アスパラゴ・ビアンコasparago bianco(ホワイトアスパラガス)は、春先の短い時期にしか食べられない、希少価値の高い野菜のひとつです。
昨年の記事 でも紹介しましたが、ヴェネト州ではD.O.Cに指定されているバッサーノ・デル・グラッパのホワイトアスパラが特に有名です。
しかし、バッサーノだけがホワイトアスパラの産地ではありません。ヴェネトでは各地でアスパラの栽培が盛んでヴェネツィアの本土からパドヴァ、ヴェローナにかけても非常に質の高いアスパラが生産されています。
本格的な春が訪れる4月の終わりから5月にかけ、生産各地では春のアスパラ祭りが開催されている場所もあります。
そのうちのひとつがヴェネツィア県とパドヴァ県の境に位置するコンケConcheというアスパラの産地。
4月18日から5月3日の週末を中心に、第21回めの「Festa dell’Asparago(アスパラ祭り)」が開かれました。
周囲を畑に囲まれた非常に地味なこの町の、代表的な生産物であるホワイトアスパラガスの収穫祭です。週末ともなると町の中心地に建てられた特設レストランである大きなテントは、アスパラづくしの料理を味いに訪れる人でいっぱい。
そもそもこの土地はヴェネツィアのラグーナであった土地。つまりは昔は海であった土地なので、野菜を生産する畑の土は海の潮を含んでいます。農産物にはこれが非常にいい影響を与えており、野菜の味は濃く、独特の風味を持ち合わせるのだとか。ちなみに周辺の畑では、トウモロコシ、小麦、ラディッキオ、カルチョッフィをはじめ、ポモドーロなど、様々な野菜が栽培されています。
私が訪れた天気の良い祝日は特設レストランは満席、入口には長い列もできていましたので、町中にあるトラットリアでアスパラをいただくことに。
殺風景な食堂的な店内ですが、テーブルに出されたアスパラのなんと立派なこと。
太くて柔らかく甘みがたっぷり。
とてもジューシーなそのホワイトアスパラはパン粉の衣をつけて揚げたものと、茹でて卵が添えられたもの。これほどのアスパラは今まで食べたことがないだろうと確信するほどの美味さです。
さて、ここでのホワイトアスパラの代表的な皿は大変シンプルな、「茹でアスパラ」。そこに茹で卵がまさに殻をむいただけで添えられてくるだけなのです。
一見、これが料理といえるのか?とも疑いたくなりますが、これこそ素材の味を味わう一番の方法なのでしょう。
王道の食べ方としては、茹で卵にオリーヴオイルを少しずつ加えながらフォークでつぶし、これをソースとして塩、コショウしていただくというスタイル。全ては自分の皿の上でこの作業を行うのです。素材のシンプル、美味さのみに頼る、というところです。
アスパラは鮮度が命。レストランなどでは何日も前に収穫されたものが使われがちですが、このレストランのものは、間違いなく当日もしくは前日に収穫したものだとか。新鮮なものほどアスパラ自体の持つ水分、甘さがしっかりと残っているものです。
旬が大変短いホワイトアスパラです。この時期にヴェネツィア周辺、ヴェネトに訪れる方はぜひぜひ味わってください。
Pizzeria-Trattoria BETTINI FIORINDO
Via Vallona, 93- Conche di Codevigo, Padova
Tel;049.584.5098