ヴェネツィア本島の西側に位置するドルソドゥーロ地区にある、カンポ・サンタ・マルゲリータ。
同地区に大学の施設が多くあることもあり、学生の集う広場として、地元の人が単に「カンポ(広場)」と言うと同広場を指すくらい親しまれています。生活によく根付いた広場です。
現在残るサンタ・マルゲリータという名前は、昔そこにあった同名の教会に由来しています。
ここには毎朝魚の屋台や野菜・果物を売る屋台がたつこともあり、そんなことからも地元の人たちが集う場所となっていることが伺えます。
広場の端にある建物は現在市役所の派出所として利用されていますが、この近辺に魚市場がたつことは古い伝統。同建物の壁には、業者間の取り決め(販売許可範囲)の記された数字が見られます。
さて、この広場の奥にある鐘楼のある塔に近づいてみましょう。
至るところに大理石の彫刻が施されています。
これらは1600年代のものだとされ、それぞれのモチーフがとても特徴的。
それらはすべて動物を模したものではありますが、現存する動物ではありません。
その表情はとてもグロテスクで恐ろしい顔つきをしています。
これらはいわゆる日本でいう「勢子」のようなもので、「厄除け」の意味合いで造られたといわれ、故に教会の建物から少し離れた、つまり聖域内に入れないところにたまる悪の彷徨う場所に陣取っているというわけです。
塔脇にあるドラゴンの彫刻。
街中の建物に施された大理石の彫刻は、中世のヴェネツィアの栄華を語っているかのようでもあります。
最も有名でありシンボル的なものは、やはりサンマルコ広場にある塔の上に立つ獅子像ですが、ヴェネツィア商館や多数ある教会、建造物の美しい精巧な彫刻、現在民家になっている建物のバルコニーなどの彫刻でも、時折ハッと目を惹かれるものがあちこちに点在するのがヴェネツィアです。