確実にハーフドームの頂上に近づいていることだけは確か。
登り始めて既に5時間近くになろうとしている。
思えばココまでの道のりは長かったな・・・と。
片道6時間から8時間を覚悟していたものの、このペースであれば、
あと30分位で頂上だろうとタカをくくる。
こんな程度の斜面で頂上近くまで近づけるのであれば何とかなりそうだ。
という気分的な余裕は、写真を撮る余裕まででてきます。
普段は見れないハーフドームの裏側ってこんな景色が広がっていたんだぁ。
これもここまで来たから見れたわけで。
やっぱりココまで来た甲斐があった。(のかなぁ)
なんて思いながら頂上に向って歩いていると、やっと征服すべき頂上が!
まさに登られるのを、今か今かと指をくわえて待っているかのよう。
俺だってやれば、出来るじゃない。
何度もくじけそうになり、雨を恨むどころか、良いチャンスとばかりに
歓迎ムードにすら漂ったダメなわたくし。
『我敗れて山河あり』同然になりながらも
しかし、ここまで来ちゃったもんね。
なんて思っていると、なんだか雲行きがおかしくなってきた・・・・・。
『登れども、登れども、我が暮らし楽にならず』
などどいう素晴らしい名句を誰が残したかどうかは忘れたが、
いい加減、ホント何回登らす気?
しかも、今までの中で一番急なんじゃないコレ。
見てくださいよ、この斜面。
足腰フラフラの人間に登らせる傾斜じゃない!
(仕方ないので登ったけど・・)
ここまで来るのに30分位掛かってんじゃない。
既に『階段』という名のインフラなど、とっくの昔に消滅し
登りたきゃ、登れば!見たいな状況となり、
上の写真の2人なんて登るというより、這ってますよ。
この期に及んで匍匐前進なんて・・・・。
なんか、近づいているか何なのか良く分からない・・・・。
それにしてもニクイ感じでハーフドームの頂上に霧が掛かっている。
直ぐに頂上を見せない、なんともニクイ演出などど感心していると、
思いのほか、匍匐前進は更に私の体力を奪って行くのであった。
こんなことなら旅行会社などではなく、自衛隊に入隊しておけばよかった
などと本気で後悔しながら、休みたいけど、あまりに休憩するには不釣合い
な場所のため、考えた挙句にとった行為が
『写真を撮るフリ・・・』
撮ってみたのはこんな写真↓
だって、何も考えてませんから・・・
こんな状態じゃ、頂上にたどり着くまであと何回写真を撮らねばならんのだ
と、ウンザリしていると!!!!!!!!!!!!
『今度こそー』
皆様、大変長らくお待たせいたしました。
こちらがハーフドーム頂上への最後の登り坂です。
ホント大したことないですよ。
ケーブルを握り締めて、ただ登れば良いだけですもん。
要はケーブルさえ離さなければ良いだけですもん・・・・・・・・・・。
って、もしもなんかの間違えで離してしまったら?
たぶん、
『確実に死んでしまいます・・・・・・・。』
だけど、、、、もうちょっと近づいて見れば、
どうでしょう?そんなに怖くもないですかね?
ケーブルは1メートルほどの間隔をあけて2本張られており、
頂上までの距離は約130メートルということです。
もう、マイル計算するまでもなく、たった130メートルですよ。
トレイルのスタート地点で見た、ハーフドームの頂上までの距離は
8.2マイル、くどいですけどキロ換算で11.3キロ。
苦節10年、よくココまでもったものだ。
ここまでくればもう勝ったも同然。
『果報は寝て待て』とはよく言ったものだ。
しかし、今更寝て待つ訳にも行かず、よくよく考えると腹も減ってきた。
そういえば
『いざ、鎌倉!』なんて言葉もあったな・・・。
などと、先人の語学センスに敬服しながら、もはや征服同然となった
このシチュエーションを味わうためにも、ひとまず腹ごしらえをすべし。
ということで、おにぎりではなく、『保険』として持ってきていた
サンドイッチを食べることに。
これまた、征服間近という余裕からか、格別の味。
モグモグと口を動かしながら頂上の方を眺めていると、ハーフドームの
後方になにやら不穏な雰囲気が!!!!
この先に起こるフィクションのような信じられない事態。
ヨセミテに女神はいないのか???
ハーフドーム登頂記もいよいよ佳境へ
(注:念のためですが、ハーフドームに架かるこのケーブルは通常、
5月終わりから10月初旬の限られた時期のみとなりますのと、
夏はカミナリに要注意ですので、登る際は必ず事前に天候を確認要。)
【その10に続く】