今回は少し重いお話ですが、
「ダッハウ強制収容所」について、アクセスや展示内容をご紹介いたします。
ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に組織的な大量虐殺を行った場としては、
ポーランドの「アウシュヴィッツ強制収容所」を耳にしたことがある人が多いでしょう。
強制収容所の象徴となっているアウシュヴィッツは、最大規模の施設、100万人を超える
膨大な犠牲者数の点において有名ですが、
この他にも同様の収容施設・隔離区域がヨーロッパ各地に4万か所以上確認されています。
ダッハウは、ナチスの独裁政権が始まった1933年に建てられた後、
この強制収容所を模範として多くの収容所が建設されたため、
最も古い強制収容所として歴史的に重要な意味を持っています。
私も、アウシュヴィッツを含め様々な負の遺産を訪れましたが、
ダッハウは展示資料が多く、印象に残った場所の一つです。
●施設情報
名称:KZ-Gedenkstätte Dachau
http://www.kz-gedenkstaette-dachau.de/
住所:Pater-Roth-Str. 2a,D-85221, Dachau,Deutschland
開館日:火~日、9時~17時
休館日:月曜日、12/24
(コロナウイルス拡散防止のため2020/3/16~4/19まで臨時休館)
入場料:無料(事前予約不要)
●アクセス
ミュンヘンから近郊鉄道Sバーンとバスの乗り換えで合計約40分ほどで着きます。
ミュンヘン中央駅(München Hbf)から、
Sバーン(S-Bahn)のS2線のピータースハウゼン(Petershausen)行きに乗車し、
ダッハウ駅(Dachau)にて下車。(9駅目約20分)
バスのS726線Saubachsiedlung行きに乗り換え、KZ-Gedenkstätte駅にて下車
(7駅目約8分)、バス停目の前がすぐ入口です。
電車、バス共に約20分おきにでています。
接続等詳細は、ドイツ鉄道公式サイトで確認できるので、ご自身でもチェックしてみてください。
(München Hbf発 KZ-Gedenkstätte着で検索 )
https://www.bahn.de/en/view/index.shtml
- 強制収容所へ
それでは実際に中に入っていきます。
バス停を降りるとすぐ向かいにある大きな看板が目印です。
少し先にビジターセンターがあるので、
一度こちらに立ち寄り地図やパンフレットを手に入れましょう。
カフェテリアやブックショップも入っています。
€4でオーディオガイドの貸し出し、11時と13時に英語ガイドツアーが行われていますが、
いずれも日本語はありません。
施設内の展示にも日本語はないのですが、施設内を歩き、
展示や復元施設、慰霊碑を見て回るだけでも学べることが多くあります。
説明を読み込むと丸一日、展示をざっと見るだけでも2時間以上は必要でしょう。
屋外はあまり日差しを遮るものがないので、夏は帽子等があるとよいかもしれません。
逆に屋内はひんやりしているので、脱着可能な体温調節しやすい服装がお勧めです。
収容所跡地へ続く門に、
有名な「ARBEIT MACHT FREI(働けば自由になる)」のフレーズが。
しかし、言葉に反して門の内側は自由のかけらもなかった世界。
囚人たちは何を思いながらここを通り抜けたのでしょうか。
敷地内には主に
博物館
バラック跡地
教会やモニュント
があり、周囲はぐるりと有刺鉄線で囲われています。
冒頭の写真は、有刺鉄線に絡まった人々を表したモニュメントです。
実際に使われていた就寝部屋
ガス室
そして焼却炉。
このダッハウ強制収容所では6万3000人を超える人々が収容され、
約1万5千人が命を落としたそうです。
ナチスは、ユダヤ人だけではなく同性愛者や身体障碍者、ジプシー、政治的な敵対者も迫害していました。
そのため、犠牲者の信仰宗教も多義にわたり様々な宗派の教会が敷地内にあります。
こちらはカトリックの教会。
他に、カルメル会、プロテスタント、ロシア正教会、ユダヤの記念碑があります。
多くの人々が墓地を作られることもなくこの地で亡くなったため、
遺族にとっては、この強制収容所が慰霊の地となります。
絶え間なく訪れる祈りをささげる方々を目にすると、
戦後何十年たっても終わらぬ現実であることを実感させられました。
“GRAVE OF MANY THOUSANDS UNKNOWN”
数千の名もなき者の墓
ここで亡くなった1万5千のうちの一人一人に、
それまで生きてきた人生があったはずです。
ダッハウ強制収容所を歩くと、彼らの声が聞こえてくるようでした。
皆様もぜひ、ミュンヘンに行かれた際は立ち寄ってみてください。
ナチスのホロコースト・大虐殺は、
第一次世界大戦で敗戦後の多額の賠償金を抱えたなかで、
責任をユダヤ人や社会的弱者に押しつけ彼らを排除せよと、
国民が潜在的にもっていた人種差別意識や集団心理をうまく利用し政策として進められました。
時代は繰り返されます。
私たちの身近にも、不幸を起こしてしまいかねない種が転がっています。
戦後75年の節目に、もう一度過去の過ちを学び、
現代をもう一度見つめなおさなければいけません。
------\ 今回の旅好きライター/-----------------------------
ペンネーム はいじ
ひとこと:「知ること」は平和への大きな一歩です!
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