フィレンツェの街を歩いていると、街中のいろいろなところで見かける
こんなのや
こんなのや
こんなの
これらは“タベルナコロ(Tabernacolo)”と呼ばれています。
住まいを意味するラテン語のTabernaculumから派生していて、キリスト教では「人間界に於ける神の家」という意味だそう。
カトリックの教会内にあるタベルナコロは天蓋付きの小さな堂で、礼拝時に信者に与える聖体(キリストの体の実体とされる聖なるパン)などが保管されているということですが、教会内のタベルナコロとは別に、こういった屋外にある宗教画や宗教的彫刻、陶器を収めた壁龕もタベルナコロと呼ばれ、人々がその前でお祈りをしたり、通行人を守るお守りの役目をしています。
フィレンツェにはこのタベルナコロの存在が特に多いのですが、これには歴史的背景があるとのこと。
中世以降にカトリック教会が行った、正統信仰に反する教えを持つ異端者を裁く異端審問に対して、庶民たちは自分たちがカトリック信者であるということを示すために家の外や道に聖母マリアの絵を飾ったそうです。
そこに注目したドメニコ会がこういった道端の聖母の絵の前で布教活動を行い、後には画家たちに聖母の絵を書かせて至るところに飾ったのだそう。
また、後のペスト流行時には、感染を恐れて教会内ではなく屋外のタベルナコロを聖壇として、その前でミサを行ったそうです。
15世紀以降は、裕福層の信者が財力や権力の証にタベルナコロ用の宗教画や彫刻、陶器などを著名な芸術家たちに依頼して作成したということで、芸術的価値の高い作品は、現在はオリジナルは美術館に収められ、道には複製が飾られています。
フィレンツェに数あるタベルナコロの中で最も美しい作品の中の一つと言われているのが、こちら『Tabernacolo delle Fonticine』です。
中央市場の外れのVia Nazionaleという通りにあります。
これまではあまり気にしていなかったのですが、存在を意識すると、先日フィレンツェ中央駅付近からサンタマリアノベッラ広場を抜け、レプブリカ広場の先まで歩いただけでも、たくさんのタベルナコロに出会いました。
Santa Maria Novella広場とVia della Scalaの角
Via del Sole
Via della SpadaとVia Tornabuoniの角
Via del ProconsoloとBorgo degli Albiziの角
Via Santa Margherita
Via De'Donati
Via Folco Portinari
皆さんもフィレンツェにいらっしゃった際には、ぜひ街歩きの際にタベルナコロを探してみてくださいね。