また、今年もやってきました。カーニバルの季節。
年末のクリスマス、1月のエピファニア、そして次にくる行事がこのカーニバルで、その後はパスクア(イースター)へと。なんだかいつも祭りごとだらけのような気分ですが、こうして毎年同じように過ぎていく行事のなかで季節の移り変わりも肌で感じるものです。
そして、こういう行事には必ずそれにちなんだ食べ物があるのが楽しみのひとつ。
カーニバルでも、もちろん欠かせないもの、必須アイテムのドルチェがあります。
ひとつは薄くのばしたパスタ生地を油で揚げて粉砂糖をふりかけた 「ガラーニgalani」。
口当たりの軽さがその美味しさ。
ふたつめが「カスタニョーラcastagnola」。
そしてヴェネツィアーニの一番のお気に入り、それが「フリッテッレfrittelle」。
フリッテッレは粉に砂糖、酵母、卵、牛乳などを合わせ、丸い球状にして揚げたドーナツの様なドルチェです。ドーナツとはいうものの、モッチリとした感のある口当たりが身上。
ちなみに上記2つめに挙げたカスタニョーラもフリッテッレとほぼ同様のものですが、その名の通り、栗のようにコロコロとした小さな球状をしています。
それに対し、フリッテッレは子供の手のゲンコツ大くらいある大ぶりのもの。
そのぼってりとした大きさがヴェネツィアの伝統的な大ぶりの焼き菓子のようにそのヴェネツィアらしさを醸し出しているともいえます。
さらには、そのフリッテッレにも3つのバリエーションが。
中にクリームまたはザバイオーネ(卵黄をたててリキュールで風味づけしたもの)の入ったものなどもあります。
生地に干しブドウが混ぜ込んであり、中に何も入っていないものは、特に「フリッテッレ・ヴェネツィアーネfrittelle veneziane(ヴェネツィア風)」と呼ばれ、これが最もクラッシックスタイルとされています。
年が明け、カーニバルの時期にだけお目見えする、そしてこの時期にはどこのパスティッチェリアもパン屋にも必ずや置いてある、まさしく季節の風物詩ともいえるものです。
このドルチェを見て、また季節が巡ってきたなぁと感じるもの。
子供から大人まで誰からも愛されるこのドルチェはいつまでも変わらぬスタイルを保ち続けていくのでしょう。
ひと昔前は各家庭で作られていたドルチェでしたが、今ではそのほとんどはお店で購入することのほうが多いようです。
ヴェネツィアのなかでも特に美味しいフリッテッレにありつきたいという方へのお勧めは、
Pasticceria 『Tonolo』
Dorso Duro(サン・ロッコ教会Chiesa di S.Rocco近く )
もしくは
Pasticceria 『Bonifacio』
Calle degli Albanesi(アルバネージ通りサン・マルコ広広場近く)
または
Pasticceria 『Didovich』
Campo Santa Marina (サンタ・マリア広場)
などがお勧め。
値段は1個1,00ユーロ~1,10ユーロです。
ヴェネツィアらしいカーニバルのドルチェです。
期間限定のお菓子、この季節にヴェネツィアを訪れる方はぜひお試しください。
記事&写真提供:特派員白浜さん