ブラーノBurano(ヴェネト弁では「ブランBuran」)はヴェネツィア・ラグーナの潟に存在する島のひとつで人口は約3000人あまり。
この島の特徴は、建ち並ぶカラフルな家々。その昔、この町を支えてきた漁業に従事する人々が、ちゃんと家に辿りつくために沖合いから自宅を見分ける目印としたことに由来しています。冬季は特に霧の深いこの土地では、この鮮やかな色彩を頼りに自宅を見つけることができたのだそうです。
イタリアが共和制になる以前のイタリア王国(レーニョ・ディ・イタリアRegno d’Italia)の時代(1861-1946)には、国から家の色を統一するよう指令も出されましたが、ブラーノの住民の強い反対にあい、この土地独自の「カラー(個性、特徴)」を保つことが認められました。家の色は一軒一軒違い、それこそがその家ならではの「カラー」ということなのです。
ブラーノを含めヴェネツィア周辺は同姓が多く集まる土地もありますし、一部地域には屋号も存在します。そのため家の壁色も人物・家族を特定する役割をもっていたりします。
こうした家々もその昔は非常に簡素なものでした。ブラーノに人が住み、ひとつの自治体となり始めたばかりの頃には、パラフィッテ(parafitte)と呼ばれる竹や葦でつくられた水面の高床式住居のようなものだったのです。そう、タイやヴェトナムなどのアジア地域で見られる家に似ていました。
2世紀ごろからレンガ造りの家の建設が始まります。1600年代にヴェネツィア本島に拡がった伝染病の影響も本島から離れていたためブラーノでは被害も少なく、それをきっかけにラグーナのひとつの自治体として頭角を表したといわれています。
1923年まではブラーノ独自の自治体として存在していましたが、その後はヴェネツィアの他島同様、ムラーノ(Murano)やペレストリーナ(Pellestrina)とともにヴェネツィア市に組み込まれています。
この島の重要な産業はよく知られている通り、16世紀から発達したメルレッティ(merlett:レース編み)。残念ながら、現在ブラーノ及びヴェネツィア本島で観光客向けに売られている手頃な値段のものは本物のブラーノのメルレッティではないものが多いのです。そういったものは中国製や東欧製、もしくはイタリア製でもヴェネツィア以外の他の土地で製造されているものが多いのでご購入の際にはよぉくチェックしてください。
手編みレース職人の高齢化、後継者不足などから現在では本物のメルレッティにお目にかかることも難しくなりつつあるのです。
一時は漁業とメルレッティで成り立っていた島の産業も、今や衰退の一途。暮らしが苦しくなり他の街や土地へ移り住む人々が後を絶たないのが現状です。
そんな島の中心はブラーノ唯一の高い建物でもあるサン・マルティーノ教会。
地盤沈下で斜めに傾いた塔が目印。ヴァポレットの船着き場からこのサン・マルティーノ教会までの大きな通りがブラーノのメイン通りです。
道の両脇にはみやげ物店やレストラン、トラットリア、バールなどが並んでいるのでゆっくりと散策を楽し目増す!!
レストランもいくつがありますが、分かりやすくて良心的な一店が、このメイン通り沿いにあるトラットリア 「ダ・プリモ」。
もちろん、ここでは魚介料理がオススメ!
アドリア海近海魚でこの土地ならではのゴー(gò)という小さな白身魚(ハゼの一種)を使ったリゾットは特にオススメ。
ちなみにゴーはヴェネト弁であり、正しいイタリア語ではギオッツォghiozzoという魚です。
写真はイカ墨のリゾットとの盛り合わせで、どちらも潮の風味の高い極上の味わい!!
Trattoria “ da Primo”
Piazza Galuppi 285, Burano (VE)
Tel/fax; 041.735550
メイン通りからはずれて運河沿いを歩くと、魚のメルカート跡も見られます。
ここで毎朝魚のメルカートが開かれていたのは7-8年前まで。今はその棚だけが残るちょっとノスタルジックな風景となっています。
ヴェネツィア滞在中にゆっくりと散策するにはもってこいの非常に可愛らしい島。ヴェネツィアとはいっても華やかな観光地とは少々趣が異なる素朴なイタリアに触れることができますよ!!
記事&写真提供:特派員白浜さん