ヴェネツィアにカーニヴァルの季節がやってきました。
今年の開催は2月4日から21日まで。
カーニヴァルとはパスクア(復活祭)の40日前のある期間、
パスクア前に清めの意味を込めた食の制限をされる期間に入る直前を指しています。
始まりは不定期ですが、マルテディ・グラッソ(肥沃な火曜日)で終わることとなっており、今年はそれが21日の火曜日にあたります。
グラッソ(豊かな、肥沃な)というのは、食事制限前にたっぷりと美味しいものを食べて祝う、という意があります。
カーニヴァル自体の始まりは11世紀と言われていますが、
ヴェネツィアのカーニヴァルとして公式記録として残っているものは1294年といわれ、
それから伝統行事として現在まで続くものです。
世界各地のカトリックの国で見られるカーニヴァルの催しですが、ヴェネツィアのそれは島じゅうが仮装する人たちでいっぱいになることで有名。
世界中から多くの観光客が集まる時期でもあります。
さて、同フェスタ期間は、毎年様々なイベントが催されています。
日替わりに、または期間を通してのものですが、今年の目玉は『ワインの泉』。
カーニヴァルのメイン会場ともなるサンマルコ広場のドゥカーレ宮殿前に設置されたフォンターナ(泉)です。
ぱっと見た感じでは、もともとそこにあったような美しいアンティーク調の姿。
フォンターナを囲むのは、祝福する天使たち。
そして、ヴェネツィアのシンボル獅子もしっかりと刻みこまれています。
サンマルコ広場は、一杯のグラスワインを示すヴェネツィア特有の「オンブラOmbra(影)」という言葉の生まれた場所として、ヴェネツィア人とワインとの繋がりも深い場所ともいえます。
というのも、
その昔、同広場にワインを売る露店が立ち並んでいたころ、
日の当たる大きな広場ではワインの質が劣化してしまう。
そこで、業者たちはサンマルコ広場のシンボルのひとつである鐘塔の影を追って
場所を移動していたということから
「鐘塔のオンブラ(オンブラ・デル・カンパニーレ)」と呼ばれるようになったのだそうです。
「オンブラ」という言葉は、現在でもヴェネツィアに住む人々には非常に親しみのある言葉であり、
日常語でもあるのです。
そのオンブラが今年のカーニヴァルでサンマルコ広場に登場した、というユニークな企画です。
提供されるワインはもちろんヴェネト特産の品種。
ラボーゾRaboso、ガルガネーレGarganere、メルローMerlot、コルヴィーナCorvina、そしてプロセッッコProsecco。
設置されたフォンターナ上部、そして下部の獅子(?)の口から本物のワインが湧きでます。
フォンターナは期間中いつでも見られますが、
実際にワインが湧き出る時間には限りがあるようです。
週末及び午後が狙いどき。
1杯2ユーロで楽しめます。
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック