河の国バングラデシュ。もちろん橋はあるけれども
見えていてもはるか遠く。そして船を通すゆえにはるか高く。
こんなシロモノを歩いて渡ろうとする地元の人、あまりいません。
橋の上、日陰ないし。というわけで、
“水面(みなも)の風が心地いいぜぃ”でおなじみ(?)、渡し舟です。
どこの国へ観光に行ってこんな小舟に乗っても、見物目的だと同じところから同じ場所まで、ぐるっと一周。なかなか対岸へ上陸するチャンス少ないのでは?(予想ですが)。インド・ヴァーラーナスィーのガンジス河しかり、ダッカではショドルガット(ダッカ市街の港)しかり、佐渡のたらい舟しかり。なんで佐渡や!
そんなお休み(金曜日)の前夜、ダッカの南、ナラヤンゴンジ在住の友だち(バングラデシュ人。しかも高校生)から電話がかかってきて
ナラ友「明日は仕事休み?」
僕「金曜は定休日だよ」
ナラ友「じゃ、ナラヤンゴンジ・ハウス(ナラ友自宅のこと)だね」
僕 (こっちの都合は聞かんのかい!)
ナラ友「朝10時にグリスタン(ダッカのバス乗り場)ね」
時間まで指定されたがな!実はこの電話、毎週木曜夜の風物詩と化しております。なぜか筆者、バングラ人の友だち(ボンドゥー)が毎日、どんどん増えていくのです(笑)。
そんなわけで、ナラヤンゴンジのメアリー・アンダーソン号の公園へ(紹介記事はこちら )。公園行く前にこの友だちの家へ寄ったのですが、ワールドカップ開幕以来16人家族がアルゼンチン派 とブラジル派 に大分裂。険悪なムード(笑)だったので家を出て
やはり、河の空気はいつでもゆったりですねえ。
国営施設にはためく大量のブラジル国旗。ゆったり…どころか肩の力が抜け落ちる(笑)。ついで屋台にてくてく。もしや。
ナラ友「食べる?」
僕「さっき昼メシ食べたばっかじゃ?」
ナラ友「おごりだから!」
バングラデシュ人の好意は、いかなるときも(笑)万難を排して(笑)受け取るのが自分のポリシーです。「いただきます」。豆のどろっとしたのにマサーラー(香辛料)がかかった、いかにも屋台風のスナック。バングラ人のおすすめにハズレなし。外国人(僕)の食事姿が見世物と化すのもまた、ハズレなし(笑)。
なかなか記事が河向こうに進みません。えーと、
ナラ友「あっちまでいくら?」
船頭「100タカ(約140円)」
ナラ友・僕「えーっ!?」
バングラ人がバングラ人の船乗りに吹っかけられたがな! すると、野次馬してた地元のお兄さん(もちろん初対面)が、ここぞとばかりに(笑)だだだっと交渉。
ナラ兄「ボンドゥー、20タカ(約28円)だ」
舟に乗るのに陸から出ました!助け船。(←しょーもない)
そういうわけで、ブリゴンガ河の対岸まで出発です。水面の風は、気温がどんなに高くても涼しいもの!おまけに写真日和の青空ときました。
5分ちょっとで憧れの大地こと(?)ブリゴンガ河対岸へ。
どこの領土やねん!と思わずにはいられないはず。他国の旗だらけ。W杯、出場してますが日の丸が見あたりませんねえ。はて…(苦笑)。
待ち構えるベビータクシー(オートリキシャー)が、ダッカ市内乗り入れ対応の緑色(=天然ガス使用)ではない、黄+黒塗装。いよいよ「ダッカの外」に来た実感、小爆発。
これから水が増えると沈むはずの草地へ上陸。ほんの100メートル陸側に進んだだけで
また、池が! 個人的な感慨で申しわけないのですが、この景色を見て「あ、やっとバングラデシュに来たわあ!」思いました。というのも、かつて幾度も、日本からデリーへ飛んでいく飛行機からバングラデシュの「どこが陸かどこが河かわからん大地」を見ていて、その日本離れした水の景観に、ずっと憧れていたんです。
▲お昼の飛行機でバングラに来れば「陸と水の溶けあう国」が空から!
「河向こう」の集落は、ダッカへ道で直結したナラヤンゴンジの街並みより、ずっとのんびりした雰囲気。
ブラジル国旗は、より「ブラジルらしき何物か」に発展(?)をとげ
子どもたちははだかで遊びまわり
おじさんは柴刈り…で造られた小屋でテレビに興じる一方で
おばあさんは洗濯を…桃は流れてきませんが。
そのままゆくと、また桃源郷のような景色が。
緑色の池と池のあいだに、細い一本みち、赤い土、青い空。
そんな池と道の角にあるのは、水上カフェ(?)。
ミルクのない、茶色のチャーイ(ラール・チャーイ)が出てきました。
僕「おっちゃん、ミルク入りのチャーイなかったん?」
おじ (意味深な笑み)
さては練乳、切らしたな(笑)。でもおいしい!「バングラの田舎の水の上の木組みのお店でチャーイ」だなんて、もう、シチュエーションだけで105%(税込)うまいの、確定ですがな!
というわけでナラヤンゴンジの「河の向こう側」、由緒ある観光スポットなんてゼロの場所ですが、すごく楽しかった! この日撮った写真を数えてみたら、675枚! こころがそれだけ動いたのです、と大甘の締めをつけまして(笑)。 “河と水の国、バングラデシュ”は、ほんのすこしダッカを飛び出せば、すぐそこにあるんですねえ。
じつは、「ちょっとだけダッカの外で、ひょいと河の国バングラを楽しむ」旅、企画進行中。もうすぐ発表できますので、すこしお待ちくださいね。今年の夏休みこそバングラ=河と水の世界、行っちゃいますか?!