ブロードウェイといえば、「ニューヨーク」を連想する方が多いと思いますが、ロサンゼルスにも立派な「ブロードウェイ」があるのをご存知ですか?
ロサンゼルスのブロードウェイは、ダウンタウン地区にあり、地下鉄の駅からも1ブロックと非常に身近なロケーションにあります。しかし、このブロードウェイ、フロンティア開拓とともに一世風靡したあとは、少し元気がなくなります。それでも当時の面影をいたるところに残しつつ、今では知る人ぞ知る、ハリウッドにならぶカリフォルニアの歴史には欠かせない場所となっています。
「ね?」ちゃんと看板にも書かれていますね。このエリアはその名に相応しく、沢山の美しいビルディングが立ち並んでいました。アメリカのオイルショック後の景気停滞により、その居住者達がミリオネアからメキシコからの移民者に代わり、今に至っています。目線を低くもって街を歩くならば、そこはどこかメキシコの街のよう。しかし、目を上に向けてあるのであれば、そこには昔のロサンゼルスの歴史を満喫できるのです。
今日は、ちょっと感動的で夢のあるお話をご紹介。
(ちょっと長いですがご容赦下さい。)
3rd st x Boradwayの交差点に位置する、一見なんの変哲もないビルディング。しかしここブロードウェイでは一番有名なビルであり、毎日たくさんの観光客が訪れています。
ビルの名前は「BRADBURY」といい、1893年の建築されたロサンゼルスでもかなり古く、そして色々なストーリーが隠されているビルなのです。
ここブロードウェイの古いビルは非常に個性的で、芸術性が非常に高い建築物がたくさんあります。気をつけないとすぐに見落としてしまいそうなものばかり。ロサンゼルスは文化的観光資源が他の大都市に比べ少ないといわれますが、アメリカの開拓史、経済史を背景に見てみると見所のあるものは色々とあります。
さぁ、なかに入ってみましょう。
当時のミリオネアであり、多くのビルを建築した"Lewis Bradbury"氏が、生涯最後の建築に「彼自身を象徴」としたビルを残こそうと考えます。これがそのビルですが、そこには面白いエピソードがあります。
ブラッドバリー氏は当時、名の知れた有名建築家(Architect)に依頼し、建築を試みますが、なかなか彼のイメージは程遠く、当時の常識を覆すような"Craftsman(工芸家)"にその設計を頼みました。その名前は"George Wyman"といい年齢は32歳の若者でした。不明瞭であり完成のイメージはまさにミステリアス。しかしブラッドバリーは決断しました。
ウィーマンはもちろん今まで設計したこともなく、ブラッドバリー氏からの依頼を断ります。しかしながら彼の22歳の弟と話し合った結果、ブラッドバリー氏からの依頼をうけることに決めました。
彼は当時、人気だったエドワード・ベラーミー氏が描いた1887年の刊行された「Looking backward」という"2000年の空想的な文化"という作品に共感を持ち、これを現実化させていきます。
当時では想像もできなかった独創的なアイディアとイメージで、彼は常識をどんどん覆すべくチャレンジしていきます。
その典型的なデザインは、当時例がなかった「吹き抜け」があり「天井がなく光が差し込まれる」ビルでした。
そして「壁がない籠のようなエレベーター」や、「幾何学的な階段設計」と、その設計は溢れんばかりの光で包まれ、ブラッドリー氏がまさに求めるような傑作ビルが完成しました。
100年以上も前にこのような設計をすることがどれだけ異次元といえるかおわかりかと思います。1893年の時代からしたらまさに「ユートピア」だったのかもしれません。
これがその吹き抜けと幾何学的な造りの階段とエレベーターです。
これがその有名な天井です。
100年以上も前に設計されたと信じられますか?
壁のないエレベーター。
当時の彫刻のブームにもそってデザインは非常に細部にまでこだわっています。
タイルはメキシコから輸入し、階段はベルギーから輸入されました。
そしてもっと驚くべきことは彼(ウィーマン)は建築家でもなく、エンジニアでもない、ただ週に$5を賃金としてもらっていた外装建築のスタッフだったのです。この建築方法において当時著名な雑誌だった「芸術と建築」ではすぐさまこの建築を非難しましたが、ブラッドバリー氏は「そこには危険性はない。そんなのあとから思いついたことだ。」と一蹴。そして、そのブラッドバリー氏はこうも言い残しています。
「It is a forever young building, out of a youthful and vigorous imagination.But it has left nothing to change. Stairways leap into space because of endless calculations. The skylight is fairy tale of mathematics」
しかしながら、彼はその完成まで残り数ヶ月残して1983年にこの世を去ります。
そしてこのビルを設計したウィーマンにとっても彼の最高傑作となりました。
そして彼はこのビルを造り終えたあと、芸術の学校に入学し勉強をしましたが、これと同じようなビルは二度と造りませんでした。それはまるで彼がありのままの創造性を搾り出して到達した一つゴールだったのかもしれません。
ブラッドバリー氏の残した言葉は心に響きます。
ここにはチャップリンの像が置かれています。
そして、運命なのか、さらに感動を誘う話がここに。
1983年に建築のユートピアとしてイメージされ造られたこのビルディング。
未来を描いたハリウッド人気映画「BLADE RUNNER」でも、その独特で幾何学的なデザインが撮影でも使用されました。
それは2000年でもなく、もっと未来の話。何か運命的なものを感じます。
嘘のような本当の話。これぞアメリカンドリーム。
未来(ユートピア)をイメージして造ったこのビルが本当にユートピアになってしまうとは、当人達もそこまでは想像がつかなかったでしょう。
こうしたみどころがまだまだたくさん眠っているロサンゼルス。
市販のガイドブックだけを頼りにあるくのはもったいない。(!?)
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