テーマ： インドの顔
今日のいい顔は
グルメール・シン という名前のオヤジ
家の近くのタクシースタンドにいるドライバー
会社に遅刻しそうな朝も
ニューデリー駅のギリギリ間に合うか？という列車の時間にも
ビザ延長でいつも憂鬱な外国人登録オフィスにも
どこに行くにも笑顔でぶっ飛ばしてくれたオヤジ
タクシースタンドでは
他のドライバーのようにトランプしたり猥談したりせず
いつも何かを読んでいたり
熱心に何かを書いている姿が印象的でした
そんなオヤジが少し前に亡くなりました
そういえば２２２２のアンバサダー
最近見ないなと思っていたら
会社に行く途中 別のドライバーに聞かされて
大きな喪失感で言葉がありませんでした
翌日
外食した夜 タクシーをつかまえようと妻と歩いていると
オヤジの死を教えてくれたそのドライバーと再会
「なぜここにいるの？」
「たまたま近くを走っていただけですよ」
これは偶然なんかじゃない
亡くなったオヤジのことを聞けば聞くほど
これは偶然ではない と感じました
オヤジにはアメリカに住んでいる娘がいて
長い年月を待ちにまって なんとかオヤジにもビザが下りて
２月末に念願のアメリカに行けることが決定
親戚も知人も集まっての盛大なパーティー
そのパーティーが終わってから１時後の心筋梗塞 享年６３歳
教えてくれたドライバー曰く
不定期にふらりとやってくる日本人とのドライブが
ちょっとした日常の楽しみだったそうです
失意の中ではなくアメリカに行けるという喜びの中での死
２～３℃まで冷え込む１２月の寒い冬も
５０℃まで気温が上昇する暑い夏も
読んでいたのはアメリカの娘からの手紙
書いていたのはアメリカの娘への手紙
オヤジの後姿を思い出すだけで涙が止まりません
別のドライバーがその日たまたまそこにいたのは
オヤジが僕らに別れを伝えるために
そのドライバーを僕らのいる場所に連れてきたのだと思えてなりません
インドという不思議な場所ならこんな奇跡 信じられます
アメリカに行ったタクシードライバー
グルメール・シンの物語です
ＨＩＳデリー支店 古賀
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投稿： じゃぱに -2012年3月12日 (月) 04時08分
■無題
涙が止まりません。あの広いデリーを埋め尽くすほどの車の数。偶然なんかじゃないアメリカの娘の所に行ける喜びと、自分が死んでしまって、もう古賀さんを乗せられない事を、ドライバーさんは、どうしても古賀さんに知らせたかったんでしょうね。(-人-) -
投稿： peko -2012年3月12日 (月) 13時11分
■一期一会。
あたたかな涙が出ました。毎日今日一日を大切に生きていきたいと改めて思いました。シンさんには会ったことはありませんが、たくさんの素敵な出会いがあったのでしょうね。出会いに感謝します☆ -
投稿： けいこ -2012年3月13日 (火) 00時53分
■無題
毎日拝見しているブログ、初めてコメントします。読んでいて、思わず目はかすみ。。希望に満ちたなかインドの友人達と楽しい時間を過ごし、幸せな状況で旅立たれたのでしょうね。あの混沌のインドで（ブログから教わりました）偶然同じタクシードライバーに会うのは偶然ではありませんよね。不思議な事ですが、本当に会いにきてくれたのでしょうね。日常のちょっとした接点でも、何か意味がある出会いというものもあるのだと思います。異国で生きる人間に、娘と同じように心配をし気にかけてくれていたのかもしれません。今後の自分にも重ねていたかもしれません。素敵な出会いでしたね。 -
投稿： り -2012年3月13日 (火) 03時44分
■必然
古賀さんがインドでご活躍なさっているのも、偶然ではなく必然なんですね。いつも暖かい目線で色々を語って下さり、ありがとうございます。これからも色々なお話、楽しみにしていますね。 -
投稿： his-delhi -2012年3月13日 (火) 15時54分
■無題
じゃぱにさんオヤジのタクシーには もう３０回以上乗っていました ちょっと古くてシートのバネがギシギシ＆エアコンはもちろんなし あっさりと売られてしまったDL 1T ２２２２のアンバサダーを ときどき探してしまいます
