アルベロベッロに行ってみたいと思っている人の中には、折角行くなら「トゥルッリに泊まりたい」と考えている人も多いはずです。「トゥルッリで夢の休日を…」なんてキャッチフレーズを見たりすると、その思いは一層強くなりますよね。
ところが、夢のトゥルッリ宿泊のはずが、思わぬ大誤算だったなんていう苦い経験をした人も少なからず居るはずです。その原因は何でしょう?
そこで今回は、トゥルッリを良く知って、トゥルッリ宿泊を快適にするコツをご紹介しましょう。
そもそもトゥルッリと言うのは、少なく見積もっても200年以上前に建てられた古~い建築物なのです。
建築当初はシャワー設備はもちろんトイレすらありませんでした。
現在、宿泊施設として利用されているトゥルッリの多くも、当然それらの設備が無い簡素で、快適さには無縁の建築物だったのです。
近年、トゥルッリ人気も手伝って、多くの人がトゥルッリに泊まってみたいと望むようになりました。それに伴い、使われていないトゥルッリにシャワー設備やトイレを付加し、宿泊施設として提供する人が出てきました。ところが、元々建物自体が大きくないため、付帯設備は限られたスペースに収まるもの、そして、トイレやシャワーは、狭いスペースに無理やり押し込む形になってしまいました。
日本人にとって、宿泊先の快適さの基準となるもの…それはやっぱりシャワー設備ではないでしょうか?風呂の文化にどっぷりと浸かった私達にとって、湯船のない異国の地では、せめて熱いお湯でゆっくりシャワーでもと思うのですが、その夢を見事に打ち砕いてくれるのが、トゥルッリのシャワー設備なのです。
狭いスペースに収まる給湯設備は当然の事ながら容量が小さく、ゆっくりとシャワーを浴びたい日本人を満足させるほどの湯量が供給できないのが現実です。しかも、ほとんどの場合、電気でお湯を温めるタイプなので、お湯が沸くのに時間がかかります。
トゥルッリの宿泊施設の中には、親切にも風呂好きの日本人の為の浴槽付きバスルームもありますが、浴槽にお湯を張り終わらないうちにお湯が終わってしまうのは目に見えています。
まだ体中が石鹸だらけなのにシャワーが水になっちゃった…なんて失敗をしない為に、大切な事の一つは、お湯の無駄遣いをしない事。
①お湯の温度を低めに保ち、
②出しっ放しを避ける事で、少しはシャワーの時間が延ばせます。
そしてもう一つ、夏の暑い時期なら、お湯が沸く時間も早いし、ぬるま湯シャワーでも十分なので、少しは快適なトゥルッリ宿泊が期待できます。
そして、「夏涼しい」と言うトゥルッリの利点も実感できるので、これからの時期が、トゥルッリ宿泊に適しているのかも知れません。
最近は、ほんの数軒ではありますが、シャワー設備に気を遣っているトゥルッリもあります。
トゥルッリの宿泊施設には、それ以外にも不便な所がまだ数点あります。
その一つは、フロントが独立している事、そして、室内電話がない事。
これらの事は、イザと言う時のコミュニケーションに、不便さを感じます。
夜遅くに起きたトラブルなどは、解決できないことも有り得ます。
少々難有りのトゥルッリではありますが、宿泊をオススメしていない訳ではありません。
トゥルッリの独特な室内や個性的な内装は、ホテルでは味わえない異色の空間を作り出しているので、貴重な体験として、やはり一度は泊まってみる価値があると思います。
トゥルッリ宿泊を快適にするには、まず、その特徴を理解すること。そして難点を予め心得ておく事。
この2点をふまえた上で宿泊すれば、貴重な世界遺産での宿泊体験が旅の良い思い出になることは間違いありません。
記事&写真提供:特派員野口さん