Foul is fair and fair is foul.(綺麗は汚い、汚いは綺麗)
このセリフ、聞いたことがありませんか?
英国劇作家シェイクスピアの悲劇「マクベス」の第一幕で3人の魔女が唱える呪文の言葉の一説です。「マクベス」の物語を知らない人でも、この一説は聞いたことがあるのではないでしょうか?
よく英語圏の映画やドラマ、スピーチ等を見ていると有名な本や劇の引用が出てきますが、その中でもシェイクスピアの数は群を抜いていますよね。カナダ人に聞いたところ、彼らは中学校や高校の授業の中でレトリック(修辞学)の教材としてシェイクスピアを学ぶそうです
シェイクスピアの英語は単純な古英語でもなく、彼の生きた当時のイギリスでも特徴的なレトリックであったと言われており、当のネイティブスピーカーでも難解な表現が多い為、サッと引用出来るとカッコいいのかもしれません
さて、そんなシェイクスピアはここカナダでも根強い人気があります。そしてバンクーバーには、夏の間毎日シェイクスピアの劇を上演するイベントがあるのです。その名も Bard on the Beach(浜辺の詩人) ネーミングも洒落ています
1990年から始まったこのイベントは演劇文化を大人から子供まで幅広い人に提供する事を目的とした非営利団体と賛同する多くのボランティアスタッフにより運営されています。とはいえ監督、俳優や舞台スタッフは経験豊富なプロフェッショナルなので、演劇の質はとても高いのです
そんなBard on the Beachが今年は「マクベス」を上演すると聞き行って参りました
7月4日(水)の夜7時半からの回、平日の夜なので空いているかと思いきや2週間前の時点で空席は残り僅かシェイクスピア人気、おそるべし…
チケットを見せて入場すると、3つのシアターの中心広場に出ます。この3つのシアターではそれぞれ別のカンパニーによる別の劇が上演されます。シェイクスピア以外に現代劇もありますよ。
広場は白を基調としたテントに囲まれ数か所のテーブルが置いてあります。テントの中には軽食の販売の他、Bard on the Beachグッズの販売や解説員によるEducationブースなどもあります。年齢層は高めかと思いきや、夏休みの親子連れや高校大学生くらいの若いグループもいました。どうやら学割チケットがあるようです
軽食販売のブース 非営利団体なので価格も良心的です
腹ごなしにサーモンサンドイッチを買いました。期待していなかったのですが、割と美味しかったです
開演10分前のブザーでいよいよシアターへ
仮設テント内のシンプルな木造舞台ですが、趣があって中々良い雰囲気です。シェイクスピアの本拠地、ロンドンのGlobe Theatreをイメージした造りなのかもしれません。
この後、監督の挨拶があり「マクベス」が開演されました。上演中はもちろん撮影NGなので写真は取れませんでしたが、俳優達の名演がこのシンプルな舞台に奥行きを感じさせました。俳優ってすごい
含蓄ある感想を語れる程の教養が無いのですが、とにかく気迫がすごかったです。ドラマや映画と違いロケーションや画角を変えられないのが演劇の弱点と言われることもありますが、俳優達の演技に魅了され全く退屈する瞬間がありませんでした。観劇がお好きな方には自信をもっておススメ出来る作品です
ただし難解な言い回しが多くやっぱり難しいので、予習してから行った方が良いかも…
Ellie
Bard on the Beach
https://bardonthebeach.org/