1886年創業のヴェネツィアーニに非常に親しまれているパスティッチェリア(お菓子屋さん)です。
外観はちっとも今時な風ではなく、レトロな感じですが、
店頭に2つある重いガラスの扉は、出入りする人々で常に開いたり閉ったり。
細い路地の角にある同店の入口から中に入ると、奥に向かってドルチェの並んだショーケースが、そのまたさらに奥にバンコがあり、カフェやカプチーノを飲むことができます。
椅子はないので皆立ち飲みですが、平日でも周囲の人とぶつかりながらのカフェタイムとなるくらい、いつも盛況です。
地元で長くそのスタイルを変えずに健在でいる理由はやはり、ここのドルチェの美味さ。
イタリアのドルチェの美味しさは、華やかさ、軽さを期待するものでは決してなく(ここは重要)、そのしっかりとした甘さの定番品が常時変わらぬ美味しさであり続けることが心髄。
とは言うものの、同店のドルチェのなかで個人的にも気にいっているのが、クレーマcrema(カスタードクリーム)を使ったもの。
しっかりとした甘さはありながら口当たりが軽めでボリュームたっぷりに使われていてもペロリと食べてしまいます。
ビニエ(シュークリーム)類はその美味しさの直球型。
そしてチョコレート系菓子。ずっしりとチョコレートの深い味わいは少々含まれているリキュール類がその香りを一層引き立たせており、そして、しっかりと甘い。
これらのドルチェは持ち帰り用に箱に詰めてももらえますが、紙ナフキンに包んでショーウインドウ越しに手渡ししてもらってその場で食べるのもまた良し。
立ち食いしても、または道すがらの食べ歩きでも、お行儀が悪いなどと白い目で見られる心配は一切必要ありません。堂々と美味しいドルチェを頬張って歩きましょう!
年明けからカーニバルまでは、もちろん主力商品はフリテッレfritelle。
カウンター内側には揚げたてのものがゲンコツ大のそれらが大きなバットにたくさん並んで準備されています。ほんのり温かいそれらは本当に美味しいものです。
これらドルチェのお値段は一律1ユーロ(稀に例外あり)。
お手頃な価格で正統派イタリアのドルチェを楽しむことができます。
ヴェネツィアっ子風に「Ci vediamo al TOLONI!!(じゃ、トローニで!!)」とカフェをくいっと飲みに行きたいですね。
Pasticceria TOLONI
Dorsoduro 3764, Venezia
(Scuola di S.Rocco近く)
Tel;041.5237209
(営業時間)
火~土曜;7.45-20.00
日曜;7.45-13.00
月曜休み
記事&写真提供:特派員白浜さん