2014.11.19
イタリアで話題の旅行に「アグリツーリズモ」というものがあります。
一言でいうと、「アグリツーリズモ」とは農家滞在型宿泊施設のことで、
形式はいろいろ。リゾートタイプのものもあれば、ロッジ風のものもあります。
とてもこじんまりしていて、アットホームなことが多いです。
「アグリツーリズモ」・・・それはなかなかハードルの高い旅行。
なぜなら、ほぼ100%家庭経営のそれらの宿泊施設は経営者の生活に則して営業しているからです。
営業・休業も家族の予定に則して決められる宿泊施設。
どのようにハードルが高いのか
先日私が言ったアグリツーリズモを例にしてみましょう。
↓↓↓踏み入った山の中↓↓↓
某ホテル予約サイトで予約し、届いた予約確認書にある文言を見つめることになります。
「チェックイン受付 15:00 から 18:00 」
み・・・短い。この3時間の中でこのアグリツーリズモに到着して
チェックインを済ませなくてはならない・・・。
さすがにイタリア旅行に慣れてきた私、あらゆることは想定されるべきこの国です。
そう。いかなる状況も想定されてしまうのです。
念のためアグリツーリズモに事前に電話します。
「駅に到着が17:00くらいなので18:00ぎりぎりにそちらに伺います」
素朴な雰囲気のおじ様が快く応対してくれて一息。
「ところで、駅からそちらまでどう行けばいいですか?
サイトには駅から2キロと書いてますが歩くと30分くらいですか?」
「いえ、タクシーのほうがいいでしょう、山の中なので」
「わかりました。ではタクシーで伺います」
と、こんなやり取りをして駅に着きタクシーに乗った私。
山の中をぐいぐい進み、街灯がひとつもない山の中に入っていくこの驚き・・・!
暗い。暗すぎる。これでもしアグリツーリズモにレストランがなければ、
今夜私は夕食抜き(家族経営なので、レストランを併設していない施設が多いのです。)
それどころか水の調達もままならないこの事態。
おろしてください!
スーパーよって下さい!
という暇もなくタクシーがチャっと着いたのは、オリーブオイル畑のど真ん中にたたずむ民家でした。
(でも綺麗にライトアップされておりました。)
案の定受付はしまっており、周囲は暗闇。とりあえず呼び鈴を鳴らして不審者宜しく周囲を見回します。
まだ17:45なのに、日はとっぷり暮れ晩秋の風が容赦なく吹き付けます。
遠くで犬が鳴いています。
「電話したのに。むしろ早く着いたのに。」
そう。ここはイタリアなのです
イタリアの山の中のアグリツーリズモなのです。
たっぷり10分待ってから、すばらしくフレンドリーなおば様が登場し、ようこそと歓迎してくれます。
非常に気持ちよいお出迎えにほっと胸をなでおろします。
そんなところもイタリアです。イタリアのアグリツーリズモです。
チェックインを済まし、お部屋を確認。十分暖かく、清潔なお部屋。とにかくスタッフが親切です。
「夕食・・・レストランはありますか?」
「もちろん!予約しておきますか?お時間になったら降りてきて下さい」
「レストランは何時から開いてますか?」
「さあ?19時半とか、20時とか。お好きな時間に。」
苦笑せざるを得ない私はおなかがすいていたので
「では、19時半に伺ってもいいですか。おなかがすいていて・・・。」
空腹を強調する以外に私に何ができたでしょう。
19時半、施設の一階にあるレストランに恐る恐る足を踏み入れると案の上・無人。
どころか電気もまったくついていません。
キッチンから談笑する声が聞こえてきて気分はちょっとマッチ売りの少女です。
「マッチ要りませんか」ならぬ「夕食食べれますか」とつぶやく私。
「あらあら、降りていらっしゃったんですね。もうこんな時間。
まだコックが来ていないから、テレビでも見て待っていてください。」
コックさんはレストランが開店してからくるみたいです。
イタリアのクイズ番組をスタッフと眺める私。
出題者が回答者の間違いに突っ込む姿が面白かったです。
しばらくするとコックさんがきたのか、メニューが運ばれてきます。
シンプルですが、きらきらした料理たち・・・。
さすがアグリツーリズモ、食材が新鮮でおいしいです。
山の幸が豊富でおなかにするする入っていきます。
きのこ・豆・野菜・お肉、そしてオリーブオイル。これがアグリツーリズモの醍醐味です。
「今年うちで取れたオリーブオイルです!」
にっこり笑ったスタッフの笑顔くらい輝くエメラルドグリーンのオリーブオイル。
感動です。アグリツーリズモって本当にいいなと思う瞬間です。
たまたまレストランはすいていて、ことあるごとに様子を聞きに来てくれるスタッフ。
イタリアの静かな山の中では、談笑に花が咲いて静かで心休まる時間をすごすことができました。
もちろん次の日の朝も、朝食会場は開いておらず、
少し眠たそうな奥さんに声をかけてお手製のパウンドケーキを頬張りました。
イタリアらしさの極み・アグリツーリズモ。
帰りの電車の中ではハードルをクリアした自分をほめつつ、
イタリアらしい旅行に愛しさを感じるのでした!
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きゃしーでした