2019.10.26

しんちゃお!KATSUです。

実実はベトナムは東南アジア屈指の世界遺産の数を誇り、ベトナム全域で8つの世界遺産が点在しています。
地球の鼓動を感じる絶景「ハロン湾」やノスタルジックな「ホイアン旧市街」など旅行者にも人気の世界遺産も多く点在していますが、
私個人的には、グエン朝時代の王宮や歴代皇帝の帝陵からなる「フエの建造物群」が特に好きな世界遺産です。

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802年~1945年までベトナム最後の王朝:グエン朝の都として栄華を極めた古都フエ。
宮廷文化が花開く初期王朝時代、華麗なるフランス統治時代、8月革命による滅亡など数々の激動の時代をくぐり抜け、ラストエンペラーの舞台となったこの場所には、ハノイやホーチミンとはまた違ったベトナムの趣が漂っています。

ユネスコ事務局長をして「賞賛すべき建築世界のポエム」と言わしめた情緒漂う古都フエの歴史探訪の旅へとご案内します。
フエの代表的な観光スポット、その中でも個人的に居心地の良い場所をご紹介致します。

1.グエン王宮

フエの代表的な観光スポットとしてまず名前が上がるのが、フエの象徴とも言えるこのグエン王宮です。

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「午」という文字は南の方位を意味しており、ちょうど正午になるとこの午門の真上に太陽が昇ることを由来して、この名がついたと言われています。
また、古代中国では王が南から天下を治めれば世の中が大安になるという考え方から、ベトナムでは南の門は特別な意味を持ちます。

他にも、皇帝の華やかな生活様式の跡が残る黄金の龍が佇む「紫禁城」

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かつてこの場所には、宮廷文化が彩る絢爛豪華な王宮やバロック様式の壮麗な建物が
立ち並んでいましたが、インドシナ戦争により破壊されてしまい、
今はただこの黄金の龍が1匹、その栄華を偲ぶように佇むだけです。

季節の花々が咲き誇る「王宮庭園」

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澄み渡る青空にはえる壮麗な中華建築と、無造作に生い茂るすすき草。
栄華と荒廃の対比を感じさせる諸行無常の景色に、歴史ロマンを感じられずにはいられません。
なんとなく奈良の「平城京」にも似た哀愁漂う雰囲気がとても好きです。

そんな数多くの魅力をもつグエン王宮の中でも、私が特に好きなのが「回廊」

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目が覚めるような朱の下地に、黄金の華美な装飾。奥行きを感じられる建築美。
うっとりするほど美しい空間に心を奪われてしまいます。
目を瞑れば、古の宮仕えの門人たちの足音が聞こえてきそうになります。

ベトナム戦争の激戦地フエを象徴するようにグエン王宮は城壁には銃痕跡が残り、
幾多の戦禍のため多くの建築物が破壊されていますが、今なお毅然と残る壮麗な宮殿の数にグエン朝の栄華と宮廷文化を偲ぶことが出来る特別な場所です。

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王宮内にある閲是堂で、ユネスコの無形文化遺産の「宮廷雅楽」を観賞することができます。
心地よい音色とともに、グエン王宮で花開いた宮廷文化の歴史ロマンに思いを馳せる優雅なひとときをお過ごしください

グエン王宮
営業時間:開館: 7:00〜 18:00(年中無休)
入場料:大人 150,000VND / 子供(7 - 12歳) 30,000VND

2.トゥドゥック帝陵

次に紹介するのが、グエン朝最長の在位期間を誇る第4代皇帝トゥドゥック帝の陵です。
ベトナムならではの深緑の森の中に佇む広々とした離宮風の雅な帝陵の雰囲気が、
まるで水墨画の世界ように優美な空間を生み出しています。

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トゥドゥック帝が生前に別荘として愛用していた謙陵は、詩を愛したトゥドック帝のロマンかつ叙情的な風格がよく反映されています。
美しい蓮池を囲むように造られ遊歩道を散策しているだけでも楽しい気持ちになれます。

グエン朝の最盛期を誇るトゥドック帝が愛した風情あふれる帝陵内の散策を散策すれば誰もが詩人になれるはず。

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陵内にはトゥドゥック帝が自ら綴った、フランスとの協定の経緯や自らの生涯、グエン朝の憂いが書かれた石碑文もあります。

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トゥドゥック帝の在位は1847~83年。
時代としては、清のアヘン戦争動乱や江戸の幕末時代と重なる時期に当たります。
イギリス・フランスなどの西欧列強による植民地支配は、このベトナムでもありました。

フランスの軍事介入を受け、各地での抵抗も虚しくフランスによるベトナム統治時代を迎えることとなったグエン朝。
トゥドゥック帝が5000字で綴った石碑文からは、激動の時代に翻弄されたトゥドゥックの懺悔の思いが溢れ出ています。

さて、このトゥドゥック帝陵の中で、私が特に好きなの場所が木造建築の「月見殿」

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詩歌を愛したトゥドゥック帝が遊興を楽しんだ美しい蓮池の風光明媚な景色が広がります。
さわやかな涼風が吹き抜ける心地よい月見殿で、緑香る美しい庭園を眺めながらひと休みしてみてはいかがでしょうか。

