2019年7月、アゼルバイジャンのバクーで開催された第43回世界遺産委員会で、
20世紀アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867-1959)が設計した
8ヶ所の代表的建築作品群が世界遺産に認定されました。
●フレデリック・C・ロビー邸(イリノイ州シカゴ、1906年)
●ユニティー・テンプル(イリノイ州オークパーク、1908年)
●タリアセン(ウィスコンシン州スプリンググリーン、1914年)
●バーンズドール邸(カリフォルニア州ロサンゼルス、1917年)
●落水荘(ペンシルバニア州ピッツバーグ、1936年)
●ハーバート・キャサリン・ジェイコブズ邸(ウィスコンシン州マディソン、1936年)
●タリアセンウエスト(アリゾナ州スコッツデール、1937年)
●グッケンハイム美術館(ニューヨーク州ニューヨークシティ、1959年)
いずれも周囲の景観に見事に溶け込んだ傑作建築作品ですが、
なかでもフランク・ロイド・ライトの最晩年、1959年の死去後に完成したグッケンハイム美術館は、
建設当時からの斬新さを失わないモニュメントとして、高い人気を集めています。
美術館名の由来となっているソロモン・R・グッケンハイム(1861-1949)は鉱山王として知られていましたが、
現役を退いた後は現代アートの蒐集を始め、ソロモン・R・グッケンハイム財団を設立しました。
最初の美術館は1939年に開館。その後1949年に現在の5番街に移り、さらに紆余曲折を経て、
1959年にフランク・ロイド・ライト設計による独特なカタツムリ形の建物が完成します。
内部は吹き抜けになっており、ロビーから天井を見上げると、自然光が内部全体を照らしているのがわかります。
鑑賞の順序としては、まずエレベーターで6階まで上がり、螺旋状にスロープを下りながら、
展示された作品を見ていく形になります。
スロープを下りる途中に小さなお土産屋やトイレがあり、各自のペースで鑑賞できるようになっています。
3階にカフェがあり、2階の常設展示ではピカソ、シャガール、カンディンスキーなどの有名作品に出会えます。
写真撮影も許可されており、全体的に開放的な雰囲気が特徴です。
この美術館で見逃せないのが最上階で行なわれている特別展示。
現在は11月6日までの期間限定で「バスキア展」が行なわれています。
ジャン=ミシェル・バスキア(1960-1988)はニューヨークのブルックリン生まれ。
17歳頃から地下鉄やスラム街の壁などにスプレーペインティングを始めたのをきっかけに
芸術活動を行なうようになりました。
その後アンディ・ウォーホルと知り合うことで精力的な活動を続けましたが、
ヘロインに溺れ、27歳の若さで亡くなってしまいます。
しかしその作品が後世に与えた影響は大きく、日本でも大規模なバスキア展"Made in Japan"が
今年の9月21日から11月17日まで開催されることになりました。
グッケンハイム美術館の特別展では、作品数こそ少ないですが(バスキア自身の作品9点+関連作をあわせて20点くらい)
いずれもインパクトの強い傑作が展示されています。
機会があればぜひご覧になることをお勧めします。
■MORE INFO■
SOLOMON R. GUGGENNHEIM MUSEUM
1071 5TH AVENUE(88-89ST)
NEW YORK, NY 10128
TEL: 212-423-3575
Posted by Firebird '19