ヴェネツィアの一大イベントであるカーニヴァルが3月8日のマルテディ・グラッソを持って終了しました。
最終週末だけでも250.000人もの人出があり、期間後半は特にお天気にも恵まれて最高の盛り上がりを見せました。
カーニヴァルはイタリア語ではカルネヴァーレ。
カトリックの国で見られる行事のひとつで、「謝肉祭」と訳されるものです。
食事を制限される「四旬節(断食しながら祈りや慈善などの償いの業を行う期間)」に入る前の祝宴が催される期間をさしています。
前述にイタリア語では「カルネヴァーレ」と書きましたが、その語源となるラテン語は「カルネム・レヴァレCarnem Levare」それが「カルネ・ヴァーレCarne Vale」と語彙変化しています。
その意味するところは「カルネ(肉)/ヴァーレ(さらば)」 。
その年の暦により、四旬節の時期が変動し、それに伴いカーニヴァルの期間も変動しますが、
ほぼ一週間程度とされ、最終日は常に火曜日でマルテディ・グラッソと呼ばれています。
ヴェネツィアのそれは実は大変に歴史があり、現在残っている記述としては13世紀に遡るもの。
期間としては6週間ほどで、キリストの誕生の翌日の12月26日から四旬節の初日(灰の水曜日=復活祭の46日前)までを指していました。
18世紀に入り、ヴェネツィアを訪れるイタリア国内、そして他ヨーロッパをはじめとする各国からの観光客のためにイベント化されたことが現在にも残るこの行事です。
さて、ヴェネツィアのカーニヴァルのメインイベント会場となるサンマルコ広場には、仮装をした人々が人ごみをぬうようにしてそぞろ歩き。
素敵な仮装をしている人には皆がカメラを向けてその美しい(たまに奇妙な)仮装姿を写真に収めています。
仮装する側もそれに応じてあっちを向いたりこっちを向いたりとポーズをとる、という光景があちらこちらで見られます。歴史的建造物をバックにする幻想的な衣装をつけた彼らは本当に絵になるものです。
毎年開かれる仮装コンテスト。
3日間に及ぶ審査に見事勝ち抜き、2011年に最も栄誉ある『ラ・マルケラ・ピューベッラ(最も美しい仮面賞)』にはドイツ人の2人(写真左側の2人)。
『ラ・マスケラ・ピュー・ベッラ・スタイル“800”(800年代スタイルの最も美しい仮面賞)』にはベルギー人カップル(写真中央)が選ばれています。
ヴェネツィアの良き時代を象徴するかのごとく、大変に豪華で気品のある姿です。
そして、『アル・テンポ・ディ・クエスタンノ(今年の特別賞/グループ賞)』には、ローマの3人組がノミネートされました(写真右側)
サンマルコ広場は観光客も押し寄せて、広場近くの小路は普通に歩くのもままならないほどの大混雑を見せますが、もちろん地元の人たちもカーニヴァルを楽しみます。
概してヴェネツィアの人たちは混雑した大きな広場を敬遠しがちですが、比較的観光客の少ない数ある小さな広場には、子供たちも楽しめるようなイベントも開催されています。
ここはサン・ポール広場。
着ぐるみを着た小さな子供やお姫様の格好をした女の子たち。
カラフルで可愛らしく見ていて大変に微笑ましいのです。
食べものの屋台が出たり、簡易スケート場などが設置されたりして、家族連れが楽しんでいます。
そして、年明けからカーニヴァルまでのこの時期、ヴェネツィアのお菓子屋さんやパン屋さんの店先に山に積まれる恒例のもの、「フリッテッレ」。
子供のゲンコツくらいある大きな揚げ菓子で、中にカスタードクリームやザバイオーネが入っています。
生地に干しブドウが混ぜこんである中身のないものも。
毎年変わることのない、この時期の風物詩。
また、来年も楽しいカーニヴァルを迎えることができることを願いつつ…。
カーニヴァルが終わると本格的に春がやってきます。
大混雑だったヴェネツィアにも、本格的観光シーズン前のしばし静かな期間が訪れます。
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック