2009年9月2~12日、第66回ヴェネツィア国際映画祭が開かれました。
世界中には映画祭と呼ばれるものは数百もあるといわれていますが、その中でも歴史と伝統のあるものとして他に秀でているのが、カンヌ(フランス)、ベルリン(ドイツ)、そしてここヴェネツィアのそれで、この3都市のものが世界3大映画祭とされています。
ヴェネツィアのものはさらに歴史があるもので、第1回の開催は1932年のこと。
これまた世界最古の美術展にあたる「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の映画部門として始まりました。
ちなみにカンヌは1946年、ベルリンは1951年からの開催です。
映画好きなムッソリーニの時代には、政治が介入することもあり、受賞作品が入れ替わるなどの問題も発覚し、その権威を欠き、また世界大戦などで参加国が激減するなどで規模縮小を止む無くされた時期もありました。カンヌの華やかさに比べると、規模的にも控え目な感じもありますが、その伝統は今でも受け継がれ、この時期の恒例行事として、関係者及び映画ファンの一大イベントとなっています。
1950年代には、日本映画も数々賞されています。
1951年、黒澤明監督の『羅生門』が、日本映画としては初の最高賞「金獅子賞」を獲得しています。
会場はヴェネツィア本島から離れたリド島。
映画「ヴェニスに死す」で有名なホテル・デ・バンや、有名俳優たちが島に降り立つ際の船着き場の目の前という立地のホテル・エクセルシオールなど、伝統的な豪華ホテルや別荘も多く、特に浜辺に近い通りはリッチな雰囲気を漂わせています。
この時期には、こういった高級ホテルは映画関係者の宿泊先ともなるので、各ホテル前には報道陣も多く見かけられます。
同島のカジノも映画祭会場の一部となり、レストランなどが解放され、華やかな雰囲気に包まれます。
また、同期間中には、海岸通りルンゴ・マーレでは「OPEN12」と題された作品展も開催され、ヨーロッパを中心としたアーティストの作品が道端に点々と設置され、道行く人々の目を楽しませてくれます。
映画祭最大の見所は、各国から代表作がノミネートされるコンペティション部門。
このなかから金獅子賞(最優秀作品賞)、銀獅子賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞などが決められます。
2009年は、「レバノン(サムエル・マオツ監督/イスラエル)」が金獅子賞を受賞しました。戦争を題材にした、考えさせられる作品です。
さて、メイン会場となるのは現在工事中の「パラッツォ・デル・チネマ」。
会場前はレッドカーペットが敷かれ、俳優たちがそぞろ歩きをしながら報道陣に向かってスマイルを送る場所。
観客もここに押し寄せ、有名俳優の来る日、時間にはものすごい人だかりになります。
私の訪れた日には、イタリア映画のコンペティション出展作品の「イル・グランデ・ソーニョIl Grande Sogno」の出演者、関係者が会場入りする、ということで多くの人々がカメラを片手に歓声をあげていました。
メイン会場近くには、屋外売店も設置されており、DVDやら洋服、雑貨などが売られているテントが立ち並んでいます。
そのなかで今年は日本人のジュエリーデザイナー「hosoda kiyoko」さんの出展も。
フィレンツェにアトリエを持つ彼女の店舗ではシルバーを主体とした可憐なジュエリーが並べられています。
ひとつひとつの細工が非常に細かく繊細で、薄いシルバー製のレースのような印象。でも存在感あるそれらは思わず手にとってみたくなるものばかりです。大ぶりなネックレスなどもありますが、重さを感じさせない独特の軽やかさのあるデザインです。ピアスやブレスレット等々、彼女の優しげな人柄を表すような素敵なセンスが光ります。
フィレンツェでも特に店舗は持たずにアトリエのみで活動中 。
フィレンツェにお越しの際は直接足を運んでみてください。ポンテ・ベッキオの近くです。
記事&写真提供:特派員白浜さん