ヴェネツィア料理を楽しむ、というと、アドリア海で獲れる新鮮な魚介料理を想像します。
ただ、ヴェネツィアは世界に名だたる一大観光都市ですので、レストランの数も多いですが、中には食後にイヤ~な思いをすることもあるのは事実。
イタリアに住むイタリア人でさえ、ヴェネツィアで食事をする際にはかなり慎重になります。ヴェネツィアはイタリアで最も物価の高い町として悪評も高い場所なのですから。
個人的には小さなオステリアやヴェネツィア独特の居酒屋のスタイル「バーカロ(チケッテリア)」でワインをちびちびしながら料理をつまむのが好きなタチなのですが、今回はリアルト橋近くの有名店『トラットリア・アッラ・マドンナTrattoria Alla Madonna』をご紹介します。
ここは地元人にも、また観光客にもよく知られている店のひとつ。1954年創業。ヴェネツィアにしては珍しい100人以上入る大型店です。
場所はリアルト橋の近く、ヴェネツィアでも飲食店の激戦区の一画にあります。
週末ともなると店前にはいつも長蛇の列。ヨーロッパの人々は夕食が遅いので、ちょっと早めに(20時前くらい?)並べばスムーズに店内に入ることができると思います。
店内は入り口にその日に獲れた新鮮な魚介がケースに並べられ、またその向かいには魚介や野菜を使ったアンティパストやコントルノ、煮込みなどが大皿に並べられています。
席に着くまでの間にこれらの素材や料理をよく見ておいて注文すると良いと思います。
混雑時には150席近くあるテーブルはほぼ満席となります。入り口から想像するよりもはるかに奥の深い店内です。雰囲気としては大衆食堂的な賑やかさ。
さて、ここでのお勧めはもちろん魚介料理。
アンティパストにはグランセオラのサラダ「グランセオラ・コンディートGranzeola condita」(クモ蟹の身をオイルと塩、コショウ、レモンで味つけしたもの)や茹でシャコ「チカラ・ディ・マーレ・オーリオ・エ・リモーネCicala di mare olio e limone」(茹でたシャコをオイルとレモンで味つけしたもの)、小イワシの甘酢漬け「サルデ・イン・サオルSarde in saor」(揚げた小イワシをタマネギとともにワインビネガー、オイルに漬けたもの)などがヴェネツィアならではの料理。
プリミ・ピアッティにはイカスミのスパゲティ「スパゲティ・コン・セッピエネーレSpaghetti con seppie nere」、アサリのスパゲティ「スパゲティ・アッレ・ボンゴレSpaghetti alle vongole」など。個人的にお勧めは海の幸のリゾット「リゾット・コン・フルッティ・ディ・マーレRisotto con frutti di mare」です。
私の友人の中にはここのリゾットが一番!!と信じて疑わず、リゾットを食べたいがために店前の列に身を置くのです。(並びたくなければもう少し早く食べに行けばいいとは思うのですが・・・。)
なんでもこのリゾットの美味さの秘密は、リゾットをつくる際に不可欠な魚介のブロード(だし汁)にあるのだとか。具となる魚介そのものよりもこのブロードが命のリゾットは、ブロードがなくなった時点で売り切れ御免となるとのこと。
そしてセコンドとしては、魚介のフライ「フリットゥーラ・ミスタ・デッラドリアティコFrittura mista dell’Adriatico」や、やはりイカの墨煮「セッピオリーネ・アッラ・ヴェネツィアーナ・コン・ポレンタSeppioline alla veneziana con polenta」でしょうか。
気になる価格はアンティパスト10~12ユーロ、プリミ・ピアッッティ10~12ユーロ、セコンド・ピアッティ(魚)10~15ユーロです。ヴェネツィアにしては手頃だとは思いますが、お皿は少々小さめ。またコペルト(席料)は2ユーロです。
ヴェネツィアの飾らない食事をお望みの方はぜひどうぞ!!
Trattoria Alla Madonna
Calle della Madonna, Riarto
Tel;041.5223824
記事写真提供: 特派員白浜さん