トゥルッリの教会「サンタントニオ教会」のフェスタが去る6月13日(金)に行われました。
とんがり屋根を4つ配したこの教会は、最高部の高さが約21,5メートル、窓やエントランスなどの開口部にロマネスク建築の特徴とも言える半円形アーチを取り入れている事から、建築学的にはプーリアロマネスクと呼ばれています。
「プーリア」はアルベロベッロのあるバーリ県を含む計6県で構成されている州の名称です。
1927年6月に完成して以来、町の人々に親しまれてきたサンタントニオ教会は、トゥルッリの町のシンボルとして、町を訪れる観光客からも注目を浴びる存在になりました。
聖アントニオは、ポルトガルのリスボンの出身で、貧しい人の為に尽くす聖フランチェスコ会の修道士でした。
ユリの花をシンボルとし、貧しい人にパンを与える姿が特徴的で、旅行者、妊婦、困窮者の守護者と言われています。
フェスタに欠かせないのはやはり信者の行列で、通常は午後7時頃から始まります。サマータイムになり、更に日が長くなったこの時期は、信者達に担がれたサンタントニオ像が、傾きかけた太陽の日差しを浴びながら、トゥルッリが軒を連ねるモンテ地区を上がって行く姿を見ることが出来ます。
ところが、今年はちょっと違いました。信者の行列の開始時間が少し遅くなったのです。
その原因は何とサッカー。丁度この日、サッカーのヨーロッパ選手権「EURO2008」で、イタリア代表チーム対ルーマニアの対戦が決まっていました。サッカー好きの人が多いイタリアでは、大事な国際試合があるときは、老若男女が皆テレビの前に釘付けになります。そうなると、肝心の信者の行列に参加する人が一人も居なくなります。信者だけでなく、きっと司教さん達もサッカー観戦をしたいハズです。そんな訳で、信者の行列の開始時間が繰り下げられ、みんなサッカーに釘付けになった後、行列が始まったのです。因みにサッカーの結果は、1-1の引き分けでした。
信者の行列が終わった後は、毎年恒例になっている有名歌手を招いたコンサートが行われました。今年はRiccardo Fogli(リッカールド・フォリー)が来て、約2時間楽しいおしゃべりと熱唱を聞かせてくれました。
そして真夜中に、締めくくりの花火が打ち上げられフェスタは終了しました。
いつも、花火を見に出かけるのですが、今年は場所が分らなかったので、家の中から遥か遠くに打ち上がる花火を楽しみました。
記事&写真提供:特派員野口さん