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先日、サイパンに日本の映画がやってきました。
太平洋の奇跡っていう映画で日本でも公開が始まったみたいです。
http://www.taiheiyo-no-kiseki.jp/index.html
たぶん日本でもＣＭとかでやってると思われるので説明は省きますが
面白かった。
サイパンで唯一の映画館にて、向こうに見えるタポチョ山を舞台にした映画。
劇中、大場隊と行動を共にした日本民間人が約２００人弱。
この日、試写会のチケットもらって集まったサイパンの日本人がやっぱり
２００人弱。
自分はもちろんスクリーンのこっち側でポップコーン食べながら居心地よい
側だったのですが、今、サイパンに日本人ってこんなに住んでたんだって
くらい沢山で、知り合いが全員いるんじゃないかって程だったから、なんだか
こっちはこっちで連帯感的なものを感じて、同時に自分も日本からとんでも
なく遠くに流れ着いて暮らしてんだ～って、おとーちゃんとおかーちゃんの事
若干思い出したりして複雑な心境。
あと思ったのが、ずいぶんアメリカやヨーロッパから褒められた映画なんだ
そうですが、太平洋戦争もずいぶん昔のことになってしまって、興業として
映画を作る場合、また、戦争を後世に伝えていくアプローチも少しずつ変化
してきてるんじゃないかと思った。
例えば日本のチャンバラ時代劇。
戦国武将の中には卑怯なことに打ち勝つにはより卑怯なことしなきゃなん
ないみたいにして名を挙げた人がむしろ多かっただろうけど、大河ドラマに
出てくる主人公はいつも正義の味方で善人。
他のお茶の間時代劇でも、バッサバッサと斬られて死んでゆく斬られ役の人
たちは血もでないし、劇中、その人たちにも家族子供はいるだろうけど、
とにかく血も出さずに死んでゆき、そして斬るほうは歌舞伎役者のような
足さばきで汗一つかかず、それが正義であるがごとく大量殺りくを行う。
それをお茶の間で見る側に悲壮感はなく、むしろ痛快と呼ぶ。
そんなおかしな理屈が通っちゃうのは、もちろん、時代劇がエンターテイメント
としての演芸文化として別の方向で発展を遂げたっていうのもあるんだろう
けど、今の世の中、戦国時代、江戸時代の人々の生活を想像するのが
難しいっていうか無理だから、あくまでそれはテレビの中の出来事でリアリティ
がないからだと思う。なんせ昔すぎるから。
それと同様に、太平洋戦争を知る人もどんどん少なくなって、生活用品から
なにからこれからますます、当時と感覚的にかけ離れていくと思う。
８０年代の恋愛ドラマのリメーク版で男女が電話一本のタイミングの悪さで
すれ違い行き違い・・・なんてのをみると、なんでこいつら携帯使わねんだろ、
あ、そっか,なかったんだ携帯っていうのと同じ違和感、言い換えれば
リアリティのなさを感じるのと同じ。
大体、今テレビドラマで固定電話なんか出てこないし。
太平洋の奇跡では悲しい歴史も丁寧に描かれていたけれど、これから先
なんとなく戦争の描かれ方も違ってくるのかもしれないっていう予兆を感じた。
殊、映画って売れなきゃいけないわけだし。
ただサイパンには、そんなことお構いなしに、幹線道路から５分外れた
ジャングルに当時日本人が死の行軍を続けながら残した鍋釜、ハンゴウ類が
ふつうに落ちているのです。
日本で生まれ育った自分の先祖は戦国の世をゴキブリのようにひっそりと
かろうじて田畑を耕しながら生き延び、今の日本人のおばあちゃん、
ひーばあちゃんの世代は間違いなく誰もがなんらかの形で戦争を経験し
生き延びた。そのためには他の人の手助けや犠牲も随分あったと思う。
そして自分は今、生きてる。
自分が今ここにいるっていうリアルはつまりそういう事なんだって思わず
にはいられない。
サイパンのお年寄りから聞いた話で、お年寄りは映画のことを未だに
自分たちの言葉として、カツドーっていうのだそう。
もちろんこれは活動写真のことで元は日本語。
そんな日本人とサイパンのつながりの中、サイパンでは今日もビキニの
おねえちゃんとかが楽しくビーチで遊んでる。
それぞれに日頃の職場、学校、就職活動、色んな悩みや苦しみを抱え
ながらも、サイパンで束の間楽しい時間を笑って過ごし、日本も
取り敢えずは平和でいることに感謝しなければいけないのだと思うのです。
by yoshi
