ヴェネツィアには伝統工芸として大切に保存されるべきムラーノのガラス(ヴェネツィアンガラス)を扱う多くの店が点在します。商品の価格も内容も様々ですし、販売のみのショップから店内で職人さんが製作しながら販売もする工房兼店舗というところもありますので、自分の気に入りを見つけながらお土産用自分用と買い選ぶことができます。
さて、ここはガラス職人であるジョルジョ・ナーゾンGiorgio Nasonさんの工房兼ショップ。店の一角での製作を実際に目にしながら彼の作品を購入することのできる場所です。
彼のお父様の代からのガラス職人。お父様の生前は、現在の同店の前に窯を持ち、伝統的職人であったとのことですが、彼の代となり、炎を使って独特の色合いと形を個性とした小さな製品をつくるモダンガラス製品の現在のスタイルとしています
スタイリッシュな彼の作品はヴェネツィアのみならず、シカゴ、ニューヨーク、ロンドン、アジアでは香港や台湾、東京のセレクトショップからのオーダーもあるようです
彼の作る作品は指輪、ネックレス、ブレスレットの3種のみ。これ以上のカテゴリーは増やさないのは、“自分らしく作品に集中できる”範囲なのだとか。
色遣いが非常に個性的で、色合いを合わせて店内に美しく並べてあるそれらは、ひとつとして同じものはありません
店内での作業です。こうしてひとつひとつ丁寧に炎にあてて色を重ねていきます。
こちらは指輪の製作中。成形し、重ねた色が決定すると鉄の押しで表面を平たくして仕上がりの調整を。
そしてこれらが指輪の数々。大きさ違いやデザイン違いで価格は35ユーロから100ユーロくらいまで、デザインにより幅があります。
こちらはペンダントトップ。指輪との組み合わせも可能です。

ひとつひとつの色合いも違えば、サイズもそれぞれに多少の違いが出てきます。指輪はお気に入りの色合いに自分の指のサイズを合わせていくこととなりますが、ブレスレットに関しては、数時間あればサイズを変えることも可能。この日もカナダからのお客様に合わせてサイズの変更オーダーが入りました。

作品の写真を見てもお解りだと思いますが、彼の作品の個性は使用するガラスによるものでもあります。自身の好みでもあり、イメージでもあるのが“透明感”。すっきりとしたデザインと、透明なガラスを素材として、出来上がるものは“水”の都であるヴェネツィアの街を象徴されてくるものだ、と彼は言います。
伝統を現代アートに。職人技をセピア色にしないために、と静かな小路の小さな店でヴェネツィアンアートを守り続けています。
店はサン・マルコ広場の対岸に見えるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会近く、サン・グレゴーリオ広場にあります。
Giorgio Nason
Dorsoduro 167, Campo S.Gregorio, Venezia
Tel; +39.0415.239426
記事&写真提供:特派員 白浜亜紀 こちらもチェック