耳をすませば、どこからか聞こえてくる月琴、胡弓、琵琶の音と詩歌の声。

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このトゥドゥック帝陵では、決まった時間になると伝統音楽の生演奏が行われます。
トゥドゥック帝の様々な想いが哀調で綴られた美しい音色をきけば、
言葉通り心の琴線に触れる事ができるはずです。

トゥドゥック帝
営業時間:7:00 – 17:30(年中無休)
入場料:大人 100,000VND 子供(7 - 12歳)20,000VND

3.カイディン帝陵

グエン王宮と並ぶフエの必見スポットが、このカイディン帝陵です。
折衷様式が華々しく壮麗な帝陵が、多くの旅行者に人気の観光スポットです。

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まるでヨーロッパの宮殿を思わせるかのような白亜の陵壁や重厚な彫刻の装飾は、他のフエ建造物とは一線を画します。
ヨーロッパ建築美に魅せら、フランスの思想や文化をこよなく愛したカイディン帝は、積極的にフランス文化を建造物にも取り入れていました。

このカイディン帝陵で、特に見どころとなるのがカイディン帝の霊魂を守る石像です。
よく見ると中国の兵馬俑と同様に、兵馬の石像は一人ひとりの顔が異なっているのも興味深いポイントです。

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フランスの華麗なる文化や思想に魅せられ、多大なる影響をうけたカイディン帝ですが、
このあたりには中国の思想を受け継ぐ東洋建築美にも影響を受けたことが見て取れます。

派手好きな側面がクローズアップされがちなカイディエン帝ですが、
素晴らしいと思ったものに対しては、洋の東西を問わず柔軟に受け入れた彼の性格だからこそ
このベトナムでも類を見ないほど、華やかな場所ができたのではないでしょうか。

また美の集大成とも称される豪華絢爛を極めた陵内は特に必見です。

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このように全身が金箔で覆われていた黄金の像を建ててしまうところが、
カイディン帝の派手好きで自己顕示欲の高い性格を何よりも表しています。

ただ幼い頃から病弱で、40歳の時に結核で亡くなってしまったカイディン帝。
自身が短命だと知っていたからこそ、限られた人生を豪快に華々しく生きたのかったもしれません。

華やかなフランス美術に魅せられた派手好きのカイディン帝の人柄を表すように、
世界各国の高級素材を使用し、贅の限りを尽くして建築されたバロック様式が美しい帝陵は、
世界遺産フエの建築物の中でも一際華やかな雰囲気です。

陵内には、ガラス細工や陶器の破片を組み合わせてモザイク装飾された絵画が多数存在します。
東西折衷の美しさはここに極まれりとも言えるでしょう。

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中には「SAKURA」と書かれた日本製の瓶ビールもありますので、ぜひ探してみてください。

さて、この贅と工夫を尽くして建てられたカイディン帝陵。
当然、その建築費として莫大な費用がかさんだため、国民の税率は20%までに跳ね上がり、生活に大きな負担が強いられました。

そのため国民からの大反発をうけ、その結果、次の皇帝バオダイの代で
グエン朝はその長きにわたる歴史の幕を閉じます。

ただ、現代においてはこのカイディン帝は建築学的にも芸術学的にも、世界にも類を見ないほど素晴らしいものとなり、多くの旅行者がこの場所を一目見ようとフエを訪れることになります。
その結果、今のフエの市民の財政を潤していることも、皮肉な話です。

万里の長城もピラミッドも、タージマハルも、
時の権力者が己の権威を誇示するためだけに建てられた愚かなほど壮大な建造物は
得てして、時を越えて旅行者の心を揺さぶり、称賛されるものですね。

さて、このカイディン帝で私が最も好きな景色がこちらの風景です。

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カイディン亭の拝庭から眺める、緑豊かなフエの自然。
激動の時代を越えて、今の平和な時代を謳歌するこの景色がとても好きです。

中華風の壮麗な建築とヨーロッパの重厚な建築が重なり合うカイディン帝。
その中でどこかのんびりとした牧歌的でのどかな雰囲気が感じられるこの景色は、
最もベトナムらしい風景の1つではないでしょうか。

カイディン帝
営業時間:7:00 – 17:30(年中無休)
入場料:大人 100,000VND 子供(7 - 12歳)20,000VND

いかがでしょうか。
代表的なフエの3つの観光スポットを紹介しましたが、
この場所以外にも、ティエンムー寺やフォン川クルーズ、名物料理ブンボーフエなど
まだまだ魅力あふれるスポットが多数存在します。

ベトナムに来たらぜひ、ダナンから少し足をのばして
歴史薫る古都フエに訪れて、歴史ロマンの旅をお楽しみください。

グエン王宮・トゥドゥック帝陵・カイディン帝陵を巡る
世界遺産フエ 観光ツアーの詳細はこちら。
https://www.his-discover.com/vietnam/tour/optional/dad-hue/

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