長く長く親しまれ続けた店でもある、船の八百屋さんが
惜しまれつつも営業を終了したのは、昨年暮れのこと。
場所はカンポ・サン・バルバラ(カンポ・サンタ・マリゲリータから至近)にある橋のたもと。
運河に浮かぶ船上いっぱいに積まれた野菜や果物の風景は、
地元の人々の日常であり、
また観光で訪れる人にはヴェネツィアらしい風景として、
足を止め、カメラを向ける光景でもありました。
昨年末の閉店の後、
エルネストErnestoさん、フルヴィオFulivioさん、ジーノGinoさんの元経営者から受け継ぎ、
2月に再開させたのが新しいオーナーであるファビオFabioさんとディアーナDianaさんの兄弟です。
写真右側がファビオさんです。
以前と同様の運河に活気を取り戻し、
地元野菜を中心に新鮮な野菜を満載し、
再開を喜ぶ地元の人々もまた戻ってきました。
野菜の元気な色が運河を彩っているようにも見えます。
前オーナーのジーノさんも古巣にてお手伝い。
船の脇で作業中なのは、カルチョッフィ(アーティチョーク)の掃除です。
ヴェネトではカルチョッフィの処理の仕方も独特で、
周囲のガクを全て取り除き、つぼみの底にあたる部分だけを残します。
これはフォンディ(底という意味)と呼ばれ、
八百屋さんの店先では家での手間を省くためにこうして掃除したものも並ぶのです。
地元ならではのこの処理したカルチョッフィを買い求めに
わざわざミラノから来るご婦人もいたとか。
(まあ、これだけが目的ではないかとも思いますが…)
こちらはヴェネトの冬の代表野菜であるトレヴィーゾ産ラディッキオ。
こちらは同品種でカステルフランコ産。
もちろんお客さんの多くは地元の人々。
ヴェネツィアの人々に長く愛され続け、これからも同様に永く親しまれる八百屋さんです。
そこにあるのは必須で必然。
ここに一角の風景となり得る、ヴェネツィアならではの叙景です。
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック