みなさん、ナマステ~



今回からは「ぶらりインドマイナー都市の旅(カシミール編)」です!

何回かに分けて書きたいと思いますが、Part1では主にカシミールについて知っておきたい基礎知識や歴史などについて解説します。



【目次】

 1. カシミールとは??

 2. カシミールのイメージ(治安)

 3. カシミールの主な観光資源

 



1. カシミールとは??

カシミール(Kashmir)地方は、インド最北端ラダックの手前にあるデスティネーションで、ジャンムー・カシミール連邦直轄領に属しています。

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〜〜flair(豆知識)州と連邦直轄領の違い〜〜〜

現在インドには28の州、8つの連邦直轄領が存在しています。

28の州はそれぞれ自治権を有していますが、連邦直轄領は自治権を有しておらず、その名の通り「連邦政府(ようは国)」に直接統治されています。

連邦直轄領に指定されているところは、デリーやチャンディーガルなどの意図して作られた都市や、他の国と土地の権利問題で揉めていたり、独自の文化を形成をしていたりと、少し複雑な土地柄が多いです。

(日本で言う樺太や尖閣諸島などのようなもの、と思ってもらえるとわかりやすいかもです・・・!)

ジャンムー・カシミールは元々ラダックも含め1つの州だったのですが、

2019年にジャンムー・カシミール州に特別自治権を認めていたインド憲法第370条が撤廃され、ジャンムー・カシミール連邦直轄領とラダック連邦直轄領に分割されました。

地図のLAがラダック、JKがジャンムー・カシミールです。

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ジャンムー・カシミール州はその名の通り、ジャンムー地方とカシミール地方に分かれます。

2つはもともと隣り合った別の地域でしたが、イギリス統治下に1つにまとめられました。

なので土地柄が一緒というだけで、ジャンムーはヒンドゥーマジョリティー、カシミールはムスリムマジョリティーと文化的には差があります。

今回お届けするのはジャンムーではなく、カシミール地方への旅行記です。(ジャンムーもいつか行ってみたいと思っているので、その機会があったら書きます。)


ちなみに、夏はカシミール地方の最大都市シュリナーガル、冬はジャンムーと季節ごとに首都を交代していたします。(理由は不明ですが、なんだか可愛いですよね笑)





2. カシミールのイメージ(治安)

①日本人のカシミールに対する印象

知らない方も多いのですが、知っている方は「カシミア生地のカシミール?」とか「カシミール紛争のあったとこ?(教科書で習った)」というようなリアクションをされます。

その通り、上質な生地として有名な「カシミア」はカシミールという地名に由来します。

ただカシミール地方はインドだけでなく様々な国にまたがるので、現在のカシミア生地の主な生産地は中国とモンゴルです。

〜〜flair(豆知識)「カシミア」と「パシュミナ」の違い〜〜〜

「インドでよくパシュミナ生地のショールが売られているのを目にするけど、カシミアとは違うの?」と疑問に思われる方も多いかと思います。

私もその1人で、インドに来てから初めて「パシュミナ」の存在を知りました。

その違いについては以下のサイトに詳しく解説されていますが、

簡単にまとめると「カシミアとパシュミナはほぼ同義」で、

「パシュミナはヒマラヤの高地に生息するカシミア山羊の冬の獣毛を使って作られる生地」で、この条件に当てはまらない場合はパシュミナではない。(例:ヒマラヤ低地に生息するカシミア山羊から作った場合、など)

このパシュミナが通称「カシミア」という名前で世界中に広まった(カシミア山羊はカシミール地方にしか生息しないため)。

現在は「子山羊だけから採れる毛で作ったもの」や「山羊の喉元の毛だけで作ったもの」など、パシュミナとカシミアの違いについて、デマ情報が蔓延しているようです。

(私も今のいままでお店の人に言われたその言葉を信じてました!わざとか、お店の人も知らなかったのかは分かりませんが、信じて騙されて買っているお客様も居たのでショックですね、、このやろう〜)

プロだから教えられる カシミヤとパシュミナの本当の違い|Great Artisan(グレートアーティザン)

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また、世界史の授業で習ったカシミール紛争のイメージから、カシミールに対して「危険な場所」というイメージを持っている日本人も多いです。

カシミール紛争とは・・・カシミールをめぐってインド、中国、パキスタンの3ヵ国が領有権を主張している地域紛争。(特に印パの争いが大きい)


【外務省の発表している危険度レベル】

・印パ国境付近 ※管理ライン(LoC/Line of Control)と呼ばれるが事実上であり法的でない。
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)

・首都シュリナーガルを除くジャンムー・カシミール連邦直轄領
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)


・首都シュリナーガル
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。

・ラダック
レベル1:十分注意してください。

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インド危険・スポット・広域情報 - 外務省 海外安全ホームページ

インドで唯一危険度レベル4のエリアがあるのがカシミールです。



インドと特に仲の悪いパキスタン・中国との国境を有している場所は、パンジャーブ州・ラダックなど他にもたくさんありますが、カシミールが一番危険視される理由は、イスラム教徒がマジョリティーであることが大きいと思います。

パキスタン国境のあるパンジャーブ州アムリトサルはシク教徒、中国国境のあるラダックはチベット仏教徒がマジョリティーなのに対して、

カシミールはパキスタンの国の宗教であるイスラム教徒がマジョリティーなので、国が分裂する原因となったヒンドゥー・ムスリム間の対立もさることながら、過激派の多いムスリムのテロリストがパキスタンからカシミールを通じてインドへ流入しやすいのです。



【カシミールのざっくり歴史】

〜1798年 ムガル帝国統治時代
1799〜1846年 シク王国統治時代
1846〜1947年 英国統治時代(ジャンムー・カシミール藩王国)
1947年

インド独立(インド・パキスタン分離)

→ジャンムー・カシミール藩王国の帰属をめぐって

「第一次印パ戦争」勃発。

以後、大小の軍事衝突(カシミール紛争)を繰り返す。

1972年

事実上の国境「管理ライン(LoC/Line of Control)」を定義。

 →カシミールはPOK(Pakistan-occupied Kashmir)と、IOK(Indian-occupied Kashmir)の2つに分かれました。

1990年代 パキスタンの支援を受けたイスラム教過激派のテロが頻発
2006年 戻り始めたインド人観光客を狙ったテロが横行
2014年

ヒンドゥー至上主義者ナレンドラ・モディがインドの首相に就任。

→カシミール問題でパキスタンに対して強硬路線を取り、砲撃や銃撃戦など、両国で非難の応酬がされる。

2019年2月

プルワマ襲撃事件

(イスラム過激派組織によるインド治安警察部隊への自爆テロ。40人の保安警察隊員が死亡した。)

→バーラーコート空爆(上記に対する報復として、インド空軍がパキスタン領内での空爆を実行。

一連の事件によって、印パ間の緊張が高まった。

2019年8月

インド憲法第370条廃止

(ジャンムー・カシミール州の特別自治権について規定されていたが、国内で唯一イスラム教徒が多数派の州への圧政として剥奪。市民の反発を防ぐため、カシミールのインターネット通信を、1年半以上に及ぶ長期間遮断)

→これに対して抗議するデモ隊と治安部隊の衝突が起き、

住民に対する治安部隊の暴行や拷問もあったと報じられている。

2019年10月

ャンムー・カシミール州の廃止

→ジャンムー・カシミール連邦直轄領とラダック連邦直轄領に分割された

上述の通り、2019年は重大事件や法改正が起こり、カシミールにとって転機となる年でした。

実は憲法370条廃止後のネット規制のタイミングでちょうどカシミールへ居合わせたのですが、今の時代にインターネット通信を遮断されるというのがいかに辛いか思い知りました。

私はただの旅行者だったのでカシミールを出ることが出来ましたが、住人の方々はそうとはいかないので大変です、、。


②インド人のカシミールに対する印象

「一生に一回は行ってみたい」「妻とハネムーンに行く予定」「いつかお母さんを連れて行きたいと思ってるんだけど、ちょっと怖い」などなど、、

インド人にとってカシミールは「夢のデスティネーション」という印象が強く、ただ過去の歴史から少し恐怖心を持っている方もいる(主にヒンドゥー教徒)という感じです。

ラダック同様夏場でも涼しいので、デリー近郊北インド、南インドから避暑地として訪れる観光客も多くいます。





3. カシミールの主な観光資源

カシミールは別名「地上の楽園(Paradise / Heaven on Earth)」「インドのスイス(Switzerland of India)」ともよばれます。

カシミールの観光資源は大きく3つに分けられると思います。

上記愛称の由来でもある「雄大な大自然」と、「ムガル帝国時代の文化遺産」、「カシミールのローカル文化」です。



①自然

カシミールのベストシーズンは春〜夏にかけてとされますが、通年で自然美を楽しめます。

春〜夏・・・緑の山々やチューリップをはじめとした花々、雪解け水の透き通った川、湖でのボートライド、その他ホースライド・パラグライダーなどのサマーアクティビティ

秋〜冬・・・積雪、スキーやスノーボード、雪山遊覧飛行などのウィンターアクティビティ



②ムガル帝国文化遺産

首都のシュリーナガルを中心にムガル帝国統治時代のお城や庭園がたくさんあります。




③ローカル文化

服装や食事、生活スタイルなどカシミールのローカル文化はとてもユニークで面白いです。

人々も肌が白く髭も長く、一見インド人に見えないので、イスラムの雰囲気も相まって、中東かどこかの違う国のようです。





観光についての詳細は次回以降の記事で触れていきます!

今回は主に歴史について解説したので、「カシミールは怖いところ」というイメージがついてしまったかもしれません。

でもそんなことはなくて、実際に何度も訪れていますが、危険な目にあったことは一度もありません。国境が近く軍事施設が多いので、軍用車や軍人さんを多く見かけ、若干物騒な雰囲気はありますが、それも私たちを守るために居てくれていると思えば、むしろ安心です。

ムスリムマジョリティーのエリアなので「過度に肌を露出しない」などのマナーを守り、

「深夜に一人で出歩かない」「貴重品に気をつける」などどこへ行っても同じ最低限の危機感を持っていれば大丈夫です。

(普通に観光で訪れる分には、危険度4の国境付近に近づくことはないです。)


次回はまだ知られていないカシミールの魅力を存分に語って行きます!お楽しみに!!

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