フィレンツェ中央駅からバス通りのパンツァーニ通り、そして、続くデ チェレターニ通りを進むと、ドゥオーモ広場にほど近い場所に佇む厳めしい教会が。
サンタ マリア マッジョーレ教会です。
フィレンツェで最も古い教会の一つと言われ、8世紀には既に存在していたようですが(580年に当時の法王によって建てられたという説もあります)、文書に残っているこの教会に関する一番古い記録は931年だそうです。
後の13世紀にゴシック様式にて再建されたのが今の姿の原型となっています。
内部は美しいフレスコ画、絵画、彫刻などで飾られています。
通りの前方に見えるドゥオーモのクーポラに気を取られて素通りしてしまいがちなこの教会ですが、ここにはとある伝説が隠されているんです。
知らなければまず気がつかないであろうコレがその伝説の主です。
もう少し近寄って見てみましょう。
なんと、外壁に、それもこんな高いところに怪しい女性の頭部が張り付いています
“LA BERTA(ラ ベルタ)”と呼ばれるこの女性。彼女はなぜここにいるのか...。
1327年9月のこと、異端審問によって処刑の判決を受けた占星術師の男が火あぶりに処されるその日、処刑場所であるサンタ クローチェ広場へと連れられて行く途中。
夏の終わりの残暑厳しい中を縄で縛られながら歩くこの男は、デ チェレターニ通りで周囲の人々に水を求めます。
が、その様子を通り沿いの建物の窓から見ていたベルタが、「悪魔の手下で錬金術師のこの男に水をあげてはいけないよ。少しでも水を飲ませたら火から身を守らせることになる!」と叫びます。
これに激怒した男がベルタに呪いをかけ、彼女はあっという間に石となり、それ以来ずっとここにいるというのです。
ベルタの伝説には、上の呪いバージョンとはまるっきり違う別バージョンもあります。
中世時代、城壁に囲まれていたフィレンツェで、毎朝田舎からやって来てこの教会の角で野菜を売っていた女性ベルタが、城壁の門が開閉する時間を自分と同じように城壁の外から来ている商人たちに知らせてあげるための鐘を寄付しました。
フィレンツェの人々は、それに感謝して彼女の顔を模った石像をここに飾ったというものです。
実のところは、単に中世のフィレンツェで建物を装飾するためによく使用されていたローマ時代の彫像の中の1つという可能性も高いようなのですが、いずれにしても不思議な場所にいるこのベルタさん...。
フィレンツェにいらっしゃることがあれば、是非探してみてください。
サンタ マリア マッジョーレ教会 (Chiesa di Santa Maria Maggiore)
住所 : Vicolo di Santa Maria Maggiore 1, Firenze