ヴェネツィアを含むヴェネト州の春の味覚のひとつにアスパラガスがあります
白、緑、最近では紫色のものもありますが、春先の1か月強が旬。
通常3月終盤から5月初旬までが出回り時期です。ただし、今年は春の訪れが遅く、低温や雨の影響で数量は例年に比べると大幅にダウンしているようです。
ヴェネト州内のアスパラでも、特別に有名なものがバッサーノ産の白アスパラ。イタリア国内にて食品における地域原産地呼称であるD.O.Pに認定されているもののうちで、アスパラではこのバッサーノ産が唯一なのです
ヴェネツィアから北西に約50㎞ほどの場所に位置するバッサーノ・デル・グラッパという町周辺地域で収穫されるものがこれにあたります。
色や形、そして長さ22㎝、直径11mm以上という規定に達したもののみがバッサーノ産アスパラガスDOPのタグがつけられ、アスパラのなかでも特に高値で取引されます。
見た目の判断基準はその白さ。
日光にあてると色がついてしまうアスパラは、常にビニールに被せられて育てられます。収穫時はその都度ビニールを外して収穫、終わると元のようにビニールを被せて次に伸びてくるアスパラたちのために準備をします。この一連作業中も、もちろん強い日光を避けるため、日の光のあたらない早朝または夕暮れ時のみ。
形の判断は特に穂先を注目します。穂先がしっかりとキュッとしまっていることが重要。穂先はアスパラのなかでも特に柔らかく甘い部分ですので、大変にデリケートな部分です。
食べ方としては、地元バッサーノでの食べ方としてよく知られている皿があります。それは、柔らかく茹でた白アスパラに、茹で卵が添えられて提供されるもの。茹で卵はフォークで細かくつぶし、そこにオリーヴオイル、塩、コショウ、好みで少々のビネガーを加えて調味、それをソースのようにしていただきます。
他にはグリルにしたり、衣をつけて油で揚げたり…細いものや形の不揃いのものなどは、リゾット、パスタなどにも使われます。
白アスパラばかりに注目していますが、もちろん緑アスパラも同様に旬が訪れています。白と緑とで好みが分かれますが、これは人や土地がらの嗜好の違いでもあるともいえます。デリケートな白を好むのは比較的北側の土地の傾向にあるように思いますが、アスパラらしい野性味のある風味と春らしい緑色が好みだという声も多く聞かれます。
この時期、メルカート(市場)を訪れると、これらのアスパラが束になって、または形の不揃いのものは山積みになって出ていますので、それらを産地や価格などを比較しながら見ると面白いかもしれません。
もちろん、食事処でも旬のメニューとして登場していますので、ぜひ季節を味わっていただきたいものです。
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック