「カルテ(Carte):紙」。
店名及びブランド名は、作品であり商品をそのまま表しています。
紙をベースにした絵からバッグや小物までを扱うヴェネツィアの小さな工房兼ショップです。
デザイナーはヴェネツィア女性、ロザンナ・コッロRosanna Corròさん。
2007年に始めたばかりの、ヴェネツィアでは新しい店。
経緯としては、本の修復を学ぶ学校に2校通い、紙の魅力に魅せられ、ヴェネツィアにおいて紙の製造工房に勤めました。その後、自らのブランドを立ち上げ、この地に店を構えています。
特殊な紙を使った作品の、紙の原紙はカルタ・マルモリザータCarta Marmorizzata、つまり、マーブル模様の紙。
独特の色や模様を織りだしていて(正しくは染めだして??)、それらからできあがる作品はもちろんオリジナル。
彼女が以前ヴェネツィアで勤めていた工房では、この紙を製造していたのだそうです。
そして、カルタ・セータcarta setaという薄い繊細な紙。
それぞれがカラフルな色ですが、紙の質からくる個性的な色を創りだしています。
店内にもおいてある原紙を見ていると、そしてもちろん作品からも、なんとなくムラーノのガラスの色合いをも髣髴させるものもあります。
実際、店の前からちらりと見ると、一瞬、ガラス製品か、とも思われがち。
よく見ると紙の持つ独特の風合いがとても美しく、そして紙ならではの軽さにちょっと驚きます。
女性ならご理解いただけると思いますが、アクセサリーを選ぶ場合、大ぶりで個性的なネックレスなどは素敵なのですが、その重さに肩が凝ってしまうのが悩みの種。
それが紙ならでは、素材の持ち味からくるその軽さも大きな魅力のひとつです。
色合いの優れたネックレス、ブレスレット、ピアスなど、どれもこれもがオリジナルで一点モノです。
作品は、これらアクセサリー類から、箱、ノート、バッグ、そして大がかりな絵から小さな額縁などなど、様々なものがあります。
全体的に女性らしい細やかなデザインにセンスの良さを感じます。
「紙のアート=アルテ・イン・カルタArte in Carta」は同ショップ・彼女のデザインのコンセプトです。
ヴェネツィアらしい、雰囲気のあるお店です。
店内の壁や天井、梁などは古い造りをそのまま利用し、そこに並んだ商品たちが照明の下に、しっくりと溶け込んでいる様は、それ全体がまるでアート。
小さなギャラリーとして、モダンとアンティークがうまくまとまっています。
優しい彼女の人柄がお店全体の雰囲気を作りだしているのでしょう。
温かみのある美しい紙製品です。ぜひ一度足をお運びください。
Carte
San Polo 1731, Venezia
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック