『山の天気は変わりやすい』という表現って的を得てるなぁ。

と思いながらひたすら頂上を目指して歩調を速めていると、

(って、実はかなり遅くなっている・・・・・)


しばらく続いていた平坦な道もおしまいのようで、トレイルの様子も変わって

きました。



ここまで来ると、舗装されているのか、けもの道なのかすらよく分からない

ルートに変貌し、歩き難くなってきています。

写真で見るとなんてことのない木の根に見えるんですけど、足腰もヘタっ

てくると、木の根っこすら越えるのがきつくなってきて、根っこを越えるたび

に両手をひざに当てて踏ん張ってしまう自分自身が情けなくなってきてし

まいます。

普通ならこんな程度の傾斜なんて、屁とも思わないはずなのに、

足が登ることを嫌がってしまい、足取りはホント重いです。


『身体が鉛のように重い・・・』っていう表現ありますよね。

鉛のように重いのではなく、ホント、鉛そのもの。


ふと気が付くと、さっきから周囲に人の気配がしない。

いい歳した大人なのに、気配が無いことになんともいえない不安が・・・。


クマに注意なんて看板を思い出すと、さらに心細くなりまして、

もしも、出遭った時はどうするんだっけな??

万一の際の予行演習をせめてメンタルトレーニングだけでも・・・・


『死んだフリ』が効果的なんだっけか?

『大声を出すんだっけ』か?

それとも『一目散に退散』した方が、

退散する時は、ジグザグに走るんだっけか?


いや、それはワニが相手の時だったか・・・・・

いや、クマにも通用したりして・・・・・


・・・・・って、そもそも走る体力残ってない。


しかも、退散、相手に背を見せるなんて日本男児としてあるまじき行為。

ここはお縄に掛かるくらいなら自決・・・・、なんてくだらないことを考えて

いると、クマも呆れて寄ってきません。


あまりのばかげた空想に神様もあきれ果てたのか、

こんな看板が・・・・・↓



『ンッ??』


『ハ、ハーフドームまで2マイル!』


(なんか、文章展開が単調になって来てます??)


とにかくも、頂上まで2マイルです。

産まれて3●年の人生のなかで看板に抱きつきたくなったのは

これが始めて。

(出来れば2キロだったらもっと良いんですけどねぇ)


この時点ではハーフドームが見えない位置にいたのですが、最後に見た

看板が残り4.5マイルと表示していたので、知らぬ知らぬの内に2.5マイル

も消化したのかと思うと、


『ここで死んでも良いかな』みたいな・・・・

段々と考えることが大袈裟になってきている。


それにしても、さっぱりハイカーとすれ違わないので、もしやみんな俺を

残して下山なんかしたりしてないよな・・・とか、そういえば俺の仲間も

全然見当たらない・・・・。

まさか、こんな悪天候になりかけの状況で頂上を目指している俺って

可笑しい?


みたいな不安が募ってきます。

ただ、そんな不安が募ったところで、確認のしようがない。


どうしようか・・・なんて思っていると、またトレイルの雰囲気が変わってきた。


なんと前方から、久しぶりの『同志』が近づいて来るじゃないです

か。『言語』を無性に使いたくなり、話掛けてみると既に登りきって、

帰路とのこと。

(なんだ、落伍者じゃないのか・・・って残念がること自体がナンセンス)


『ハーフドームまであとどのくらい?heart01

一番知りたいことを聞いてみると


『Almost There!(もう、すぐそこ!)』


との答えが。

私ほどのトレイル歴戦の勇であれば、この答えを鵜呑みにするほどバカじゃ

ありません。


『よく言うね・・・・』みたいな答えを返すと、

ホラ!という返事を返す彼の指先は地面を指していた。


『????????』

という顔をしていると、彼の指先の先にはなだらかではあるものの、

斜面になった岩盤を指している。(上の写真を参照)


これがハーフドームの一部に辿り着いた『証拠』だとのこと!

ハーフドームの端っこまできたのか、という感慨に耽っている時間もなく

そそくさと前進するのみ。

時計の針はというと、12:30を少し回ったくらい。


彼の言うとおり、『Alomost There!』なのであれば、時間的には何とかなり

そうだという安堵感と、今のところ空の感じを見ていると、多少霧がでている

ものの、


どうやら『天は我に味方せり』みたいな、軍隊チックな気分。

まさに、ニイタカヤマノボレの気持ちが良く分かります。

(なんか、使い方が間違ってます??)


今度こそ!の気持ちでペースを速めると、



『まさか!あの山は!eye

間違いなくハーフドーム。(ちょっと霧に隠れてはいるものの)


『まさか!まだこんなに

     離れているとは!!』

しかし、このハーフドームって奴は、簡単に人を寄せ付けない

イヤラシイ山だったのだ。


【その9に続く】

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