復活祭定番のお菓子といえばハトの形をしたスポンジケーキの「コロンバ」、卵の形をしたサプライズ入りのチョコレートなど。
コロンバはかさばるし、卵チョコレートは繊細すぎて持ち運びに難あり。ということでパスクア(イースター)の時期のお土産
に手軽でオススメ
なのがリンツのウサギチョコ。
スイスのチョコレート会社・リンツ&シュプルングリーはチューリッヒの菓子職人ダーフィート・シュプルングリーとその息子ルドルフが1845年に小さなお菓子店をオープンさせて、当時スイスでも人気だったイタリアのレシピを使って、チョコレートを作りはじめたのがはじまり。素材にこだわった手つくりのチョコレートは大人気となり、1870年には工場も拡大して工業生産を始めるようになります。
一方薬屋さんの息子でチョコレート職人として有名だったロドルフ・リンツは試行錯誤の末に1879年に精練装置を発明して、口どけなめらかなチョコレートを実現しました。
シュプルングリーが息子の世代になると事業は更に拡大して、1899年に新しい工場をオープンさせると同時に、既に名声を挙げていたリンツの工場の買収を決定。こうしてスイスの有名なチョコレート会社2社が合併してリンツ&シュプルングリーが生まれました。
イタリア国内では1909年に創業した飴玉工場ブルゲローニと協力して1947年からチョコレートの生産を開始。1993年にリンツ&シュプルングリーが完全に買収。
そんなスイスを代表するチョコレート会社・リンツ&シュプルングリーのパスクア(イースター)の定番となっているのがゴールド・バニー。キリスト教の国では復活祭のお祭りにはハトやヒツジに並んでウサギも主役の1人。
チョコレートのゴールド・バニーもまさにイースターの季節の主人公です。手のひらに乗る大きさの金色の紙に包まれたウサギ型のチョコは首に赤いリボンを巻いて鈴をつけていてキュート。金色の紙にプリントされたウサギの顔は淡々とした表情で無愛想ですけど。
このゴールド・バニーの歴史は1950年にまで遡ります。
パスクア(イースター)の数日前に庭で見つけたウサギを逃がしてしまって、家に連れて帰れず悲しんでいる息子のためにリンツ&シュプルングリーのチョコレートマイスターが初めて作ったウサギ形のチョコが原型。
赤いリボンと鈴を首につけているのも金色の紙で包まれているのも「チョコレートのウサギまで逃げないように」そして「逃げてもすぐに見つけられるように」という温かい父親の愛情の証。
こんな話を秘めたゴールド・バニーはイタリア国内では大きめのスーパーマーケットや街中のバール、高級食材店で購入することができます。一個(100グラム)3,00ユーロ程度。
イースターになぜウサギ??
近代に入ってからのイースターの慣わしには、森や自宅の庭に隠されている色付き卵を子供たちが競って探すという遊びがあります。庭の片隅にきれいに彩られた卵を見つけたとき、偶然にもウサギが飛び出してきたのを見つけて、子供たちが「ウサギが卵を産んだ」と大喜びした一件があり、それからかわいらしいウサギはイースターのシンボルに加えられたのです。