枚目のフォイルを剥がすと。。。
これ、どこからどうやってかじればいいの
そうなんです、こんな状態では、よほどの大口の人でないと食べられません。
ですから、次の大切なポイントは、ヴェンダーでファラフェル・サンドを受け取るときに、フード・トラックのカウンターにあるフォークと紙ナプキンをしっかりと取ってくるということです。
そして、フォークを使って溢れ出た中身を食べていき、自分がかじれるような状態になったら、フォイルをさらに剥がしていきながらパクパク、ムシャムシャと食べていくわけです。
でも、これもなかなかテクニック()が必要とされますし、私もこれまで何度かピクルスを落としたり、ファラフェルが横から転げ落ちたり、ソースが手にべったりと流れ出たり、と悪戦苦闘してきました。
よってここから先は、私も写真なんて撮っていられる状況ではありませんので、ご勘弁を
後は、あなたのセンスと力量()にお任せいたします
P.S. ちなみに、どこかに持ち帰られる時は、ソースはかけずに別の小さな容器に入れてもらうと、ファラフェルやピタ・ブレッドがベチャベチャにならなくて良いですよ
Moshe's Falafel
6番街と46丁目の西南角
Sam