特派員記事 2010.10.27

ヴェネツィアの観光スポットである「ため息の橋(ポンテ・デイ・ソスピーリ」や、サンマルコ広場など、ヴェネツィアを代表する各所において目下論争中なのが、修復するために架けられたハシゴを覆う広告
これらが巨大な広告看板と化しているため、町の景観を崩す根源だ、と問題となっています。

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今まで何度も取り上げられてはいたのですが、ここ数か月で再度論争熱に火が点いています。

ポンテ・デイ・ソスピーリを見てみましょう。
橋自体がきっとほぼ全世界中のヴェネツィアのガイドブックに掲載されているだろうことから、ここを訪れる観光客は中からも外からもここに足を止める人がほとんど。
それが、目も鮮やかな青空のなかに、橋自体までが描かれた看板に囲まれています。それも大きな大きな企業広告が。

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ここの壁は、れっきとした広告媒体として利用されており、周期的に広告主が変わります。ちなみに写真に見えるものは、銀行の広告で、その下部には“このスペースの使用はパラッツォ・ドゥカーレの修復のため、○○銀行(広告主)が貢献している”と記されています。世界中から多くの人が訪れる場であるため、広告媒体としてはなかなかに魅力的な場所ではあることも事実でしょう。

しかし、問題なのはみるからにヴェネツィアの史跡を景観を壊すような色や内容に、ヴェネツィア内だけでなく国からも非難の対象となっているのです。

とはいうものの、町全体が史跡、文化遺産だらけのこの町の建造物の多くは、常に修復を必要としています
そして、その作業を行うためには技術的な問題、そしてヴェネツィアという特異な地理的な問題からも莫大な資金が必要
観光業で成り立つとはいえ、それだけではまかない切れないほどに費用がかさむこの問題には、企業スポンサーからの収益が必要不可欠となるわけです。

ちなみにこのパラッツォ・ドゥカーレに関して言うと、2年ほど前に建物の一部の大理石が崩壊、ドイツ人観光客が怪我をした、という経緯もあり、ここはそれ以降、修復作業現場となっています。

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修復には3年を要すといわれ、もうこの3年のうちの2年は経過、残り1年で修復は完了とされているものの、280万ユーロにも上る修復費(見込み)を補うためとして広告費を得るがためにも、この覆いは外されないのでは?!との疑問視の対象ともなっているのです。

近頃、外国人記者クラブにて、この件についてヴェネツィア市長の取材がありました。
ヴェネツィアとしては、市全体としては年間1億800万ユーロの修復費が必要であること。
そのうち、おおまかには100万ユーロが企業スポンサーからの広告費収益、30万ユーロの国からの補助で賄われる、というのが現実です。つまり、広告費は大変に貴重な資金源であることはいうまでもありません。


ヴェネツィア側の言い分としては、現在同地において、文化財省から指定保護下に置かれている建造物は約1000件
そのうち、広告に覆われているものは6件しかないこと(他都市はその割合がもっと多い)。そして建物を覆う看板の許可範囲の制限や、広告の内容にはかなり介入(最近では、某飲料メーカーの奇抜な色デザインの広告や、某宝飾メーカーの女性のヌードに近い広告を認めなかった経緯あり。)し、ヴェネツィアに関連する内容とするようになど、同問題に対する管理の徹底を強調。

ヴェネツィア共和国の庁舎であったパラッツォ・ドゥカーレに隣接した牢獄とを結ぶ小さな橋。その昔、牢獄へ向かう途中の同橋にある小さなのぞき窓からこの世の美しい景色を眺め、「ああ、もうこの景色を見ることもないのだろう。」と嘆き、渡ったとされることから名付けられた『ため息の橋』。
現在は外からこの突飛な外観に、そして資金のやり繰りに「ため息」があちらことらから聞こえてきそうな。

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記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック

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    • 投稿: yu-yu -2010年10月27日 (水) 15時27分

      ■無題
      溜息橋・・・まだ修復中なんですね(;^_^A2年前に数カ月いましたが、その時から始まったと思うのですが・・・確かにこの街には似合わない囲いかも!結局は広告みたいなもんですよね。(´д`lll)

    • 投稿: his-rome -2010年10月27日 (水) 16時20分

      ■Re:無題
      >yu-yuさん長いですよね、この修復。完全に覆われているので、中で本当に作業しているのかどうか誰もチェックできないし!短期間なら囲いも仕方ないとも思うのですが、観光客のためには何よりも修復を早めに片付けてオリジナルの姿を見せてほしいですよね。

    

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