バングラデシュは、イスラム教徒(ムスリム)86%にものぼります。

 そんなムスリムの大切な祝日が、「コルバニ・イード」。

 今年のコルバニ・イードは、1117日から。


 ペルシア語の「クルバーン(犠牲)」とアラビア語の「イード」の合成語、つまり「犠牲祭」という意味です。全部アラビア語で表現する「イードゥル・アドハー」という言葉もあるのですが、耳にする割合は半々くらい。


 この国では、牛と山羊を犠牲に捧げます。おとなりインドでは、牛を神聖視するヒンドゥー教徒が多数派なので山羊(と羊)が選ばれるそうですが、バングラデシュでは牛がメイン。噂では、インドから「神聖な」牛が大量に国境を越えて連れてこられてるらしい! もちろん、ダッカでもあちこちで牛が飼われています。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9484ボナニ湖畔の牛

ダッカ支店のすぐ近く。高級住宅地にも牛。

 で、牛や山羊は、飼っている人々からお金持ちの人々に売られ、17日の朝に生贄に捧げられる…といった具合。その売買の場が、「ハット」と呼ばれる臨時の市場。街中にはハットのポスターがベタベタ貼られております。下の写真のポスター、「ハット!ハット!!ハット!!!」連呼で書いてあるんですが、そりゃ「はっと」しますわな。…すいません。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9900ハット!ハット!ハット!


 

H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9814ハットの門宣伝

空港と市内を結ぶ大通りにも、ハットのゲートが。


 ダッカ支店の近くにできた、ボナニ駅前のカウ・ハットに行ってきました。ボナニやその近くのグルシャン・バリダラ地区はお金持ちが集まる街だけに、高価なうしさんやぎさんが集まるそうで。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9817干し草


 ハット向かいの歩道には干し草が山積み。オジさん、上で寝よる!気持ちよさそう。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9838ボナニ駅舎前

駅舎の前ですが、牛だらけ()


 ハット!ハット!!ハット!!! 牛!牛!!牛!!! そして人!人!!人!!! 大混雑です。明かりはありますが、基本的に狭く暗いので、そして牛のお尻のすぐ近くも通るので…ときどき「爆弾」のやわらかな感触が足裏に(笑)。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9845バスチケット売りば

バスのチケット売り場も牛に封鎖され。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9850カクリ交差点



H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9825白い牡牛



 「牡の白牛」といえばインドでは一番神聖な牛のタイプですが(シヴァ神の乗り物なんで)、ここにいるということは…いやいや語るまい(笑)。とにかくガタイのイイ牛の次々出てくること!


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9829トラックで搬入中。



H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9894どあっぷ


うしくん「あー、俺食べるんだ―」(←想像)


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9874座って待ってます



自分「どっから来たん?」

オジ「ディナジプール」

自分「めっちゃ遠いやん!」

 ディナジプール、ダッカから300キロくらいあるやんけ!「ダッカが高く売れるから」ですって。バングラデシュはお金持ちが首都ダッカに集中しているので、高価なモノや人は何でもここに集まってくるのです。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9885いくらです?


オジ「クシュテイアから」

 クシュティアか…インド国境のすぐ近くやぞ。もしやインド産?


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9876ご自慢の?


自分「いくら?」

オジ「ティーン・ラック」

 つまり30万タカって…40万円か! 物価が日本の10分の1くらいの国でこの値段。30万タカ出せる人、ダッカならばいるんですね。地方の農家の彼らにとっては大収入のはずです。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9888白黒つけさせましょう。


 こっちは35万タカ(45万円)。この日聞いた中で最高額。大切な収入源の花道ですから、お飾りもしてあったり。いかに牛が大切にされているかが見た目でわかります。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9865木戸銭徴収!


ここで売り上げの一部を徴収。


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9856黒山羊つれて。


 ヤギさんを連れてきている人もいます。繁殖力の強いヤギも、貧しい人々の貴重な現金収入源。かのグラミン銀行の「マイクロクレジット」でも、農村の女性が子ヤギを購入して育て、高値で売って経済的自立を…なんて話を聞きます。と思ってこのオジさんに聞いたら「グルシャンから」ですと。すぐ近くの高級住宅地育ちかい!


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9869やぎいくら?


オジ「これ、25000タカ(33000)

 やっぱ高い…。


 ところで、バングラデシュにも15%ほど住んでいるヒンドゥー教徒。神聖な牛が、しかも街中で生贄にされるのは彼等にとってどうなん?と思いました。知り合いのヒンドゥー教徒氏に聞いてみました。彼は、もちろんビーフカレーは食べません。まわりがビーフのときは、特別に卵料理を用意したりしています。


自分「…で、コルバニ・イードはどう過ごすん?」

ヒン「普通に過ごすけど」

自分「普通って?」

ヒン「牛、犠牲にするの眺めたり」

自分「見るんはヒンドゥーもOKなんか!」


 …ということらしい。他人様の宗教や習慣は別もの、という意識がしっかりしているのですね。バングラデシュ人からよく、この国はイスラム教徒とヒンドゥー教徒が互いの文化を大切に仲良く暮らしている、というお国自慢を聞かされるのですが、それは本当のようです。他の国(インドも含めて)でときおり聞く"宗教原理主義の台頭"なんてお話、バングラデシュに半年暮らしていて僕、一度も聞いたことありません。というか、ハットに誘ってくれたのもこのヒンドゥー氏やし!


H.I.S. ダッカ支店(バングラデシュ) ~ショナル バングラ~ -9841明日の命は?


 そういうわけで、次回は白熱の()コルバニ・イード実況中継でございます。



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