ヴェネツィアの訪れるべき教会のうちのひとつ。
サン・ジャコモ・デローリオ教会(Chiesa di San Giacomo dell’Orio)です。
この教会は現在ヴェネツィアに残る教会のなかでも最も古い時代のものにあたります。
遡ることその起源は4世紀。
現在の姿は1225年に建築が始まったもので、
さらに手を加えられ、最終的な形で完成したのは15-16世紀となっています。
13世紀初頭当初の建築に関しては、
ビザンティン様式の影響を強く受けており、
その同時期に行われた第4回十字軍(1202-1204年)の参戦により
持ち帰られた大理石の柱頭、独特の彫刻、モザイクなどが見られます。
ちなみに同十字軍のヴェネツィアの参戦は、
ヴェネツィアにとっては東地中海の制海権を確立し、
その後長きにわたってヴェネツィアの絶大な勢力を誇示し続ける結果となりました。
正面から見た教会は簡素ですっきりとしていますが、
中に入ると、重々しい質感に圧倒されます。
大理石の柱頭で区切られた身廊の造りは非常に独特。
教会内全体は、
ヴェネツィア派として15世紀後半から16世紀にかけて、
またはその後に活躍した画家、彫刻家の作品がぎっしりと並んでいます。
十字架のかけられた祭壇には、
ロレンツォ・ロット(Lorenzo Lotto)の「聖母と聖人」
1546年の作品。
ヴェネツィアに残る彼の作品でも大変に貴重なものとされています。
美しい丸い屋根を持つクーポラのある祭壇に掲げられる
ジョンバッティスタ・ピットーニ(Gainbattista Pittoni)の「聖母子像」は
同画家最後の作品とされているもの。
クーポラ部の壁画は
ヤコポ・グアラーナ(Jacopo Guarana)と
アレッサンドロ・ヴァロターリ(Alessandro Varotari *通称イル・パドヴァニーノil padovanino)による色彩豊かな作品です。
そして同教会の絵画のなかでも非常に貴重で価値があり、集大成とも言われているのが、
16世紀にヴェネツィアにて活躍した画家、
ヤコポ・パルマ・イル・ジョヴァーナ(Jacopo Palma il Giovane)の作品たち。
彼よりもほんの少し早い時代に活躍した
ティントレットやティツィアーノの影響を強く受けている画家です。
教会内正面左奥にある木製の部屋サグレスティア・ヴェッキアと呼ばれる小部屋には、
彼の作品が9点ぎっしりと収められています。
教会内入ってすぐにある聖水盤は現在残る同教会の造りのうちでも
最も古い時代のものとされる大理石造りのもの。
ヴェネツィアで活躍したアーティストの15-17 世紀の作品と、
その歴史ある建物が非常に個性的であり魅力的な教会です。
ぜひ足をお運びください。
Chiesa di San Giacomo dell’Orio
(サン・ジャーコモ・デッローリオ教会)
Campo San Giacomo dall’orio, 1456
Santa Croce-Venezia
入場料 2,5ユーロ
開館時間 10:00-17:00
休館日 日曜日
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック