今年もビエンナーレ(国際現代美術展)の季節がやってきました。
第53回となる今年は『Fare mondi/ Making words/ 世界を構築する』と題し、6月7日から11月22日までの開催です。
ビエンナーレとは、2年に一度開かれるアートの国際展示会です。
美術のほか、建築、音楽、映画、演劇、舞踊など各部門にわかれ、この期間中にヴェネツィアでは様々な催しものが目白押し。ちなみに7月に開催され、日本人監督の作品なども出品されて話題を呼ぶヴェネツィア国際映画祭もこのビエンナーレの一部です。
世界各国から関係者や愛好家が多く訪れ、ヴェネツィアで催されるイベントとしては有名なもののひとつ。展示会場はヴェネツィア本島の東側に位置するカステッロ(ジャルディーニ)と旧国立造船所であるアルセナーレですが、その他特別展として、メイン会場に展示場を持たない国や地域、または個性的なアーティストの展示会場としてヴェネツィア中の古い家屋(屋敷)や美術館やギャラリーなどの一角が開放されています。
メイン会場はチケット制で有料ですが、それ以外の特別展は無料で見学でき、普段は一般開放していない建造物に入ることもできるのでかなりお勧めです。
展示場はヴェネツィアの各所にたくさんあるのですが、観光客にも位置的に解りやすいサンマルコ広場付近の物をいくつかご紹介しますので、観光の合間にお時間のある方は是非立ち寄ってみてください。
サンマルコ広場付近にはモロッコ、アルゼンチン、台湾、アイルランド、モナコ、マカオ、グルジオなどの国々の展示がひしめいています。
台湾館はドゥカーレ宮殿の隣、ためいきの橋でつながれた牢獄の中にあります。
簡素な石造りの狭い階段を昇ると大きく開けた空間には、写真で彩られた大きなパネルが飾られています。現地の建築を土地にあった素材と技術で造りあげるというテーマに沿って、人々の作業状況や生活の一部などの写真が飾られていて、人々の生き生きとした表情が印象的。
また、奥の薄暗いスペースでは、今と昔が混在する現在の台湾の町の様子の写真展。
さらには、米国ヴィザ取得を巡る現実問題をビデオ化して流すなどの作品もみられます。
台湾館のある牢獄からさらにスキアヴォーニ河岸を東に進むと、
モロッコ館のあるサンタ・マリア・デッラ・ピエタ教会があります。
教会の幻想的な雰囲気と現代アートが混在するヴェネツィア的・典型的な展示場。
さらに進むとアイルランドと北アイルランド会場を指す看板が。
看板の指す通りに進むと、上記教会の裏手の建物に到着。表通りからはずれてひっそりと涼しく、緑が美しい庭のある建物。両者とも建物内を暗くいくつかの部屋に区切り、映像を中心とした展示。
アイルランド館はこの建物の小さな階段を昇ったところにあります。
おもしろいのが、ある英文をインターネットの翻訳機能を使用して翻訳した場合の整合性展示。
英語から始まっていくつかの言語翻訳を通して最後はまた英語に。
日本語も含め約40カ国の様々な言語を通過すると、全く別の意味を持つ意味不明の文章となるということを示していて、入場者も興味深けに見入っていました。
このほかにもヴェネツィア・ビエンナーレの見どころはあちらこちらに点在。
こういったアートに興味があるなしに関わらず、普段では触れることのできない現代アート及びアーティスト、国や地域、そして建造物を間近にするいい機会でもあります。
記事&写真提供:特派員白浜さん