ヴェネツィアの冬の到来はアックア・アルタとともにやってくるともいえます。
 10月後半ごろからやってくる季節のもの。
 
 季節の風物詩とは言っても、
 地元の人たちにとっては日常生活に大変に影響や被害のある自然現象で、
 水と共存するこの町に長く住んでいても、
 毎回のこの現象には悩まされるもの。
 
 その被害対策もそれなりにはありますが、
 どんな対策も自然が相手ですので、有効でないこともあります。
 
今年もこの季節がやってきました。
アックア・アルタの原因といえるのは、
-潮の満ち引きによるもので、特に満月、新月、大潮の際の満潮時による影響。
 -気圧の変化により、低気圧のときに海面が上がることによる。
 -シロッコと呼ばれるアフリカ大陸側からふく南風により、アドリア海のどんつきにあたるヴェネツィアに大きな水の塊となって押し込まれる。
等々の自然現象が組み合わさって起こるものといわれています。
 
 
ヴェネツィアでは、アックア・アルタに関しての研究も非常に進んでおり、
 現在では、最高水位とその日時が事前に、
 それもかなり正確に解るようになっています。
 水位に応じ、赤・オレンジなどの警報が発令され、
 住人やヴェネツィアへ通勤する人たちなどは、頻繁に確認をしています。
 
また、この時期には毎日の水位情報も公開されています。
ヴェネツィア市のHPである
『Città di Venezia』http://www.comune.venezia.it に、
 その日の最高・最低水位が表示されていますので、
 この時期にヴェネツィアを訪れる方はチェックされるとよいでしょう。
 
10月後半の数日間は、今年初の記録的なアックア・アルタがあり、
最高水位140cmを超すものでした。
 最近の高水位としてまだ記憶に新しいものでは
 2年前の2010年にもやはり同レベルのものが起こり、多くの被害が出ましたが、
 今回のものもまたそれにも勝る大きいものでした。
 
通常では、満潮時を過ぎるとみるみるうちに水がさーっと引いていくものですが、
 今回のものは、悪天候なども重なり、
 水がひき終わる前にまた上がってくるという状況で、約3日間に渡る被害。
 
 おまけにこれだけの高水位ですと、
ヴェネツィアのほぼ全域が水に浸かってしまうということになります。
 ちなみに、ヴェネツィア本島のなかで、
 最も海抜の低いのがサンマルコ広場。
 水位80㎝に近くなるとすぐに広場は水浸しとなります。
 本島内でも高低がありますので、アックア・アルタの日でも、水に浸らない場所もあるわけです。
 
 水があがってくる予報となると、
パッサレッレと呼ばれる渡り廊下が道に並べられ、
 通行人はこの上を通ることになりますが、
 あまりにも水が高くあがってくると、
 今度はこれらが浮いて危険なため、取り外されることとなります。
 
 
 また、建物の一階部分の入口には、水の侵入を防ぐ楯がつけられます。
 水が入らないということはあり得ないのですが、
 これにより、水の侵入が少し遅れたりすることになりますので、
ヴェネツィアではこの時期になるとよく見かけられるものです。 
 
 
 
住人は長靴はもちろん欠かせないアイテム。
パッサレッレ上を通らずにも歩けるよう、
 漁師さんの使うような、足をすべて覆う長いゴム長靴が、
 働く人たちの必須アイテムでもあります。
アックア・アルタの日でも、できる限りの通常通りの日常活動は続けられます。
観光で訪れた際にアックア・アルタに遭遇した場合には、
 街角のエディコラ(売店)などで、
簡易式の靴を覆うフィルム式の長靴が購入できますが、
 これらも即完売してしまいますので、
 もしもご旅行中にアックア・アルタに出会ってしまったら早めのご準備をお勧めします。
 
記録的な水位の日ではなければ、
 たいていの場合、
 満潮時を過ぎると水がどんどんとひいてきます(お昼前ぐらいの場合が多いです)ので、
 しばらくは歩ける範囲のところを歩き、
 水の状況を見ながら島内を歩くこともできます。
 
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック

 
                
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