特派員記事 2008.04.08

復活祭前の金曜日が「聖金曜日(ヴェネルディ・サント)」。
復活祭は移動休日なので2008年は3月21日が聖なる金曜日でした。アルベロベッロではパッシオーネ・ヴィヴェンテが行われました。

これは、キリストが捕らえられてから磔刑に処されるまでの「キリストの受難」を再現するものですが、地域によって再現方法が違います。
ローマではコロッセオを舞台に行われ、ターラントでは、夕方5時から翌朝まで夜通し行われます。アルベロベッロでは、年末年始に行われたプレセペ・ヴィヴェンテ同様、各シーンを演劇風に、実際に人が演じながら再現します。



アルベロベッロ「パッシオーネ・ヴィヴェンテ」01 まず、アイア・ピッコラ地区南側の広場に作られた特設舞台で、キリストが捕らえられる直前直後の様子が上演されます。今年は、冒頭に歌を取り入れミュージカル仕立てで始まりました。


アルベロベッロ「パッシオーネ・ヴィヴェンテ」02 そして、最後の晩餐の席で、弟子の足を洗うシーンや、弟子達とパンを分け合って食べるシーン、弟子達との会話など、各所にナレーションや台詞を織り交ぜながら、キリストの様子を丁寧に再現しています。


アルベロベッロ「パッシオーネ・ヴィヴェンテ」03 オリーブの木の下で、神に祈りを捧げ、束の間の休息をとるキリストと弟子達を追っ手が探しに来て、遂にキリストは捕らえられます。自分を「神の子」と主張した罪で、ムチを打たれ、磔刑に処するという判決が下されます。
ここからが大変です。
舞台はマルテロッタ通りに移り、キリストが十字架を背負いながら大通りを歩き、トゥルッリが軒を連ねるモンテ地区の坂道を登って行きます。

外はかなり冷えていますが、役者達は演技を続けます。

私は、厚手のダウンジャケットの下にフリース、長袖シャツ、更にマフラー、毛糸の帽子、手袋という完全冬武装をしていたにもかかわらず、「寒い」と感じたのですから、薄手の布きれ一枚を羽織っただけのキリストはさぞ寒かったことと思います。


アルベロベッロ「パッシオーネ・ヴィヴェンテ」04 キリストの移動に合わせて、見物人も大移動です。モンテ地区を登りきったキリストは、トゥルッリの教会、サンタントニオ教会の前の広場に入っていきます。ここには既に磔刑の舞台が準備されています。
キリストと共に磔刑に処される2人が、順に十字架に架けられます。そして、最後にキリストの順番が来ます。無言のまま、運を天に任せキリストは中央の一番大きな十字架に架けられました。このシーンは何とも壮絶な感じがします。


アルベロベッロ「パッシオーネ・ヴィヴェンテ」05 やがて、死が確認され、3人は十字架から降ろされます。聖母マリアはわが子を胸にしっかりと抱きしめ、慈しみます。


キリストの亡骸が、聖体安置所に運ばれ、開演から約2時間、舞台は幕を閉じました。

毎年何故か、この催しが行われる日は冷え込みます。今年もしかり。
見物人、役者共に寒さとの戦いですが、最後まで観劇し全ての演者の人達に惜しみない拍手が送られました。

記事&写真提供:特派員野口さん

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