魚貝料理が有名なヴェネツィア料理。
そのうちでも4-5月のヴェネツィアの季節の食材として貴重かつ代表的なのがモエーケ(単数でモエーカ)です。脱皮したてのカニのことをさします。
夏前のこの時期と9‐10月の時期だけ漁獲される脱皮したての柔らかい小さなカニを殻ごと食すのです。
ヴェネツィア人には古くから親しまれている食材ですが、最近は海の汚れやら環境の変化などにより漁獲量が激減し、高級食材と化してしまいました。
メルカートでは60ユーロ/㎏などという値もつけられるほどです。
モエーケの主な漁場はヴェネツィア本島の南側に位置するの漁港の町、キオッジャ。
同地の浅瀬を見渡すと赤・青・黄などに色を塗られた木箱がぶらさがっているのが見えます。
写真が少々見えずらいのですが、左奥に小さく見えるものがモエーケの漁獲場です。
脱皮前の小ガニはこの箱の中に集められ、丹念なチェックを受けています。
そのなかから脱皮しそうなものみを夜のうちに箱ごと水から揚げます。
水のなかで脱皮したものは殻が固く、食べられるものではなくなるとか。
朝になり脱皮したところを生け獲りにされ、出荷されるというわけです。
そして、秋に獲れるもののなかでは卵を抱えたメスにもお目にかかれますが、
この時期はメスは海に返されるため、オスのみが漁獲されます。
高級食材とはいいながら、その調理法は2方法。
とはいっても、単純に油で揚げるだけ。
ひとつはカニにそのまま粉をまぶし、たっぷりの油で揚げます。
もう一方の方法では生きたままのカニを卵液(または少し粉を加えたもの)の中に入れます。
卵液を十分に吸わせたところに粉をまぶして油で揚げます。
腹の内部に卵液が入りこみ、揚げたときにふっくらとカラリと揚がってそれはそれは美味。
漁業関係者に聞くと、今年はなかなか気温が上がらずにモエーケも高値だったとか。
水温が上がらないとモエーケの衣替えもスムーズにいかないそうです。
必然的に漁獲量が下がり、値があがるとのこと。
この時期の訪ヴェネツィアの際に小さなカニを見かけたらぜひ旬の味を味わってみてください。
記事&写真提供: 特派員 白浜亜紀 こちらもチェック!!